#1540 ウルフ=毛皮!マリー先輩のために一斉狩り!
「〈金箱〉2つよっしゃーバンザイ! これだからボス戦はやめられない! ナイスだトモヨ、エフィ!」
「イエーイ!」
「いえ~い」
早速駆け寄ってハイタッチ。
トモヨは2枚の大盾をサイズ調整で腕に貼り付けられるくらいの小型に縮小して、ノリノリでハイタッチしてくれる。
エフィも剣と杖を腰に差してからハイタッチだ。こっちは表情が変わってないが、しっかりこっちに合わせてくれて良きだ。
うーん、しかしいつ見てもサイズ調整機能はファンタジー。
大盾や両手盾はこの機能が無いと嵩張るため、基本付けてもらうそうだ。
まあ小盾もこの機能は付けられるけどな。シエラの4つの小盾とか。
ちなみに俺はサイズ調整せずそのまま派だ。
背中に盾背負っているってなんか俺の感性が擽られるのである。
「シヅキもマシロもハイタッチだ。イエーイ!」
「イエイイエーイ!」
「はーい!」
うむ。ハイタッチの掛け声だけでも個性が分かれるな。
トモヨとシヅキはノリが良いし、エフィはマイペース系、マシロは癒やし系だ。
はぁ、マシロはなぜこんなに心が清らかになるのだろう。
4人とハイタッチすれば他のメンバーも寄ってきて、〈金箱〉タイムである。
今度こそ俺が開けるぞ!
「それじゃあ俺はこれだ!」
〈金箱〉は2つ。これぞ〈幸猫様ファミリーズ〉、〈愛猫様〉の『超幸運』の恩恵に違いない!
俺は、一番乗りだ!!
「それじゃあ残りの1つは誰にする?」
「誰でもいいよ~」
「私も」
「あ、それでしたら私いいですか? あまり〈金箱〉って開けたことがないんです」
「オッケー!」
あれ? 向こうは平和な話し合いでマシロに決まったな。
「あれが普通の光景よゼフィルス」
「おう、シエラ、なぜそんなこっそり風に教えてくれるのだね?」
平和だ。うん。天魔組は平和だね。
俺たちなんて〈金箱〉を開けるために毎度毎度気が気ではなかったというのに。
まあいい、とりあえず開けようか!
「ああ〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉! いつも〈金箱〉をありがとうございます! しかも今回は2箱! 大感謝です! ついでにどうか良いものをお願いいたします!」
「ゼフィルス先輩のお願いは独特です!」
「マシロはああはならないで頂戴。せっかくの純粋枠なのだから」
シエラが今度はマシロにこっそり話しかけている。
いったい何を話しているのか、ちょっと、いやかなり気になった。
ちなみに俺が開けた〈金箱〉からは、〈上級転職チケット〉が出てきた。
……わーい、美ジュースの交換チケットだ~。
「がくん」
「〈上級転職チケット〉が出てこんなに落ち込んでいる人初めて見た驚き」
「エフィ、あんまり観察しないであげて?」
心の中では盛り上がりつつもショックを隠せない俺を、不思議そうな顔をしたエフィが覗き込んでいた。シヅキに止められてたけど。
「それでは次はマシロの番ね」
「はい! 頑張ります!」
「〈エデン〉って宝箱を開けるのにも頑張る必要があるんだよね」
「そうだよ。お祈り力が試されるんだから!」
「ぐはっ、俺のお祈り力が足りないというのか……!?」
「いやいや、ゼフィルス君のはむしろ届きすぎてるんじゃないかな? お願いの方が」
マシロがフンスと気合いを入れると、エフィがこれまた不思議そうな顔をして呟き、それに答えたシヅキの言葉が俺のハートにグサリと刺さる。
俺はこんなに感謝を捧げているというのに!
だが、トモヨの言うことも分かるので、もうちょっと感謝の比率を増やそうと思う。帰ったら良いお肉をお供えしないと!
「ではいきます。〈幸猫様ファミリーズ〉のみなさま、〈金箱〉ありがとうございます! 2つなんて、とても贅沢だと思います!」
「りゃ、略しただと?」
「〈幸猫様ファミリーズ〉の方が確かに言いやすいかもね」
マシロの感謝は伝わったのだろうか?
意気込んでパカッと開けた〈金箱〉からは、とても優秀な罠レシピが当たったのだ!
「『解読』です」
「えっと、〈モチモチトリネバモチ〉のレシピ?」
げっ、これタンクでも〈束縛〉状態になるやべぇ罠!
