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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十四章 〈エデン〉、上級中位ダンジョンを卒業する!?

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#1541 アイギスはゼフィルスの心を奪っていきました




〈上級の狼ダン〉を攻略する俺たちは、もうズンズン先へと先へと爆進していた。


「待っていてくれよマリー先輩。最っっっっ高の素材を持っていってやるぜ! ふはーっはっはっは!! これでみんなの装備も大量獲得だ!」


「……今度からマリー先輩のところにゼフィルスを1人で向かわせるのはやめた方がいいかしら?」


「マリー先輩も怪しいのよね」


「いえ、あれはゼフィルスさんが一方的にマリー先輩を大好きなだけなのでは?」


「マリーさんと居るときのゼフィルスさん、すごく楽しそうなんですよね」


 現在〈イブキ〉に乗車中。攻略を開始してから3日が経っていた。

 昨日のマリー先輩のリアクションは、また良いものだった。

 それを思い出した俺がテンション高らかに笑い出すと、なぜかシエラ、ラナ、リーナ、アイギスが集まってこそこそ相談していたんだ。とっても真剣な表情だ。徘徊型ボスを警戒しているのかもしれないな。(全然違う)


 ここはすでに50層を超えて現在53層。深層と呼ばれている区域だ。

 つまり、いつ徘徊型が襲ってきてもおかしくはない。


 1日目、2日目と順調に進んでいた俺たちだったが、早く〈バトルウルフ〉と戦いたい欲が勝りすぎて結局〈乗り物〉を採用。

 ここは深い巨樹の森ではあるが、なぁに、上級下位(ジョーカー)の〈山ダン〉の時とそんなに大きく変わらない。

 つまり極太根っこの道などができているのだ。その上を走ったりすれば〈乗り物〉でも通行可能だ。


〈イブキ〉なら木の上を走るという手も使えるしな。

 まるで傘のように広がった巨樹の樹形。その上を〈イブキ〉で爆走するのは、とても気持ちが良かった。

 何しろモンスターとエンカウントもしないし、マジでちょっと凸凹な道を走っている気分だったんだよ。


 まあ、真下が木の葉だらけで階層門が全く見えない、分からないという理由によって即却下されたんだが。


 また、今まで俺たちがお世話になってきた〈イブキ〉の超速攻略にも、大きな問題が発生したのだ。

〈イブキ〉は16人乗り、現在のメンバーは新メンバーが加わって49人になった。

 つまり、3台でも溢れてしまう問題が出てきたのだ!


 じゃあどうしたのかというと、2つ案を提示して、両方が採用された。

 まずここのダンジョンでも〈イブキ〉同様に悪路や根っこに登って爆走できる〈乗り物〉として、ミジュの〈クマライダー・バワー〉が採用された。

〈イブキ〉3台と〈クマライダー・バワー〉で突き進むことになったのだ。


 そしてもう1つが、〈イブキ〉4台目の導入である。

 つまりはロゼッタ号復活だ。

 ここでは道が無く樹木の根っこだらけの悪路ということで〈ブオール〉が進むには不向きだ。そこで俺は以前から〈彫金ノ技工士〉のタネテちゃんに作製を依頼していた〈イブキ〉を導入するに至ったのである。


「まさか再び私の〈イブキ〉が帰ってくるとは……。アルテさんが大事に使ってくれていたというのが伝わって来ます」


「もちろんロゼッタ先輩から受け継いだ〈イブキ〉ですもん。乗らないときも大事にしていましたとも! それはそれとして、私が新車をもらっていいんですか!?」


「はい。私にはこの子が一番合っていますから」


 俺はその時のことを思い出す。

 こうしてアルテに受け継がれた元ロゼッタ号は、再びロゼッタの手へと戻ってきた。そしてアルテには新車の〈イブキ〉が与えられたのである。

 ロゼッタはやっぱり〈イブキ〉を手放すのが寂しかったみたいで、とても嬉しがっていたんだ。

 アルテも新車、つまりは新アルテ号を得て、とても嬉しそうにしていたからな。


 こんなことなら最初から4台目を作製すれば良かったと思わなくもないが、当時はケンタロウの手も空いてなかったし、タネテちゃんの成長を待っていた形だな。

 素材は、新メンバーのゼルレカたちを攻略させる際に〈嵐ダン〉のレアボスを狩ってきたのでそれでOK。16人乗り用の〈イブキ〉4号、新アルテ号、通称アルテ号がめでたく先日完成したのである!


