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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十五章 〈エデン〉上級上位ダンジョン一番乗り!

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#1568 〈幻惑の迷路ダンジョン〉は――透ける迷路?




 扉を潜ればそこは別世界。

 ダンジョンの中の世界だ。


「ここが、上級上位ダンジョンの中」


「ああ〈幻惑の迷路ダンジョン〉の名の通りの……迷路だな」


「でもなによこれ、ほとんど丸見えじゃない! 幻惑のげの字もないわ!?」


 そこは大部屋だった。

 遠くに壁が見えていて囲まれている。

 ドーム型で半径200メートルと言ったところだろう。

 ぐるーっと囲まれていて、見たところ扉はない。

 それだけならば〈謎ダン〉のドームバージョンだが、ここには他にとあるものがあった。


 それが――迷路だ。


 高さ1メートルほどしかない壁で区切られた迷路。

 それが部屋に敷かれ、所々モンスターの影が見えている。

 高さ1メートル? それって見えるじゃん。と思うだろ。

 そう、文字通り、見える。

 迷路がどんな構図してるのか、それがどこまで繋がっているのか肉眼で確認可能だ。ラナの言うとおり丸見えだった。さすがはランク1の1層、チュートリアル的イージーなんだぜ。


「うんしょ、うんしょ」


「もうちょっとで見えそうなのに」


 なお、ロリ組のアリスとキキョウが必死にピョンピョンして見ようとしているのがとても和む。

 壁は1メートルより少し高いかもしれないな。1メートル20センチとかかもしれない。

 幼女がジャンプしないと見えないとか絶妙な高さだよ。

 これを作った開発陣、マジナイス! スクショに記録しておこう。パシャパシャ。


「…………ルルはやめておきなさい」


「え? どういうことなのですシエラ? ルルも見たいのです」


「それじゃあ台か何かを出してそれに乗りなさい」


「あい!」


 なお、ルルのぴょんぴょんはシエラによってブロックされ――。


「なるほどーここでジャンプすればもっとよく見えるのです! さすがはシエラなのです!」


 ――たのだがしかし、〈空間収納鞄(アイテムバッグ)〉から取り出した子ども用の台の上でルルがジャンプを始めたのでセーフだった。むしろこっちの方が良いまである!

 パシャパシャ!


「ゼフィルス様」


「おおうん!? シェリア、分かってるから後ろから忍び寄らないでくれよ」


 最近シェリアがセレスタン並みの神出鬼没さを会得している気がするのは、気のせいということにしよう。

 ひとまず落ち着いたところでリーナが〈竜の箱庭〉を取り出し『フルマッピング』を展開する。

 すると、肉眼でも見えていたものが、俯瞰してちゃんと分かるようになった。


「それでゼフィルスさん、どこに向かえばよろしいのでしょうか?」


「それならここに――ゲフンゲフン! いや、まずはこのダンジョンがどういうものなのかを調べないとな」


「…………」


 リーナの誘導尋問にうっかり答えそうになったが、その前にまだ未解明な上級上位ダンジョンというものの調査から始める。

 ふう。危なかったんだぜ。

 シエラが何か言いたそうな視線で見ていた気がしたが、ジト目になってくれてもいいんだよ?