なお、モチッコを生け贄に捧げる必要はありません。
「私の感謝は〈幸猫様〉たちに届いたでしょうか?」
「きっと届いただろう。何しろトモヨを止めた罠レシピだぞ? あれ、思った以上にやべぇ罠だったから」
単純に攻撃しただけだと耐久値が高すぎて破壊できないのだ。
逆に剣や槍で直接攻撃した日にはトリモチにくっついて剥がれないまである。
解除するには『浄化』などの状態異常回復スキルを使えば剥がれるのだが、初見ではそんなの分からないので、みんな燃やしたり凍らせたりして余計時間を食うという凶悪な罠だ。
つまりヒーラーが居ない状況で使えば――最強の罠になり得る!!!!
いつか使ってみようと思う。ちょっと楽しみになってきた!
そんな感じで今回のドロップは終わった。
まだ5層なのに早くも最強罠か、こりゃこの先が楽しみになってきたぞ!
「うー、私も早く〈金箱〉を開けたいわ! ゼフィルス、次は私に戦わせて!」
「いいぞラナ。じゃあ次のボスな」
「やったわ! いいの当たるかしら!」
「他にボス戦してみたい人~」
今回の〈金箱〉回はなかなかにみんなに〈金箱〉欲を与えたようで、ボス戦したい人を募ったらほぼ全員が手を挙げていたよ。
あ、ニーコは強制参加だから挙げてなくても大丈夫だぞ? 安心してくれ。
そこからは俺たちもボスをじゃんじゃん倒しながら進んでいく。
やはり〈上級の狼ダン〉はエリアボスとエンカウントしやすいな。
2層から5層までは嵐の前の静けさだったと言わんばかりに各階層で出まくった。
だが、こっちにはカイリがいる。
もちろん全て接近に気付いており、返り討ちにしてやったよ。
ただ時間がネックだな。15層の守護型ボスを倒したところで時間が厳しくなったのでその日は帰還した。
〈猫猫ダン〉の時は開けていたフィールドだったから順調だったが、〈上級の狼ダン〉は神秘的な巨樹の森に加えてモンスターが次々襲ってくるからな。どうしても足が遅くなってしまうなぁ。
また明日!
そして翌日。
25層のお宝フィーバータイムはある意味で凄かった。
この巨樹の森のどこかに大量に隠してある宝箱。
他のダンジョンではヒャッハー、お宝じゃー! 1つ残らず持っていくぞー! となるはずなのだが。
ここはウルフも他の階層よりも多く徘徊していてエンカウントが止まらなかったんだよ。おかげで宝箱探しが、ちょっと難航したんだ。
ついで罠の宝箱からは〈ミミック〉、と思わせてウルフを呼び寄せるアラームが鳴るものだから、罠の解除に失敗するとモンスターハウスばりのモンスターフィーバーに突入してしまう凶悪仕様を採用している。
まあ、それを逆手にとって逆に呼び寄せ、25層のウルフを狩りつくさんというレベルで狩ってしまったんだがな。
ドロップいっぱいでとても美味しかったです!
ウルフの素材はもちろん牙もあるが、基本は毛皮だ。
大量の素材を納品したらマリー先輩もとても喜んでくれたよ!
「兄さん、ホンマ今度はどこまで行ってきたんや!?」
「ちょっと上級中位のランク7までな! 安心してくれ、ダンジョン週間中は毎日これくらい持ってくるから! そして最後には最奥ボスの毛皮も持ってくるぜ!」
「また攻略宣言しとるし!? 毛皮大フィーバーの予感!?」
「マリー先輩、最奥ボスの素材、欲しかろう?」
「くっ! もちろんや! ボス素材だけはどこにも渡さへん! どんな素材でもうちが買い取り、加工してやるわ!」
「よろしい! それなら俺たちも気合いを入れて、マリー先輩の度肝を抜くほど大量に集めてくるぜ!」
「気合いはそこそこで十分なんよ!?」
うむうむ。さすがはマリー先輩。このノリが心地いいんだぜ。
これくらいの量であればちゃんと全部買い取ってくれるのだから素晴らしい。
49人行動していて結構バラバラに動いているためエンカウントも多くて、さらにアラームで一掃戦法も使っているので素材がどんどん山になっていってしまったんだ。
だがマリー先輩、こんなの序の口だぞ。
俺たちが最奥に到達すればもっと凄い素材を大量に納品することを約束しようじゃないか!
〈バトルウルフ〉に会うのが、とても楽しみになってきたぜ!!
後書き失礼いたします。
久しぶりにレビューいただきました!
とっても嬉しいです!
ありがとうございます!




