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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十五章 〈エデン〉上級上位ダンジョン一番乗り!

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#1590 〈空島ダン〉本格探索?ガーディアンとニーコ




「では、まずここ〈霊峰の空島ダンジョン〉を通称〈空島ダン〉と呼称する」


「了解です」


「本当にあっち見てもこっち見ても〈空島ダン〉って呼ぶにふさわしいところよね」


 俺がここを〈空島ダン〉宣言すればフィナが頷き、エリサがやや遠くに見える空島を見ながらうんうんと首を縦に振った。


「ここは危険ですから、いつもの〈姉さま爆撃戦法〉は使わないようにしますね」


「いつも使わないでくれるとお姉ちゃん嬉しいな!?」


「では、いってきます――『天空飛翔』!」


「フィナちゃん返事は!?」


 バサッと顕現した翼を広げた天使なフィナが空を舞う姿はとても美しい。

 いや、やっぱり可愛い。


「私たちも行くよ! エフィ、マシロン!」


「りょ、慎重に行動する。どんな難敵がいるか分からない。ワクワク」


「は、はい! トモヨ先輩の後ろに付いていきます!」


「「「『天空飛翔』!」」」


 続いてはトモヨ、エフィ、マシロが同じく顕現した天使の翼を広げて飛び立っていく。さらには、


「『四聖操盾(しせいそうじゅん)』!」


「どうだシエラ?」


「動きに変わった所はないわね。そして、崖の向こう側へも飛び出すことができる。危険なダンジョンね」


 シエラの小盾を使っても調べる。

 宙に浮いた小盾は、〈聖ダン〉や〈霧ダン〉にはあった障害物の壁、立ち入り禁止区域みたいなところを探し中。だが、一向にそんなものは見つからない。

 つまり、空島の端から一歩踏み出せばそのまま転落するという意味である。


「最初ここは雲に覆われていたし。そんな中下手に動いていたら真下へ真っ逆さまだった可能性あり?」


「ちょ、怖いこと言わないでくれよシヅキ」


「いや、シヅキの言うことは十分正しい。――みんな、自分のパーティの点呼を取ってくれ! 誰も欠けていないかすぐに調べるんだ!」


「「「!!」」」


 ゼルレカは震えていたが、シヅキの言うことはもっともだと言って点呼を取る。

 普通に、〈エデン〉はこんなことをしましたと報告書を作成するために!

 結果、いない人物は今飛んで空から色々調べている4人のみ。他45人+〈採集無双〉の5人はちゃんと揃っていた。

 若干俺の言葉に衝撃を受けて震えていたメンバーもホッとした表情だ。


 何しろ落ちたらどんなことになるのか分からないのだから。

 まあ、俺は知っているんだけど。

 その時、空から1人報告に降りてきた。フィナだ。


「あ、フィナちゃん!」


「戻りました教官、牢屋を見つけたので戻ってきました」


「牢屋があったのか!」


 空島に牢屋とはこれ如何に? と思うだろ?

 だが、この牢屋こそ非常に重要な役割を持っている。


「はい。ここから建物の方角へ向かう途中に牢屋が設けられているのを発見しました」


「ナイスだフィナ! そこはおそらく〈敗者のお部屋〉だな」


「ここにもあるのね」


 それは俺だけじゃない。シエラも俺の言わんとしていることを肯定するように頷いた。さらに少しホッとしているようにも見える。


〈敗者のお部屋〉最奥のボス戦を始め、戦闘不能になった人が転移で飛ばされる、どのダンジョンにも必ずどこかにあるお部屋である。

 普通モンスターに負けたくらいではここに行くことはないが、特定の状況下。

 例えば水中に落ちたとか、溶岩に落ちたとか、空から落ちたとか、そんなどう考えても死んじゃう環境の場合、緊急避難場所として送られる場所である。


 実際学生の中には、ちょっと何かしらをやらかしてこの〈敗者のお部屋〉の中から「ここから出してくれ~」と叫ぶ学生も居るらしい。

 どういう仕組みかは分からないが、そういうときは復活系の魔法を使うとポンと外に出られるようになっているのだ。


 実に不思議なシステムである。

 ちなみに〈敗者のお部屋〉の形は大抵が牢屋型である。

 まさに囚われの姫仕様だ。

 え? 男子の場合はって? 囚われの…………囚人?


 ゲフンゲフン。

 まあアレだ。そんな〈敗者のお部屋〉の仕様を知っているため、フィナの報告を受けてみんなからホッとしたような声が相次いだ。

 うっかり真っ逆さまに落ちても〈敗者のお部屋〉で復活する可能性が高いからだ。


 ちなみに、うっかり装備などを落とした場合でも同じことが起こるので実験は可能だ。

 予備の剣を空から落としてみれば、無事牢屋に転移していたよ。

 ということで、この牢屋は〈敗者のお部屋〉に間違いない、となった。

 また、転移した予備の剣は、落とし主である俺が近づくとぽいっと外に放り出される謎仕様で回収したぞ。


 なぜか落とし主以外には反応せず、外へ持ち出せもしないし、「あなたが落としたのは金の◯◯ですか、銀の◯◯ですか?」とも聞いてこないので無駄に防犯対策は万全だ。とはいえ、その日のみだけどな。日を跨ぐと、正確には朝5時になるとダンジョンに吸収されてしまうので要注意だ。それまでに必ず回収すること。