「うん! ロゼッタ先輩の〈イブキ〉と遜色ない素晴らしい性能です! とても1年生が作ったとは思えません!」


「タネテちゃんも凄まじい成長速度してるからなぁ」


 運転してみた結果、アルテも新車に大絶賛だった。

 なお、そのタネテちゃんはこの〈イブキ〉完成を機に何かを企画しているようで、「数日後にまた来てください。あっと驚かせてみせるです」なんて言葉を頂戴している。

 近々行く予定だ。

 俺を驚かせるとか、とんでもないことだよ?

 何を企画しているのかとても楽しみである!


 そうして現在、エステル号、ロゼッタ号、新アルテ号にミジュクマ(パンダ)号を加えた4台で巨樹の森を爆走中である。

 アイギスがこっちの〈イブキ〉に平和そうに乗っているのはそういうわけだ。運転の交代要員だな。


 そんなことをしみじみ思い出していると、アイギスたちのところに動きあり。


「私に任せてください。ゼフィルスさんの気を引いてみせます」


「むむむ……アイギスだけに任せるのも。でも今のマリー先輩のことで頭いっぱいのゼフィルスは、目を覚まさせる必要があるわね」


「分かったわ。アイギス、お願いしていいかしら?」


「はい! 大丈夫です。私に勝算があります」


「任せましたわアイギスさん。ゼフィルスさんの気をこっちに取り戻してくださいまし!」


「いきます」


 お? どうやらアイギスたちの話は終わったらしい。

 他の3人が見守る中、アイギスが代表で近づいてくる。

 アイギスだけがこうして近づいてくるのはすごく珍しい。


「どうしたんだアイギス?」


「はい。実は、ゼフィルスさんにお聞かせしたいことがあるのです。重要情報です」


「ほう?」


 アイギスがこんな溜めるようなセリフを言うなんて本当に珍しい。

 俺の気は一気にアイギスに引かれた。そしてアイギスから放たれた言葉は、俺の意識を持っていくのに十分な威力を持っていたのだ。


「ゼニスが、そろそろ進化しそうです」


「なんだってー!!」


 重大情報だった。

 さっきから「〈バトルウルフ〉を早く狩りまくってマリー先輩に毛皮をお届けしなくっちゃ!」と考えていた俺の脳内にズシンと衝撃と共に入ってきて、マリー先輩のことがスポーンと頭から飛んで行ってしまう。


「ということは、LVが既定値に!?」


「はい。あと1で既定値に届きます。おそらく、この深層で何回かボス戦をすれば進化出来そうな気配です」


「こうしちゃいられん! すぐに周回だ! エリアボスを周回するぞ! 〈フルート〉の準備だ! ――エステル、東へ進路を変更だ!! 巨樹の無い開けた地形に誘い込むぞ!」


「はい!」


「さすがアイギスがあれほど言い切っただけあるわ。ゼフィルスを見事に切り替わらせたわね」


「まったくもう、キリッとした真面目なゼフィルスモードになっちゃって、いつもああならいいのに!」


「それがゼフィルスさんですから。ですが、予想以上の成果でしたわね」


 そこから先は展開が早かった。

 何しろ、我が〈エデン〉唯一の〈竜〉。ゼニスがもうすぐ進化するのである。

 これは真っ先に済ませなければならない! 俺たちみんなが見ている前で進化してもらわないと!


 今まで〈聖竜の若竜〉だったゼニスも、ついに若竜を卒業だ!


 その意気込みを持って〈フルート〉を吹き、エリアボスを周回しまくる。


「クワァ!」


「そこですゼニス! 『ドラゴンブレス』!」


「ウワオン!?」


 ここ、53層のエリアボスである〈ホワイライト・テラウルフ〉がゼニスの『ドラゴンブレス』によって何度目かの光になる。

 宝箱も来てウハウハだ!


 そして5回目の周回の時。

 ついにそれは来た。


「! ゼニスのレベルが上がりました! 進化可能です!」


「ゼニスの進化キターーーーーー!!」




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
攻略展開が急ぎすぎな印象です。 書籍化の際に加筆修正される予定なのかは存じませんが、上中ダンになってから省略しすぎているように感じます。 軽すぎて登場キャラも印象薄くなってますし、メンバーが成長してい…
タネテ「1週間後に来てください。本当のイブキをお見せしますです」 ケンタロウはギルマスの地位を追われるんだろうなぁ…… まあ根っからの下っ端体質ぽいからいいや(酷)。 そんなにマリー先輩が気になるな…
2025/01/08 13:35 退会済み
管理
次の掲示板が楽しみだ。 イブキ増設にゼニスの進化………って、1話だけで中身が濃いわ~。
感想一覧
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