#1310 ゼフィルスの狂乱。打ち上げでクルクルダンス
「みんなテストお疲れ様だー! 実技も何事もなく終わってなにより。ここに〈戦闘課2年1組〉、テスト終わりの打ち上げを開催するーー! では、かんぱーい!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
テストが終わったので、1組の教室で打ち上げです。
掲げられたジョッキはみんな力強いものだった。
2年1組ともなると勉強の方もエリート。
誰も暗い人はいないのだ。
「ふあ~。テスト疲れたねぇ~」
「はい。2年生になってすっごく難しくなっていました」
「私は去年勉強した範囲なので良い点が取れたと思いますが、次の期末テストが心配です」
「もーアイギスさん、今から次のテストの話なんてしちゃダメだよー」
「まずはやりきった達成感を祝おうね!」
とはいえ初の2年生期末テストということで、疲れた人は多いらしいけどな。
ノエル、ラクリッテ、アイギス、ミサト、ルキアが集まってテストの感想を言い合って結局忘れることにしたようだ。
ノエルとラクリッテが近くにいたアイシャの方へと尋ねる。
「ちなみにアイシャ、今回から新学年も合流したけれど、自信のほどは?」
「アイシャさんはいつも凄い点数ですからね、気になります」
「今回も自信あるよ~、後で見る?」
「つ、強気発言で羨ましいです!?」
「これは見たいような、怖いようなだね!」
「それじゃあ見せ合いっこしましょう。ラクリッテちゃんやノエルちゃんの点も見せてもらうよ~」
「ひえ~」
毎回学年10位以内常連のアイシャにノエルとラクリッテがインタビューしてビビらされていた。ほほう。アイシャは自信がある様子だな。
「メルト、あそこの問題はBじゃないか?」
「なに? そんなはずは。いや待て、あれは引っかけ問題だったのか?」
「あ、そこの問題でしたら答えはBですわ。レグラム様大正解です。花丸を差し上げます」
「くぁっ、なんてこった」
「どうしたんだメルト、そんな頭を抱えているなんて珍しいな」
続いて俺はレグラム、メルト、オリヒメさんの方にお邪魔する。
ここではテストの答え合わせをしていたようだ。
「ああ。今回こそレグラムに勝とうと奮闘したんだが、また一歩及ばなさそうな雰囲気だ」
「ふふ。レグラム様は私と一緒に勉強会をしましたのよ。一歩どころか二歩三歩先を行きますわ」
「オリヒメさんとレグラムの勉強会か、それはとんでもないな」
期末テストでは1年生の時上位5人にランクインしていたレグラムとメルトではあるが、毎回レグラムの方が順位は高かった。
どうやらメルトは今度こそレグラムを抜かすぞ、と奮起していた様子だが、レグラムには今年から同じクラスになった婚約者のオリヒメさんがいる。これは強い。
オリヒメさんは〈新学年〉の時、3学期の期末テストで満点を出し1位に輝いている。そんなオリヒメさんとレグラムが組めば、さすがにメルトは不利な様子だ。
テストの結果発表は土日を挟んで月曜日に行なわれる。
今回から〈新学年〉だった〈転職制度〉組が合流してくるため、テスト順位は荒れる予想だ。アイギスのように、2年生の授業は2回目という人もいるからだ。
ま、俺が1位なのは変わりないけどな! ふははははは!!
「あらぁ? メルトはんが弱ってますぇ。うちが慰めてあげますぅ」
「なに? ハクか、別に慰めてもらう必要は、おい、何をする、待て!?」
「ほらほら、うちと向こうでお話しましょ?」
「お、俺を持ち上げるんじゃないーー!?」
ああ、メルトがハクに連れて行かれてしまったぞ。
ハクの方が圧倒的に身長が高いので持ち上げられてしまえばメルトになすすべは無かった。
ミサトが途中でそれに気付いてハクの下に文句を言いに行き、メルトが「お前はどっちの味方だ!」とウサ耳をきゅっとするところまでがセットだな。
「ゼフィルス、今話いい?」
「お、ミューか。もちろん構わないぞ」
「俺も加わらせてもらっている」
「ラムダもか! ということはいよいよか!?」
続いて俺に近づいてきたのは〈ハンター委員会〉の1陣パーティに所属するミューと、〈救護委員会〉で第一上級部隊に所属するラムダだった。
この2人が揃って来たという状況は、察するに余りあった。
「ああ。テスト期間が終わりダンジョンが解放される。それに伴い、明日から上級中位ダンジョンも解放されることが決まったぞ」
「お! おおおお!!!! ついにか!!!!」
ラムダの言葉にテンションがマックスを突破したのを感じ取った!