「俯瞰して見ると、ここの迷路がよく分かりますわね」


「結構狭いフィールドね。〈謎ダン〉でもそうだったけれど、ランク1ってこんなダンジョンばかりなのかしら?」


「確かに、〈謎ダン〉と共通点が多いわね。階層門はどこにあるのかしら? もしかしたらまたコンソールが設置してあるのかもしれないわ」


 まずはみんなであーだこーだと話し合う。

 迷路を俯瞰出来たとしても、〈竜の箱庭〉では階層門(ゴール)がどこにあるかは分からない。

 こればっかりは肉眼で確認してみるしかないのだが。


「カルアさん、『ピーピング』ですわ!」


「ん。『ピーピング』!」


『ピーピング』は視線を飛ばすスキル。

 肉眼じゃないと見ることができないものを確認したいとき、とても重宝するスキルだ。


 肉眼で見て回るなら空を飛べるメンバーに任せることもできるが、ここは未知の上級上位ダンジョン。もし偵察に出て何かあればリカバリーが効かない可能性が高い。

 そのため、まずはスキルで視線を飛ばすことが採用された形。普通なら間違ってない。


「――?? あれ?」


 だが、発動した『ピーピング』が迷路の上を越えようとした瞬間、バチンと消滅してしまう。

『ピーピング』はその特性として壁にぶつかると消滅してしまうのだが。その現象と同じようなことが起こったのだ。


「どうしたのだカルア?」


「消えちゃった。まるであそこ、壁があるみたい」


「なに? ―――本当だ。ここ、見えない壁があるぞ」


「ええ!?」


 リカがカルアの言葉を受けてノックしてみると、何も無いように見える空間でコンコンと音が鳴る。

 高さ1メートル20センチほどの迷路の壁。しかし、見た目通りの高さしかないのかと思えば大間違い。なんと見えない壁がその先にも続いて天井まで伸びているのだ。


 すぐにフィナが飛んで調べてくれたが、ここ(リアル)でもやっぱり天井まで壁が続いていた。


「なるほど? この見える壁の部分は基礎で、その上に透明な壁がちゃんと乗っているとそういうわけですわね?」


「ええ!? 幻惑ってそういうこと!? 透明な壁? 思ってたのとなんか違うわ。見えちゃってるじゃないの!」


「なんで基礎部分だけ見える壁にしたのだ? そこまでするなら全部見えない壁にすればいいのに」


 それはなラナ、リカ、開発陣がチュートリアルのために作ったからなんだよ。

 まったく見えない壁だと調べるのにとんでもない労力が掛かるだろうからな。


 リアルだと目的がよく分からないことになっていてリーナですら首を捻ってるけど。

 幻惑って普通本当の姿が分からない様にするとか、そんなイメージだもんね。むしろ丸見えなんよこの階層。壁を分からなくするって、分からなくする部分間違ってる。


「ここから宝剣を飛ばして、モンスターに刺さるかしらね?」


「試してみるのはありだな」


「いくわよー! 『大聖光の四宝剣』!」


 今度は壁は壊せるのか? という実験が行なわれた。

 ラナの宝剣が飛んで行こうとして――壁に弾かれて消えてしまった。


「どうやらこの壁は破壊不能系のダンジョンオブジェクトらしいな」


 破壊不能系のダンジョンオブジェクトは文字通り破壊不可。どんなスキルや魔法、ユニークスキルやアイテムでも破壊はできない。

 それを見てラナが、「これじゃあ宝剣が使えないわ!」と唸っていたが、つまりはそういうことだ。


 迷路の幅は、大体5メートルほど。

〈イブキ〉なら1台が通れる程だが、この幅よりも大きなスキルや魔法は結構な数が存在する。

 この迷路があるだけで強力な範囲攻撃の使用を不可にしているのだ。

 それから実験が何個も為された。


 壁の向こうにいる味方にバフは掛かるのか、あるいは敵にデバフが掛かるのか。

 ラナの祈りは貫通するのか? ミサトの『ヒール』は?

 壁の向こうに悪魔を召喚することは可能? 転移することはできる? アイテムならあるいは? 歌や音は届く聞こえる?


 攻撃、防御、回復、バフ、デバフ、召喚など、壁の向こうにいる対象にありとあらゆることを試してみた結果、壁は基本貫通不可ということが分かった。

 通るのは音や声だけで、スキルや魔法、ユニークスキルはどうやっても貫通しない。

 転移もできないし、ラナの祈りも同じ。これは他のダンジョンでも同じだ。

 つまりはこの壁は、音以外通さないダンジョンオブジェクトということが分かった。もちろんノエルのスキルも、スキルなので貫通しないぞ。


「つまりここは、上級下位ダンジョンのランク7からランク9にもありました迷路系のダンジョンと、ほぼ同じものですわ」


「これがずっと続くってことリーナ!? もしかして、あのくらい広くなっちゃうとか!?」


「そこまでは分かりません。続いて部屋の端まで行ってみましょう。ルートは分かりますし、〈イブキ〉と〈ブオール〉を使いましょうか」


「承知しました」


「私たちの番ですね!」


「任せてください!」


 リーナの提案で移動開始。エステルとアルテの〈イブキ〉に、ロゼッタの〈ブオール〉を使って一気に1層の端まで進んでいく。

 なお途中に出会った第一上級上位ダンジョンモンスターは、発見されたと同時に轢かれて光に還っていった。


 すまん、上級上位ダンジョンの初モンスターよ。

 でもモンスターを調べることはいつでもできるので、まずはギミックの解明を優先させてね。

 ちなみにここのモンスターはカメレオンやタヌキ系が多かったりする。幻惑する気満々なモンスターたちである。光になったけど。


「壁、到着です」


「何かコンソール的なものはありますか?」


「……ありますね」


「あるんだ!?」


 リーナの問いは、まああまり期待したものではなかったが、答えは「あった」だった。答えたエステルの言葉に思わずノエルがツッコミを入れていたよ。

 まあ、何個もあるゴールのうち、1発目で当たりを引いたと思えばそのツッコミも分かる。だが、


「起動してみました。ですが、クイズが出ないですね」


「クイズ形式じゃない、ということですの?」


「コンソールには3つのランプがありますが、そのうち1つが点きました。これが意味するものは?」


 エステルの言葉に一緒に覗き込むリーナが首を傾げる。

 そこに俺がそれとなく答えを囁くのだ。


「つまりこの階層には3つ、もしくはそれ以上のコンソールがあり、それを全て起動させるとなにかが起こると。ついでに言えばここにあるのは赤のコンソールだ。そして点灯したのも赤のランプ。点灯していないのは黄色と青のランプだな」


「つまり、この階層のどこかにある黄色と青のコンソールを起動すれば、黄色と青のランプも光り、全てのランプが光ったとき階層門か何かが現れる、ということですのね。もし赤のコンソールがもう1台あったとすれば、それがハズレという可能性もあります」


 さすがはリーナだ、俺の囁きでもうほとんど答えに行き着いている。

 それを受けてシエラも赤のランプとコンソールを見て呟く。


「〈謎ダン〉のハズレからすると、もし赤のコンソールをダブらせでもしたらエリアボスが出てきそうね」


「それな」


 まさにシエラの言うとおり。

 実はこの1層、赤、黄、青のコンソールが合計で2つずつ存在しており、全ての色を1種ずつ点けることで先へ進めるというギミックだったりする。

 しかし、赤のコンソールをダブらせたりすると、たちまちハズレ判定。エリアボスが襲ってくるのだ。

 なお、エリアボスがすでに倒されていれば何も起こらないぞ。


 この階層にある複数のギミックを起動させることで先に進める仕掛け。

 つまりはフィールド中のコンソールを探さなければいけない。この迷路のフィールドで、である。手分けして効率よく進める必要がある。

 実はこのダンジョン、複数パーティで挑むことが前提のダンジョンなんだ。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
これ範囲攻撃が制限されるって例えば6mの炎の壁を出す魔法を出したら、空間いっぱいに逃げ場ない攻撃になる‥んじゃなく先に当たる破壊不能オブジェクトの壁に攻撃した扱いになってエネミーに当たり前にキャンセル…
あっ、これわざと間違えてボス狩るパターンだ…
視覚ではなく思考を幻惑するとは、恐るべきダンジョンだ!
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