#1452 準々決勝終了! ついに〈1組〉の出番来る!
クラス対抗戦3日目は至る所で第二回戦が勃発した。
去年の試合は一ブロック8クラス、4時間制で組まれており、3回勝ったクラスが優勝だった。しかし今年はクラスが倍以上に増えているため一ブロック8クラスはそのままだが、試合は半分の2時間制で組まれている。
さらに今年の3年生は一番クラス数が少なく2年生がとても多いため、2年生は第二アリーナから第五アリーナまで使って試合が組まれていた。
これにより第一試合は2日目と少しで終了し、3日目の途中からはシードになっていた40クラスが合流して第二試合、準々決勝が行なわれている。
〈戦闘課2年生〉と〈留学生〉組は全部合わせて360クラス。そこから第一試合を勝ち抜いてきたのは80クラス。そこに40クラスが入って計120クラス。
つまり準々決勝では十五ブロックで試合が行なわれ、ここで30クラスに絞り込まれる訳だ。
そして準決勝ではそこに俺たち〈1組〉と〈2組〉が合流して32クラス。
四ブロックに分かれて試合し、決勝に残る8クラスが決定する手筈となっている。
つまり、4回勝ち上がったクラスが優勝だ。〈1組〉の場合2回だけど。
とにかく第一試合と第二試合はブロックが多いので2時間という短い(?)時間で試合をしてもらい、第三試合、つまり準決勝戦では3時間。
第四試合の決勝戦では4時間で試合が組まれている。
まあ、最終日に近づくほど余裕が出てくるので試合時間が長くなると思ってほしい。
そして今日の第二回戦の結果だが。中々面白いことになっている。
第二回戦では本校の高位職クラスがシードで参戦してきて、勝ち上がってきた留学生組とぶつかっていたのだが、結果は半々。
本校生も頑張ってはいたものの、留学生VS本校生みたいな対立の図式が出来上がっていたのか、シードで参戦してきた本校生の多くが留学生に狙われる事態となったのだ。
しかし、本校生もシード権を有するほどのエリートクラスたち。というか去年〈転職制度〉を受けて、より自分に合った職業に就いた者たちが多く在籍する、新学年組とも言えるクラスだ。
これにはさすがの留学生組でも手を焼き、あるブロックでは突破して勝ち、あるブロックでは逆に負けまくった。
結果、勝者は本校生クラスと留学生クラスで半々となったのだった。
ここで準決勝出場クラスが決まった。
3日目までに他の専攻の試合は大体終わり、4日目からはクラスの一番多い〈戦闘課〉の試合がメインとなる。
クラス対抗戦の3日目の夜、勝ち上がった30クラスを見ながらシエラと相談しつつ、対策っぽいものを練る。
「どこも上級職が在籍するとても良いクラスね。特に〈2組〉、〈3組〉、〈留学生1組〉は強いわよ」
「だな。クイナダのクラスも無事に勝ち残ってくれて良かったよ」
〈エデン〉所属の唯一の留学生であるクイナダは〈留学生1組〉だ。
さすがにクラスメイトたちも〈留学生1組〉に選ばれただけあり、凄まじい能力を有していてまさにストレート勝ち。
〈留学生1組〉のいたブロックは全て〈決着〉で試合が終了していた。
〈決着〉とはつまりトーナメントで勝ち上がるクラス以外は全て拠点を落とされたという意味。
他のブロックでも〈決着〉で勝ち進んだクラスはいるが、その落とした拠点や生き残った人数を見ると〈留学生1組〉が圧倒的に多かった。
クイナダなんか〈戦将のクイナダ〉なんて二つ名付けられて恐れられてたからな。
うむ。やはり一番活躍していたのは間違いなくクイナダだよ。
そして〈2組〉はまだ試合をしていないからなんとも言えないが、まあ強いだろう。決勝に勝ち上がってくることは確実だ。
〈3組〉はAランクギルドやBランクギルド、さらに学園公式ギルド在籍の人物たちが多く在籍し、なんと全員が上級職だ。準々決勝では鮮やかな〈決着〉で準決勝にコマを進めている。やはり強い。
クラスの中で全員が上級職というのは〈1組〉〈2組〉〈3組〉〈留学生1組〉の4クラスだけ、と言えばその実力の高さが分かるだろう。
いや、下級職でも上級職を討ち取れないわけではないのだが、やはり戦力としては下に見られるんだ。
まあ、だからと調子に乗って上級職のみで編成された精鋭部隊を相手拠点に殴り込みに行かせて――返り討ちに遭い、そのクラスは敗北、みたいなところも結構ある。
過信は禁物ということだ。
「でも、見事に分かれたわね。〈1組〉、〈2組〉、〈3組〉、〈留学生1組〉が全部別ブロック。この4クラスは確実に決勝トーナメントに勝ち残るでしょうね」
「だな。まあ決勝で当たることになってよかったよ。去年みたいに〈2組〉と初戦でぶつかっていれば、うっかり倒しちゃったかもしれないしな」
「優勝候補をうっかりで倒されちゃったら泣くわね。色々な人が」
まあ、だからこそ意図的にブロックを分けたのかもしれない。
うーん。学園も分かってるじゃないか!
