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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子、再び王都へ。

辺境伯領地に帰って来て5年、瘴気の毒沼浄化がやっと終わった。

ここまで時間が掛かったのには理由がある

毒沼の数が多く、また瘴気の濃さは初めて見た北の森とは比較にならない程のものが沢山あった

1箇所の浄化でほぼ魔力を使い切ってしまうので、速いペースでも1週間に1箇所、大体は2週間に1箇所のペースで地道に浄化を続けた。


途中、領地で疫病が流行った

領地にもそれなりに薬の備蓄はあるけど、全然足りない。

薬が届くまでの間、討伐隊の備蓄の回復薬も出して各街へと父様は手配した。

病気自体は治らないけど、体力だけでも維持出来れば被害は抑えられる。



私達が住む街は不思議と疫病があまり流行らなかった

父様の予想では「病魔も魔なるものだから、少なからず浄化しているのではないか?」という事らしい。


念の為に3日程、継続治癒魔法リジェネレーションを街全体に張っておいたら、数少ない患者も回復したとの報告が来ていた、良かった・・・



領地内の他の街も回り、隣接する領地にも疫病がうつらないように治療して回った。

その際、神子が来たとなれば大騒ぎになるので影からこっそり街全体に魔法を掛け、数日滞在するといった活動になる。

そんな活動に2ヶ月、終息した頃に私が病気で倒れた。

結果的にはただの風邪だったけど、父様に怒られ、ゴードンさんに怒られ、セバスさんに怒られ、レインに怒られた私は1ヶ月屋敷を出る事を禁止された、ごめんなさい。


そんなこんなで領地の平穏に5年を掛け、15歳になった私は再び王都に来た。

今回は父様と、1年前に18歳で学校を卒業して帰って来ていた兄様も一緒にだ。




国王シロさんから手紙が来た

内容は辺境の平定記念のパーティーを開催するので来て欲しい。

その場で国から神子(わたし)への感謝を伝える、同時に神子のお披露目、ついでに15歳を迎えた私のデビュタントにしてしまおう、という事らしい。


人前はやっぱり苦手だけど、全貴族が集まるので知り合いに会えるのは楽しみにしてる。

王様王妃様、フィリアさん、ガウェインさん、クラスの人ともずっと文通していた。

辺境伯領地に1ヶ月に1度届く手紙の束は、数少ない私の楽しみになっていた。




「マリア!」

「姉様!」


別邸に到着して馬車を降りると姉様にぎゅうーっと抱きしめられた

久し振りの姉様の抱擁、私もぎゅうーっと抱き締め返す


「あらあら、本当に仲良しね、ベルもマリアも」


母様とも抱擁を交わし、お茶をしながらお互いにおしゃべりして近況を伝える。

その日は姉様と一緒に眠った、1ヶ月後にはパーティーがあるので次の日からは準備で慌ただしくも楽しく家族全員で過ごした。






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