クロード・ラフィスタ辺境伯①
マリアだけが帰って来た、たった数ヶ月だが大人びたようにも見える。
ああ、マリアベルもそうだった
この年齢の女の子はほんの一瞬でも変わる、それは蕾が花開くようなもので、数ヶ月ともなれば見違える程に変わるだろう。
先に聞いたのは瘴気の毒沼について、ゴードンも立ち会い報告を聞いてすぐ様部隊を編成、状況確認に行かせた。
本題に入る、マリアの思い出話だ。
うんうん、そうかそうかルクシード伯爵家な、そうか。
ああ、そんな力を振るって騎士を助けたなんて偉いなマリアは
でも心配だ、マリアの優しさに漬け込むゴミは居ないだろうな?
あとでゴードンに確認せねば・・・
ほう、第三王子が? へえ・・・
フィリア王女と友達になったのか
マリアベルに似た彼女ならマリアと相性が良いだろう、逆にマリアベルとは喧嘩友達になるかな? いやマリアが居ればそんな事もないだろうな・・・
クラスの皆に手紙を送りたい?
ほほう、皆いいところの子供だな、フィリア王女と同じクラスなら問題ないだろう、あとで家名を教えるよマリア。
手紙は失礼のないように一応確認させてくれるかな?
ん?ガウェインさん?
ルクシード伯爵家の次男か・・・
待てマリア、さっきまでも楽しそうに話していたけど
ガウェインの話になってからは声のトーンが半音上がったね?
目も輝いている気がするよ?
ま、ま、ま、まさか・・・
ちょいちょいと手招きをして膝を叩く、マリアはちょこんと乗ってきた
本当に可愛いな!ウチの娘は!
じゃない!
マリアは私の事好きかな?
好き?そうかそうか私も大好きだよ
じゃあゴードンはどうかな?
好きか、うん頼もしいもんな、いつも守ってくれるからな。
ガウェインは、どう、、かな?
・・・好きかどうか分からない? でも格好いいと思う?
そんな頬を染めて・・・
え、シルヴィーも懐いている?
マリアが居なくなった執務室
「ゴードン、どう思う?」
「毒沼は中々危険かと、たった1年で黒トカゲがドラゴン級に・・・」
「そんな事は些事だ、マリアに目を付けた虫の事だ!」
「・・・旦那、落ち着いてくださ」
「私は冷静だ、落ち着いているとも!で!虫は!?」
「・・・、良い奴ですよ、邪な感情は無いと思います、ルクシード伯爵家の男子ですから女には慣れていませんし」
「殺すか?」
「いや、ちょ、本当に落ち着いて・・・、お嬢だってちょっとした初恋くらいする年頃ですよ、外に目を向けてー」
「待て、ゴードン」
「・・・はい」
「マリアの初恋は私だ、間違えるな」
「・・・はい」
「で?」
「はあ、まあガウェインは敬愛8に好意2と言った具合でしょう、どちらかと言えば妹のような感覚にも見えますが」
「よし、殺そう」
「・・・」
結局、ゴードンがクロードを落ち着かせるまでに2時間掛かった
国境を預かる頼れる辺境伯は、娘の話になると人格が変わる程溺愛していた・・・
ガウェインとマリアに関する質問は一挙手一投足聞き出し
事ある事に「殺す」と言い出す当主に深くため息を付いたのはゴードンか、それとも隅に黙って控える家令セバスか・・・