決勝戦が凄く楽しみだ!
「でも決勝戦ばかりに気を取られているわけにはいかないわ。まずは目の前の試合よ」
「だな。えっと出場クラスは?」
第五十六ブロック試合。
〈1組〉〈5組〉〈6組〉〈14組〉。
〈留学生2組〉〈留学生7組〉〈留学生11組〉〈留学生16組〉。
俺たちが出場するブロックは、なんと56ブロック。
去年の準決勝が確か17ブロックから20ブロックだったので、今年はどれだけ試合数が多かったのかが分かるだろう。
しかも半分が留学生組。
すげぇわ。いや、これ本当に凄いぞ?
留学生組強すぎるだろ! いや、本校生が弱いのか?
このままいけば、また決勝は留学生組と本校生組が半々という感じになりそう。
「留学生組が凄い快挙ね」
「本校生組が不甲斐ないとも言うな」
「本校生に取っても、これは良い刺激になるわね。本校の方が色々と設備もダンジョンも優れていて、上級ダンジョンまで解放しているのだもの。それが分校の生徒と互角なんてことになったら、プライドが傷つけられてしまうのではないかしら?」
「本校生はプライド高いからなぁ」
どこかの〈天下一大星〉とか。
あれは今頃どこにいるのか。確か最後にクラス替えで見たときは無事100組にインしたと聞いた気がするが……。
ちなみに現在〈100組〉以下の本校クラスで生き残っているところは皆無だ。
つまり敗退したという意味。
残念だ。
「だが、これに触発されて本校生が頑張ってくれるのは俺としても嬉しいな!」
「……留学生たちに〈上級転職チケット〉を渡して強化したのはその本校生なのだけどね」
そういえばそうだったな。
留学生は即戦力。
今年はギルドバトルが活性化していたこともあって、1年生を加入させるより即戦力の留学生たちを〈上級転職チケット〉で釣るギルドが多かったのだ。
おかげで現在勝ち残っている留学生組はどこのクラスも上級職を十数人保有していたりする。
本校生よ、自分で自分の首締めてるぞ。もっと頑張らないと!
まあ、俺のクラスは30人全員上級職だ。どこが相手でも勝ってやるぜ。
ふはは!
続いて〈1組〉のみんなに集合を掛け、今生き残っているクラスの情報を共有して3日目の後半を終えた。
翌日。とうとうやって来ました。
「クラス対抗戦4日目! ついに俺たちのクラスがギルドバトルをするときが来たんだ!」
「クラスバトルのはずなのに、ほとんどギルドバトルなんだよな」
「たははは~。なんだか面白いよね」
俺がテンション高く盛り上がっていると、メルトが首を傾げ、ミサトが楽しげにメルトに振っていた。
「これ、誰も勝てないんじゃないか? 俺は切実にそう思う。去年の俺たちは、よくこんな集団に挑んだものだ」
「去年のメルト様か~。ゼフィルス君に綺麗にやられてた記憶しかないよ~」
「やかましい!」
去年ライバルだったメルトがしみじみ言うとなんだか説得力が違う気がする。
見ろ。ノエルとラクリッテどころか、ラムダやリーナ、フラーミナやロゼッタまで同じように苦笑してるぞ。
「でも今年はみんな仲間だ! 一緒に他のクラスを倒そうな!」
「あ、あははは~」
「なんだか変な笑いが出てくる気がします」
「だな。だが、これほど心強いことはない」
「むしろわたくしの出番は残っているのか心配ですわ。指揮役だけで終わりそうですもの」
「だよね。というか、あの召喚盤を召喚したら誰も近づいてこないんじゃないかな?」
「フラウ、それは今更です。むしろ召喚盤なんか使わなくても誰も近づかないと思います」
なんだか去年ライバル組だったメンバーが意気投合してた。
「こほん。ではこれからアリーナへ向かう! 今日向かうのは、第二アリーナだ! 〈1組〉行くぞー!」
「「「「おおー!」」」」




