#1463 実況席からお届け。今回ゲストはユミキさん!
「さぁぁぁぁぁやって参りましたーーーー! クラス対抗戦、〈戦闘課2年生〉の部、決勝戦でーす!」
「実況は自分たち、〈キャス&スティーブン〉がお送りさせていただきます」
「また、今回のゲストはこの方! 最近忙しかったようだけど、なんとか今日だけは捕まえました! 解説はお馴染みのユミキさんにお越しいただきましたー!」
「ハロー。みんなのユミキよ。今日も〈1組〉が勝つと予想してるわ」
「だから一位予想は最初に言っちゃダメだって言ってるでしょうーーーーーー!?!? 順序!! 話の順序を気にしてあげて!?」
「こほん。ここで耳寄りな情報ですが、なんと今回、〈1組〉以外のクラス全員が手を組んだそうですよ?」
「みたいね。というよりどこのクラスもまず〈1組〉を倒さないと優勝はできないのだからどこかでぶつかるしかないのよ。ふふ、みんな慌てていたわ」
「そこ笑うところじゃないし! というかユミキさん、この前のSランク戦の直前でなんかとんでもない人にバトンタッチしてくれやがりましたね!? あんときはまた大変だったんだよ!?」
「キャスさん落ち着いて落ち着いて。言葉が若干乱れかけてますよ」
「あれは悲しい出来事だったわ。とても外せない用事が出来てしまったの。でも、素晴らしい人物に任せられたと思ってるわ」
「確かに凄い人だったけどね!? 色んな意味で、というか周囲を置き去りにして盛り上がっていたけどねあの方!」
「でも、楽しかったでしょ?」
「まあね! おかげで私の株すっごい奪われたけどね!」
「大丈夫よ。今日もキャスさんの株を奪う準備をしてきたわ」
「この人もライバルじゃん!」
「いいえ、ゲストですよキャスさん。それはそうと、そろそろ転移が始まりますよ。ユミキさん、お願いしてよろしいですか?」
「ええ。こういう所で私が呼ばれたのだものね。では『メビウス』!」
「いつ見てもこの球の動きがやばば。どうやってこれ操ってるんだろうね!」
「転移、終わりました。では、ユミキさんが調べ終わるまでフィールドの解説をしていきましょう。今回選ばれたのは第二アリーナの中でも異色も異色、ほとんどを池と用水路で囲まれたフィールド――〈水の都市〉フィールドです」
「っしゃーーー! 今のうちに私の存在を覚え込ませるよ! このフィールドは―――」
「このフィールドは〈拠点落とし〉専用フィールドね。前回使われたのは2年前という記録があるわ。その時は100人を超える人たちが対人戦ではなく、池に沈んで退場してしまったそうよ」
「ちょ、ちょちょちょちょ、ユミキさん!?」
「私を出し抜こうとしてもそうはいかないわよキャスさん」
「やっぱ私のライバルじゃん!!」
「盛り上がってきましたね。しかし、ユミキさん。それならばまともな戦闘は起こりづらいフィールド、ということでしょうか? 〈拠点落とし〉と言えば花形は対人戦です。それが起こらないと盛り上がりに欠けてしまいかねませんが」
「ってスティーブン君!? そこは私に振るところだよ!? 実況レギュラーの私、全然実況できてないよ!?」
「そこは安心して頂戴スティーブンさん。前回の水没退場は対人戦によって起こされた副産物的なものよ。タンクを真面目に倒すより、みんなで協力して水に落とす方が効率がよくって流行ったのよね」
「それ盛り上がったの!?」
「面白かったわよ? 片や押されて崖っぷち、片や追い詰めて最後の押しを敢行するも、うっちゃって追い詰めていた側がドボンと落ちたりしたときは笑いが絶えなかったわ」
「それむしろ別の競技じゃん!?」
「女の子同士だとさらに盛り上がってたわね」
「尻相撲でもやったのかな!?」
「いいえ。魔法で撃ち合ってたわ。水に落とすために」