 この〈敗者のお部屋〉も、場所が分かり次第地図に『ギルドチェーンブックマーク』を記しておこうと思う。


 そんなことをしていると、この〈空島ダン〉のことが大体分かってきた。


「やっぱり〈敗者のお部屋〉の存在は大きいわね。これのおかげでみんな一気に探索しやすくなったわ」


「モンスターが未だに現れないのがちょっと不気味だけどな。リーナ、反応は?」


「やはり島にはモンスターの反応はありませんわ。あの建物が怪しいですわね」


「それじゃあ、俺たち陸上班も動くか。目標はあの建物だ!」


「「「おおー!」」」


〈竜の箱庭〉に映る建物に向かって陸上班、つまり俺たちは動き出す。

 ようやく進めるということでみんなはしゃいでいるな。


「うひゃ~、高い。高いよメルト様! 地上が雲に覆われて見えないくらい高いよ!」


「本当にこの島が空にあるのかすら怪し――てミサトくっつくな、というかここで暴れるな!? 危ないだろう!?」


「ミサトちゃん、もしかしたら足下が突然崩れて真っ逆さま、なんてことも?」


「ひゃあ~~!?」


「うおおおおお!?」


 うむうむ。あっちはとても良いはしゃぎようだ。

 ミサトはこういう高所が苦手なのかわざとなのかメルトに抱きつき、そこへシャロンが驚かせて、抱きつかれたメルトが振り回されていた。落ちるなよ?

 ちなみに足場が崩れる、という罠は無いので安心してほしい。

 でも多少の強い風はあるので要注意だ。


「うわぁ! 見たこともない素材ばっかりですよ!」


「! ――! ――――!!」


「空島って釣り堀あるのか!? 空島で釣る魚とかすっげぇ興味あるんだが!」


「樹木も地上のものとは違うね。いや、これは単純に上級上位ダンジョンだからかもしれないけどね」


〈採集無双〉はお宝の山に目を輝かせている。特にモナとソドガガの興奮がすごいな。タイチは釣りポイントを探して目を光らせている。

〈空島ダン〉には小川も流れていて、小川の先はそのまま空島から落ちて消えていくというファンタジーな見た目をしている。

 なお、水がどこから湧いているのかは不明だ。


 あっちも楽しそうだな~。


 数分も歩けばすぐに建物に到着。

 1層には上陸できそうな2つの島があり、それぞれに1つずつ建物がある仕様だ。

 中々大きい。見た目は教会風。扉は1つだが、宮殿と思わせる大きさだ。


「それじゃあ入るぞ。お邪魔しまーす」


「礼儀正しい??」


「いえ、ノックしていないので不法侵入ですの!」


 お邪魔しまーすと言って入ったのになぜか不法侵入扱いだ。解せぬ。


 だが、俺は不法侵入者だったらしい、すぐに警備兵が飛んで来たのである。


「ビビビビビ! 不法侵入者発見!」


「ビビ――攻撃開始!」


「ロボ系やゴーレム系か! 1班いくぞ!」


「ええ!? サーシャの言う通りになったよ!?」


「ちょ、今のは冗談ですの!?」


 登場したのはロボ系やゴーレム系などの無機物種。

〈岩ダン〉や〈守氷ダン〉に出た、ガッチガチのゴーレム型とは違う、スマートなロボット型のゴーレムロボだった。

 だがランク1の最奥ボスとも違う。浮遊型で、どういう原理で浮いているのか不明な感じのゴーレムロボだ。エスパータイプ? そんな感じ。


 今回の1班は俺、カグヤ、サーシャ、ヴァン、そしてニーコである。


「勇者君!? ぼくは遠慮願いたいのだが――」


「ヴァン、タンクは任せた!」


「了解であります!」


「ぼくはできれば宝探しだけしていたい!」


 もちろんニーコの要望は却下である。

 現在、リアル世界には上級上位ダンジョンの素材がとにかく足りていないのだ。つまり他から購入できない。自分たちで採りに行くしかない! ニーコには是非素材を大量にドロップしていただかなくては!


 ということでまずは俺が戦わないといけないよな!

 そして俺と一緒のパーティであるニーコも戦わないとな!


 まあ1層のモンスターが相手である。

 全く脅威にもならず、簡単に打ち倒すことに成功したのだった。しかし。


「け、結構強かったんだよ」


「ですの。ボス並では無かったですが、準ボス並と言ったところでしたの」


「ああ。あれは大型モンスターだな」


「大型、でありますか」


「宝箱が出ないのに強いアレじゃないかー」


 まあ、つまりは猫以上に強いモンスターだ。

 ボスじゃないんだが、何かを守っているイベントなんかに登場するようなちょっと強いモンスター。そんなモンスターが扉を開けた瞬間襲ってきたのである。


「ランク1ダンジョンのことを考えると、今のはギミック、つまりはイベント戦闘だったのかもしれないな」


「戦闘が回避できないってやつかい?」


「ああ。建物内に入るには戦闘に勝利しなくてはならない。つまりはガーディアン。上級中位(ジョーチュー)ランク2の〈守氷ダン〉でも同じようなモンスターが居ただろ? そしてここは上級上位(ジョウジョウ)のランク2。同じようなモンスターが登場しても不思議はないさ」


「ふむ? ということは、まさか」


「もし〈守氷ダン〉と同じ構造をしているなら、ここはお宝がいっぱいあるのかもしれないぞ?」


「ひゃっほー! それを早く言いたまえ! ぼくに任せるんだ。全てのお宝を見つけて上げるよ! 『お宝レーダー』! ひょー!」


 ニーコの『お宝レーダー』に反応があった模様!

 まあ知ってたけどな!


 よし、まずはこの建物の中を暴こう! 隅々までな!

 そしてお宝は全ていただいていくんだ!

 ふはははははは!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
「ここから出してくれ~!」 「俺は無実だ~!」 「〇〇様、私はここに捕らわれています…(涙)」 「ここはどこ?私は誰?」
爆撃エリサがそのまま雲の下へフェードインしていったら面白い、かも?
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