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麻薬寄生植物ソムヌス 〜祖母殺しの英雄〜  作者: みずのと うさぎ
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三世代の戦い

 隠れていたデュオとトリーが、剣を構えて飛び出した。

 ウーヌスが仕損じた時は、デュオがすぐに切らねばならない。


 エル様は飛び出してきたデュオを見つめた。水色の髪と目のデュオ。

 そしてデュオの横には、40年前に出会った頃のウーヌスにそっくりな若者、、、トリー。


 この子たちを守らねばならない。

 エル様は正気を失う前に自分の舌を噛み切った。

 口から赤と緑が入り混じった毒々しい汁があふれ出た。

 

 ウーヌスはエル様が苦しまないように、介錯しなくてはならない。

 エル様の首が飛んでしまわないように、ウーヌスはエル様の水色の髪を左手で掴んで、右手の剣でエル様の首を叩き切った。

 

 エル様の首から赤と緑の毒汁が勢い良く大量に吹き出した。 

 エル様の首の太い血管は切断された。

 

 ウーヌスがソムヌスのツタで心臓を貫かれた時、デュオはエル様の心臓を剣で刺した。


 エル様の心臓にもソムヌスの硬い根が張り、剣は半分しか刺さらなかった。

 エル様の心臓から大量の赤と緑の汁が吹き出して、デュオの全身が赤緑に染まった。

 ソムヌスはツタでデュオの脚を切り落とした。

 

 トリーはエル様の背中の骨の間から心臓を突き刺した。


 大量の血と毒汁が吹き出たが、デュオが心臓を刺した時より吹き出る血の勢いが弱かった。

 ウーヌスとデュオの切ったところから血と毒汁は大量に噴出した後なので、吹き出す血は量が減って勢いも衰えているのだ。

 

 隠れていたツェーン姫は前に飛び出し、防御魔法でトリーに緑の毒汁がかからないように大きな防御壁を作った。

 そして、まだ息のあるデュオの脚を回復魔法で止血した。


 ツタに心臓を貫かれたウーヌスは死んでもエル様の水色の髪と首を離さなかった。

 ウーヌスの死体とエル様の首は、ソムヌスの暴れるツタにぶら下がったまま振り回されていた。


 回復魔法と防御魔法を繰り出すツェーン姫を狙ってソムヌスの毒ツタが飛んだ。

 トリーが短剣で飛びかかり、ツタの攻撃からツェーン姫を守った。


 その隙に護衛騎士たちはツェーン姫を温室の外に連れ出した。

 

 トリーはデュオを引きずって、温室の外に逃げた。

 温室の外に出ると他の兵士たちがトリーとデュオを研究所の外まで運んだ。


 エル様の回復防御魔法が無いので、ソムヌスは緑の汁を流しどんどん弱っていった。


 断頭されたエル様は絶命し、今動いているのは寄生植物ソムヌスだけだ。

 赤い花びらを撒き散らし、ツタは苦しそうに暴れていた。


 温室の外にいた兵士たちは、準備していた大砲を四方から撃ちこみ、温室に火をかけた。


 炎は新薬草研究所に全体に広がり、燃える温室中から怪物の断末魔の叫びが聞こえたような気がした。

 新薬草研究所を囲んでいた兵士たちの前で、全て灰になって燃え尽きた。

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