「聞いてる限り、やっぱり別物の競技な気がするよ!?」
「そ、それでユミキさん、他のクラスの情報をいただけますか?」
「そうだったわね。キャスさんと話している間に調べ終えたわよ」
「なんですってーーーっ!?」
「まず西側から行くわ」
「ほう、ということは、〈1組〉がいるのは」
「ええ、西側中央にある拠点が――〈1組〉よ」
「ぐぬぬ! おおーっとここでこの試合のワイルドカード! 〈1組〉の拠点の位置が判明だーー! 西側中央にある拠点、ここが〈1組〉の拠点であると判明しました!」
「頑張ってくださいキャスさん。――ではユミキさん、他のクラスも」
「ええ。どうやら他のクラスでは〈1組〉の拠点の位置を掴みきれなかったみたいね。それに、王女殿下の宝剣を警戒して各クラス、かなりばらけて距離を取っているわね。クラス同士組んでいるのだからもう少し固まっていればよかったのに」
「それは仕方ないでしょうね。学園がその辺力を入れていますから。特に今年は」
「では次へ行きましょう、2番目よ。〈1組〉の次に拠点の位置を決めた〈2組〉ね。これは〈1組〉と真反対の真東、その壁沿いにあるわ」
「妥当ですね。今までのクラス対抗戦では〈1組〉に近い拠点から落とされていましたから。なるべく遠く、真反対に拠点を置くのが正解と言えるでしょう」
「続いて〈留学生1組〉はフィールドの北北東にある拠点ね。それで〈3組〉が真南よ」
「おおっと凄い! ユミキさんの調査が光る! すでに4拠点の位置が判明しているーーー! 東西南北の拠点は全て1位抜けのクラスが独占していたとのことだー!」
「さらに〈4組〉が北東。〈留学生3組〉が反対の南西。〈留学生4組〉は南東で、最後の〈6組〉が北西ね」
「これで出揃ったかー! 決勝進出クラスは今ユミキさんが言ったように〈1組〉〈2組〉〈3組〉〈4組〉〈6組〉〈留学生1組〉〈留学生3組〉〈留学生4組〉だーーー!!」
「見事にバラバラの位置に付きましたね。そして、どのクラスも非常に強豪だと言われているクラスです」
「準決勝でシードを得て合流してきた〈1組〉と〈2組〉はほとんどストレート勝ちだー! 他にも〈3組〉と〈留学生1組〉は圧倒的だった記憶しかないよ!」
「はい。ですが準決勝戦で2位通過であった〈4組〉〈6組〉〈留学生3組〉〈留学生4組〉もかなりの強さです。でなければ、360クラスというかつてないクラス数の中で勝ち残ってこれません」
「0点突破で準決勝を勝ち上がった〈6組〉は運で残った、みたいな意見もあったけど!?」
「確かに〈6組〉の運は良かったわね。でも運も実力のうち。本当に実力のうちなのよ運は。これがないと生き残れないのだから非常に重要な要素だわ。それに準決勝戦ではちゃんとした戦法で〈1組〉の狙いを避けていた。他のクラスから狙われてもほとんどやられていなかったという実績もあるほどなのよ。なにより、あそこには【ワイバーンライダー】の〈竜騎士エサント〉がいるわ」
「ええ。期待大ですね。〈エデン〉と〈集え・テイマーサモナー〉が合同で見つけ出した〈ワイバーン〉への進化の道。今では〈集え・テイマーサモナー〉の特産みたいな位置づけになっていると聞きます」
「〈集え・テイマーサモナー〉の防衛戦にこの前行ってきたけど、なんかべらぼうな強さになっていたよね! あれってすでにAランクでも上位、それどころか〈獣王ガルタイガ〉に肩を並べるほどなんじゃないかな!?」
「そんな〈集え・テイマーサモナー〉が渡した〈ベビーワイバーン〉のタマゴ。それが上級モンスター〈ワイバーン〉へ進化し、使い手も【ワイバーンライダー】へと〈上級転職〉している。学園でもまだ希有な職業よ。2回戦では大活躍。準決勝戦ではその活躍を生かしきれなかったみたいだけど、ここではどんな戦いを見せてくれるのか、とても注目しているわ」
