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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二章 目指せ最強へ一歩ずつ!

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#102 シエラもビビる。リアル幽霊とか凄く怖い。




 リカが加入した翌日、水曜日。


 今日来たのは初級中位(ショッチュー)〈幽霊の洞窟ダンジョン〉。

 文字通り〈ゴースト〉が徘徊するダンジョンだ。


 薄暗い洞窟内で、奥の方から「キャッキャ」と何かの話し声が聞こえてくる。

 RPGなんかでもお馴染みのホラー系ダンジョンだな。


 出てくる〈ゴースト〉は無属性の物理耐性が非常に高く、その代わり魔法耐性が紙だ。これは通称〈幽霊(ゴースト)特性〉なんて呼ばれていた。

 攻略するなら魔法がセオリーだな。または、無属性の物理に異常に強いだけなので属性武器を使えば良い。


 ちなみにだが〈ゴースト〉は〈ダン活〉で初めて魔法を使ってくる通常モンスターだ。火の玉(ファイヤーボール)を放ってくるな。

 〈ゴースト特性〉と(あい)まって、このダンジョンは、別名:〈最初の筋肉殺しダンジョン〉なんて呼ばれていた。

 【筋肉戦士】は装備を付けないからな。完全に無属性だ。魔法にも弱い。


 「筋肉は幽霊(ゴースト)に無力」、そんな格言もある。


 例の【筋肉戦士】のパーティ、ここ抜けられるのだろうか?(すでに全滅済み)




 今回ここに来たのはラナたちの職業(ジョブ)LVが20になり、〈スキル〉〈魔法〉の二段階目が解放されたからだ。

 ラナが念願だった魔法攻撃を取得して、エステルが属性攻撃スキル『プレシャススラスト』を取得した。


 俺には『シャインライトニング』があるし、ハンナも『ファイヤーボール』がある、これで攻撃役が整った形だな。


 ということで準備が整ったので挑んでみたのだが、まあ懸念していたことが当たってしまっていた。


「くっ」


「クケケケ!」


「『ソニックソード』!」


「『ファイヤーボール』!」


 シエラの『挑発』をすり抜けて〈ゴースト〉がラナに迫った。

 俺が『ソニックソード』で割り込んで怯ませ、そこにハンナの『ファイヤーボール』が直撃して倒し、難を逃れる。


 ダンジョンに挑んだ当初から何度もあったミスだった。


 その後、戦闘が無事に終わり、少し肩を落としたシエラが戻ってくる。


「ごめんなさい。また抜けてしまったわ」


 モンスターのタゲを取りきれずに後列を危険にさらす。

 タンクとして、盾に誇りを持っているシエラにはかなり堪えている様子だった。


「別にいいさ。苦手なんだろう? 幽霊(ゴースト)


 ゲームなんかでも幽霊やお化けが苦手だという人は意外といる。

 そしてここはリアルだ。リアル幽霊だ。正直俺でも最初はビビッた。子どもなら泣き出しておしっこ漏らすレベルだと思う。それを相手に泣き言も言わず前に出るのだからシエラは凄い。多少のミスくらいなんでも無いさ。


 しかし、意外にもハンナとラナとエステルはリアル幽霊が平気だった。

 ハンナにこっそり聞いてみたら「〈名も無き始まりの村〉の森の方が怖かった」と言われた。あ~、今ではボコボコにしているスライムのせいで耐性でもついたのだろうか?


 そしてシエラは昨日のステ振りの時から予想していたけれど、幽霊モンスター系がやや苦手の様子だ。


 今日は朝から〈幽霊の洞窟ダンジョン〉に潜っているが、シエラは〈ゴースト〉の前には出られる。しかし、その後のスキルでミスを連発していた。

 今の戦闘のように『挑発』でタゲ取りをミスる事もしばしばだし、だからと言って『ガードスタンス』で全体のタゲを取れば、今度は被弾しまくった。RES値が高いので問題は皆無だったが、シエラは精神的に落ち込んでいる様子だ。


 俺がタンクを代わろうかと提案もしたのだけど、それだとシエラが俺の代わりにアタッカーが出来なくてただ付いていくだけになる。それはシエラが断固拒否した。


 シエラからも「苦手を克服するためにもやらせて」と言われれば否とは言えない。


「ま、無理せずに行こう。失敗しても俺たちがフォローする。ゆっくりやればいいさ」


「そうよ。いつもシエラには助けてもらっているのだから、今回は私たちが助ける番よ!」


「私も微力ながらフォローしますね」


「もちろん私もです。ご心配なさらずとも、初級中位(ショッチュー)のモンスターにそうそう後れはとりません」


「ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうわね」


 誰にだって苦手なものや嫌いなものはある。全然問題はない。

 実際、俺たちのパーティはRES値が非常に高いし、装備もかなり良い。被弾したところでラナが回復してくれる。まったく問題なかった。


 リアル〈ダン活〉はこういう相性まで試されるようだ。

 まったく、こういうのも新鮮で良いもんだな。

 いつもクールなシエラがミスばっかりして落ち込んでいる様子が地味に萌えたのはここだけの秘密だ。




 いつもならお昼にはボス部屋の救済場所(セーフティエリア)まで進んでいるのだが、今日はゆっくり進行する。

 今は10層と11層の境目でお昼休憩を取っていた。ここは比較的モンスターが出にくいところで、ほぼエンカウントしない。この場所を通るとすれば徘徊型のフィールドボスだけなので、それが出ない初級中位(ショッチュー)では救済場所(セーフティエリア)扱いだった。


「相変わらずハンナのご飯は美味しいわね」


「あまり見た事のない料理が多いわよね、新鮮だわ」


「ラナ様、それはお弁当だからです。王宮の料理とはまったく違うものですよ?」


「あ~美味だわぁ。ダンジョンは楽しいけど一番癒される瞬間はこのときだよなぁ」


「ふふ。みんなに喜んでもらえてよかった」


 ダンジョンで至福の時。ハンナのお弁当のお時間だ。

 地面にレジャーシートを広げてテーブルを設置し、皆で囲って昼食を食べる。


 ああ、すばらしい。ゲーム時代じゃ食事休憩すらなかったからな。

 リアルじゃ腹が減るのが少し億劫だと思ったこともあったが、今ではハンナの食事が食べられるこの機会が待ち遠しいまである。

 見目麗しい美少女が4人もいるしな。この状況下で喜ばない男はいない。本当にリアル〈ダン活〉、最高だ! 飯も超美味い!

 ああ、美少女に作ってもらったお弁当を美少女に囲まれながら食べるのが至福過ぎる。


 英気も養えたので、午後からの攻略も楽しんでいこう!





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公は8000時間以上プレイしたと書かれていますが、読んだ時点までの言動・行動を見てあえて調査的な行動を取らない様に気を付けて書いていますね。 おそらく主人公は元々未知の情報を調査す…
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