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天空の城を貰ったので異世界で楽しく遊びたい  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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ゴーレム部隊

【帝国】


 規則正しく列を作り進軍する兵達を眺め、ヴィオレットは頬杖をついて息を吐いた。


「……どうやら、王都の方々は守りを固めて耐えることにしたようですね」


 そう呟くと、ヴィオレットは椅子の上で足を組み替える。


「嫌ですねぇ。まるで弱者を虐げる小者になったような気分です」


 ヴィオレットのそんな言葉に、騎兵の一人が苦笑した。


「しかし、アツール王国の者共も阿呆ですな。我が帝国が誇る最新鋭のゴーレム部隊に対抗出来なければ、いずれ必ず城壁の何処かは崩れ去ることでしょうに」


 騎兵の言葉に軽く頷き、ヴィオレットが笑う。


「素早く動けないゴーレムを平地で動き回って何とか叩き潰したい。しかし、そのゴーレムの背後には万を超える軍勢がいる……随分と悩んだのでしょうが、最もつまらない戦い方を選んでしまったようですね」


 ヴィオレットがそう言うと、周囲の兵達から笑い声が上がった。皆と笑い合う中、ヴィオレットは王都を囲う城壁の上に目を向ける。


「さて……まともな篭城戦をしたいのならば、城門や城壁を壊すゴーレム、破城槌を真っ先に狙う筈ですが……果たして私の想像を超える事が出来るのでしょうか」


 薄い笑みを浮かべたヴィオレットがそう呟いた時、城壁の上では赤い炎が燃え上がった。






【王都】


「も、も、もっと引きつけてから狙った方が良かったのではありませんか!? 将軍!」


 白いローブを着た中年の男からそう言われ、豪華な鎧を着た壮年の男が歯を見せて笑う。


「馬鹿、そんなのは勝てる戦でやるんだよ! 数でも質でも負けてるから篭城してんじゃねぇか!」


「か、か、勝てない戦争なのか、やはり……!」


 白いローブの男が顔色を変えると、背の低い鎧の男が眉尻を吊り上げた。


「ドゥケル将軍! そんな士気が下がるような言い方は……!」


 背の低い兵が怒鳴ると、ドゥケルと呼ばれた男は大きな声で笑う。


「ぶわははは! どれだけ我慢すりゃ良いのかも分からん篭城戦なんざ士気が下がる一方だろうが!」


 ドゥケルはそう言うと、口を笑みの形そのままに、目を鋭く細めて白いローブの男を見た。


「勝てない戦だが、負けない戦でもある。今は数でも質でも負けてるが、こっちは王国中の戦力を集めようとしてんだぜ? 時が経てば、数だけはこっちが上回る!」


 目の前の男一人に説明するには大き過ぎる程に声を張り上げ、ドゥケルは続ける。


「こっちがゴーレムを潰そうと躍起になるなんざ帝国軍だって承知の上だ! ならば、最初から虎の子の魔術師部隊がゴーレムを潰そうとしてると教えてやれば良い! そうすりゃ、ゴーレムを無駄に破壊されないように動きは鈍る!」


「な、なるほど……じ、時間稼ぎか……」


 ドゥケルの迫力に呑まれたのか、男は小刻みに頭を動かしながら返事をした。そんな男を横目に、ドゥケルは周囲に向かって声を発する。


「いいか、お前ら! 敵は真っ先に魔術師を狙ってくる! 矢を射る者以外は全力で魔術師どもを守れ! 分かったな!?」


 そう怒鳴ると兵達から怒号のような返事が返ってきて、ドゥケルは大声で笑った。


 その時、城壁の最前列で盾を構える兵が口を開いた。


「帝国軍、矢の射程圏内に入りました!」


「開戦の合図だ! 弓兵は全員矢を構えろ! 派手にいくぞ!」


 ドゥケルは指示を出しながら城壁の上を歩いて行き、帝国軍の先端に並ぶゴーレム達を睨んだ。


「破城槌は歩兵が城壁の下に来るまでは出てこないからな、安心して良いぞ! こっちの弓矢は届くが向こうからの攻撃は届かん! 射ち放題だ……っ!?」


 ドゥケルが兵達を鼓舞しながら歩いていると、風を切り裂く音が鳴り響き、地面を揺らすほどの衝撃が城壁を襲った。


「な、何だぁ、今のは!?」


 兵達を押し退けて前に出ると、城壁の壁に突き刺さる鉄の槍らしきものがあった。それを確認したドゥケルが、目を皿のようにして顔を上げる。


「ゴーレムが、矢を射るだとぉお……っ!?」


 帝国軍の最前列に並ぶゴーレムの一体。


 他に比べたら軽装なゴーレムが、人の倍以上ある自らの背丈よりも更に巨大な弓を構えて立っていた。


 そのゴーレムは一体だけ足を止め、その場で新たな矢をつがえ始める。


 ゴーレムの巨体だからこそ矢と判別出来るほどの鉄の棒である。その棒を片手で軽々と持ち上げるゴーレムを見て、ドゥケルは引き攣った笑みを浮かべた。


「おいおい、聞いてねぇぞ。詐欺だろう、帝国軍。城壁の上からでやっと矢が届くって距離から、城壁に突き刺さる投槍か?」


 ドゥケルがそう口にした直後、城壁が揺れ、新たな鉄の棒が城壁の中腹ほどに突き刺さった。


 それを見て、ドゥケルは鼻を鳴らす。


「一ヶ月はゆっくり篭城してやろうと思ったが、下手したら一週間か……くそ、あのゴーレムをぶっ壊すにゃあ騎兵だけじゃ無理だな……どうにかして、帝国軍の土手っ腹を切り裂いて……」


 ドゥケルがブツブツと呟いていると、何処かで大きな声が上がった。


「な、な、何か出た! 何か出て来たぞ!?」


 その絶叫にドゥケルが慌てて帝国軍の方に目を向けたが、先程までと変わらずに向かって来る帝国軍の姿があるだけである。


「何も無ぇじゃねぇか……!」


「しょ、将軍! う、上! 上です!」


 怒鳴り散らそうと振り返ったドゥケルに、兵の一人が空を指差して叫んだ。そして、ドゥケルを含めた多くの者達が目を剥いて驚愕する。


 まるで大量の鳥が空を舞うように、蝗の群れが空を覆い尽くすように、黒い小さな影が大量に出現していたのだ。


 その黒い影は、全て空に浮かぶ謎の物体から飛び出していた。


「しょ、将軍!? 謎の飛行物体から、大量の黒い物体が……!?」


「見れば分かる!」


 混乱する兵に怒鳴りながら、ドゥケルは空を凝視する。


「な、何なんだ、アレは……! ドラゴン……いや、人の形、か!?」


 混乱する兵達を諌めるのも忘れて空を見上げるドゥケルの目の前で、大量の黒い影はバラバラに地上へと降り立っていく。


 その姿に、ドゥケルは思わず声を上げた。


「……っ! ゴーレムだ! ゴーレムが空から降ってきやがった!!」



大量の破壊兵器…!

男のロマン…!


作者はアーマード・コアが大好きです。

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