「盛り上がってきたー!!」
「ユミキさんが注目している選手ですか、これは非常に楽しみです。ですが、位置が〈1組〉の真北ですが?」
「……それが問題よね。大丈夫かしら? 準決勝で運を使い果たしてなければいいのだけれど」
「も、盛り上がってきたー! えっと、ではついでに〈1組〉を挟んで反対側! 〈留学生3組〉なんてどうなのかな!?」
「ここもなかなか良いクラスよ。多くのメンバーが上位ギルドに引き抜かれていて、なんと5分の4が上級職。しかも五段階目ツリーを開放している人物も何人かいるとか。さらにそのリーダーが……ふふ。これは後のお楽しみね」
「そこまで言ってお預けなの!?」
「こちらもユミキさんが目を掛けている人がいる、ということでしょうか。〈1組〉拠点の近くということだけが危ぶまれますが、是非注目したいところです」
「とにかくまずは集合ね。戦力を集めて一気に〈1組〉拠点へ行く。それ以外に〈1組〉を倒す方法はないわ。各個撃破されるだけだもの。もう数で攻めるしかないわ。問題は、どのくらいのクラスが集合できるか、ね」
「おっと、話していたらもう少しで試合時間となりました」
「よーし、ここからは実況の出番だよ! カウントダウン、開始だーー!」
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「ああああああ!! 〈竜騎士エサント〉君が落ちたーーーーー!!」
「…………」
「これは、単騎で当たってしまったのが、悪かったですね」
「ああ! ここで〈1組〉の容赦ない攻撃がエサント君と〈ワイバーン〉を襲うーーー! って退場! ここで〈6組〉のリーダーがまさかの退場です!」
「最初の退場者がまさかの〈6組〉リーダー。しかも試合開始から僅か39秒!?」
「い、1分も経ってなーーーい!」
「ええ。ええそうね。〈1組〉の、というよりゼフィルス君に狙われるというのがどういうことなのか、思い出したわ。まさか注目君が試合開始1分以内でやられるとは、思いもしなかったわよ」
「ちょ、そのまま〈1組〉が、混乱している〈6組〉へ襲いかかったーーー!」
「…………これは、ちょっと無理ね。〈1組〉は気合いが入りすぎているわ」
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「あああああああ!! 今度は、今度は〈留学生3組〉がピーーーーンチ!! 間に合うのか!? 援軍は間に合うのか!?」
「難しいわね。まずは集合を優先する。これは合っているわ。問題は、集合に掛かる時間ね。迅速に進んでいるけれど、〈1組〉の気合いが入り過ぎているわ。〈1組〉も7クラスを相手にするということで、いつもより気合いを入れてきているみたいね」
「あ! 〈留学生3組〉の〈キャプテンハーミット〉、単騎で出撃しました! 誰も追いつけない速度で、これは、王女殿下を狙う模様!?」
「悪手ね。確かに王女殿下は〈1組〉の心臓部。でも、だからこそ護衛がとんでもないのよ」
「同じマスに入―――って退場!? い、一撃だーーーーー!! 〈キャプテンハーミット〉、一撃で退場したーーー!!」
「これで勝負は決まったわね。もう少し、特に〈留学生3組〉のリーダーには頑張ってもらいたかったけれど、仕方ないわ」
「結局ユミキさんの注目していた人物たちが全て即退場! これが、〈1組〉の力です! そしてこの勢いはまだまだ止まらない~~~~!!」
「開始早々残り6クラスになっちゃったわね。しかも、なんだか5クラスになりそうな予感だわ」
「な、ななななんと! ここで注目のカードが!! 本校〈1組〉VS〈留学生1組〉戦が勃発だあああああああ!?!?」
「これは見逃せないわ」




