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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
33/109

神子と騒動。

お昼には朝馬車の中で言った通り兄様が迎えに来たので一緒に食事へと向かった。

大きな食堂とカフェテリアがあって、今日は天気が良いのでカフェテリアで食事を摂る事になった。


4人がけの丸テーブルに兄様姉様とフィリアさん、私で座る。

今日のオススメランチ、クラブサンドとかぼちゃのポタージュ、とても美味しい!


「マリア、美味しい?」

「うん!」

「ここのシェフは元々王宮料理人だったのよ、息子さんに後を譲ってこっちに来たの」

「だからこんなに美味しいんだ」

「ええ、わたくしにとっては慣れ親しんだ味ですけど」

「王宮の味と考えると贅沢だよね」

「確かにそうですわね、ふふ」


「マリア、クラスはどうだい?」

「勉強は難しいけど皆さん親切に教えてくれるので楽しいです兄様」

「それは良かった」

「今日は隣がエメラダさんなんです、教えるの上手で助かりました」


丁度隣のテーブルにエメラダさんが居たので紹介すると

兄様とエメラダさんは互いに黙礼した。

食事中だからね、席を立つのも何事かとなるからこれでいいらしい。


基本的に会話は食事後のお茶の時間にするので無言でクラブサンドを食べていると・・・



「あ!神子様ですよね!あの、お父さんを助けてくれてありがとうございます!」


元気よく声を掛けられた、制服のリボンを見ると1年生の平民の生徒のようだ。

学校では学年と貴族平民を見分ける為にそれぞれリボンの色が違うのでスグ分かった。

お父さんて?


「・・・」もぐもぐもぐ


いけない、美味しくていっぱい詰め込んじゃったから口開けない・・・


「申し訳ないけどマリアは今食事中だから」

「なんですの貴女、食事中に不躾な・・・、それに声が大きいですわよ静かになさい」


兄様が静かに、フィリアさんが片眉をピクリとあげて言うが


「あなたこそ誰ですか? 私は神子様とお話ししているんです! あの神子様、私本当に感謝してるんです!良ければ友達になって下さい!」


「!?」


王女様であるフィリアさんを知らないと言う発言と神子様と大きな声で言ったので、周囲がざわりとして注目が集まった。


「おいおいフィリア王女様知らないとか大丈夫かアレ?」

「平民だから知らないんじゃないの?」

「いやいや、平民だろうが貴族だろうがこの学校に来ているならせめて王族の顔は憶えておかないとヤバいだろ・・・、校内とは言え最悪不敬罪もあるんだぞ」


「見て、あの漆黒の御髪、神子様も通ってらしたのね」

「フィリア様と同席なさっているということは、12歳なのかしら? とても可愛らしいわね」

「違うわよ、お隣にロイド・ラフィスタ様とマリアベル・ラフィスタ様がいらっしゃるでしょ、今年はマリアベル様が御入学で神子様は10歳と聞いているわ」

「10歳!?6、7歳位にしか見えないけど・・・」


「王女様に魔王様に剣の薔薇姫、そして神子様のテーブル、しかも食事中になんてマナー違反の役満だ、殺されるぞ・・・」



ん?なんか凄い事を言われた気がする

チラと兄様を見ると、フといつもの様に笑う

姉様を見ると我関せずで食事を口に運んでいた

兄様も姉様も何かしたの!?



ロイドは成績で常に首席、辺境伯の嫡子。

爵位が下で自分より優秀な事が気に入らない公爵家の子息が1度絡んだ事があった

数日後、その子息は顔色を失いロイドを避けるようになった事から、ロイドが何かをした事は明らかであったが子息は怯える様子に対してロイドは変わらず過ごしていたので影の王、魔王様と囁かれていた。


マリアベルは入学して早々に騎士科の生徒と決闘していた。

辺境で実際に魔物討伐している評判は知る人ぞ知る事実だあったが、とある騎士の子息が

「どうせ討伐隊に着いて行っただけの有名無実な話だろ? 本当なら俺に勝ってみろよ」

と挑発。

それをマリアベルは徹底的に叩きのめした

剣と魔法を使って勝つと「魔法は卑怯だ」と言われ、剣のみで圧倒。


そんなことから、とんでもないテーブルとなっていた所へマナー違反の突撃は周囲も驚き、余計に神子であるマリアへの注目にも繋がった。





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