例の調査団結成からの――いつの間にか攻略をして約2週間。
攻略した翌日からテスト期間に突入してしまったためその後の状況は分からなかったのだが、学園公式ギルドはその後も動いていたらしい。
そして、ついに上級中位ダンジョンの解放が決まったとのことだ!
俺の長い努力が報われたんだーーーーーー!
「うぉっしゃああああああ!!」
「うにゃにゃ!?」
「うおっ!? なにごとだ!?」
そして俺は気が付けばミューの腰に手を回してクルクル回っていた。
ミューとラムダが驚きの声を出していた気がするが、今の俺には届かない!
「あーーー! ゼフィルスがまた女の子をダンスに誘ってるわ!」
「ちょっとゼフィルス、落ち着きなさい! ミューから手を離しなさい!」
「ゼフィルスさん! 踊るのでしたらわたくしがお相手しますわ!」
「リーナさんも一緒に止めましょう!?」
「おお!? 今度はラナとシエラか? 一緒にクルクルダンスしようぜー!」
「ちょ、ゼフィ、きゃ!」
「ゼ、ゼフィルス、お、落ち着きなさい……!」
「た、大変なことになってしまいましたわ! ゼフィルスさんが今度はラナ殿下とシエラさんを同時に!」
「回ってるよ~!」
たんのしぃ~!
ついに上級中位ダンジョンの解放! 解放の上級中位ダンジョン!!
俺たちが上級中位ダンジョンに突入するときが、ついに来たのだ!
しかも来週からは夏休み!! 時間ならたっぷりある!!
俺たちの時代が来たーーー!!
ふははははは!!
「ゼフィルスさん? ゼフィルスさんー! 帰って来てくださいましー!」
「ありゃりゃ、あれはまったく聞こえてないね」
「メ、メルト、あれは大丈夫なのか!?」
「気にするなラムダ。いつもの事だ」
「いつもあんなことをしているのか!?」
「ミュー、大丈夫か?」
「リ、リカ? うん、目が回っただけだから。でもちょっと楽しかった」
「そ、そうか? ふむ、まさかギルドメンバー以外から犠牲者が出るとは。しかし楽しかったようで良かった」
「ラナ様! 大丈夫ですか!」
「だ、だいじょうぶよシズ。うん、なにもしんぱいいらないわ」
「だいぶ声に力が入られていませんが!?」
「シエラさん、羨ましいから私にも代わってー」
「シャロンお姉ちゃんずるいのです! ルルも代わってほしいのです!」
「…………」
「ほ、本当にいつもの光景なのか……」
「気にするなラムダ。その内に終わる。巻き込まれないよう傍観に徹するのが一番いいぞ」
「ゼフィルスにこんな弱点? があったとは、ちょっと驚いたぞ」
「弱点か…………。ラムダよ、ゼフィルスはわりと弱点だらけだぞ」
「なに??」
どれくらいクルクル回っていたんだろう。
気が付けば腕の中にラナとシエラが居た。
あれ? いつの間にラナとシエラが?
…………まあいっか!
そうれクルクル~~!
テンション上がって天元突破したときはとりあえず踊ろうぜ!
え? シャロンもルルも踊りたい? よーしそれじゃあ踊ろうか!
テストが終わった放課後の時間のクルクルダンス、これは後に〈ゼフィルスの狂乱〉と呼ばれることになったとか。
後書き失礼いたします! 新刊発売のお知らせ!
今週末の5月10日金曜日に〈ダン活〉小説9巻が発売されまーす!!
今回はなんと言っても新キャラ続々登場!
その数なんと7人!
〈アークアルカディア〉が結成され、サチ、エミ、ユウカ、レグラム、アルル、ニーコ、カイリが初登場します!
表紙にはなんとサチ、エミ、ユウカが登場!
口絵にはカイリ、ニーコ、アルルが登場します!
レグラムは挿し絵で登場です!
みんなとっても可愛くてかっこいいので是非是非見てほしいです!
また挿し絵では夏服姿も多く登場! 表紙では冬服のサチ、エミ、ユウカも挿し絵では夏服バージョン! 是非見比べてください!
マリー先輩の夏服姿もあるよ!
そして最後にBOOK☆WALKER限定SS発表!
「タイトル:レグラムとゼフィルスの出会い。~【花形彦】が伝授されるまで~。」
(約5000字)
レグラムが【花形彦】に就くときゼフィルスがなにをやらかしたのか、書かせていただきました。
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