24 ヤマノ料理
眼鏡の売り上げが順調に伸びている。この前のこともあるし、宰相様には感謝だね。その他の品も、少しずつ売れている。こんなに高いのにね。
あ、リヤカーも売った。スヴェンさんたち、だいぶ悩んだ末の御購入。一時的にたまたま稼げたお金もそのうち無くなる。それならばその前に未来に投資しよう、と決断したらしい。一応、レンタルやリースのことも説明したんだけど、仕組みを充分理解した上で、それじゃダメだ、との判断だった。うん、漢だねぇ。
売値はほぼ原価。大サービスだよ。絶対購入価格を漏らすなと固く厳命しといた。他の者にもその価格で売れと迫られたら店が潰れる、と脅して。みんな、真剣な顔をして頷いてくれた。多分、大赤字だと思ったんだろうね。広告塔となって、需要を掘り起こしてくれたまえ!
品物には満足してくれている。今までは輸送力の関係で軽く嵩張らない薬草を加えざるを得ず、それに時間を取られていた。たくさん運べるなら狩猟中心にして薬草や山菜の採取はやめる。帰りの移動速度も速く、身体へのダメージも少ない。うん、木の枝であの重量担いだら肩もその他もボロボロ、しばらくは仕事にならないね。
既に何度か狩猟中心で森へ行き、かなりの成果を挙げているらしい。狩猟に当てる時間が2倍近くになったわけだもんね。もうハンター専業でいいんじゃないかな。
ただ、イルゼちゃんがどうもボウガンが気になって仕方無いらしくて、たまに出会う度に何か言いたそうな顔をして葛藤してる。う~ん、ボウガンってかなり昔からあったよね、地球では。どうしようかなぁ…。
リヤカー、一般販売はどうしようか…。注文取り寄せかな。値段はどうしよう。お金のない傭兵や猟師だとあまり高くできないし。うん、要・熟考。
あ、遂に貯金穴を使ったよ。初めて金貨を投入する時、すごく期待した。投入と同時にパイプに耳を当てて……。
でも、音がしなかった。そーですよね、先にある程度の金貨がはいっていないとしませんよね、あの、ちゃり~ん、って音。ちくせう。
最近、サビーネちゃんが御機嫌斜め。お客さんが増えてきて、DVDの中断が多いのが原因。もっと客を減らせ、って、いや、それはちょっと……。
3階への立ち入りを認めるか? いや、あそこに入れると、ここに住む、とか言い出しそうで怖すぎる。
あと、ルーヘン王子を連れて来るのはやめて下さい、お願いします。
あ、この前、ベアトリスちゃんが来てサビーネちゃんと鉢合わせ。凄く驚いてた。知り合いだとか。デビュタント前でも交流あったんだ。
あ、序列低い王女と伯爵家長女でお遊び友達に指定された? 御学友のようなものですか、そうですか。少し年上の方が王女様に気遣い出来ますもんね。
サビーネちゃん、ベアトリスちゃんにDVDの話をするのはやめてください。見せようとしないで!!
ちりりん
17~18歳くらいの女の子がまっすぐこちらに向かってくる。え、何?
「すみません、相談所はここでいいですか」
おお、完成した木札を提げておいた甲斐があったよ! 久し振りの相談依頼!
あ、店名の看板も作ったよ、勿論。
相談の内容は、大体こんな感じ。
少女の家は食堂で、両親と少女、そして雇いの料理人ふたりの計5名で切り盛りしていた。父親がチーフ、28歳の男性雇い人がセカンド、19歳の男性が見習い兼下働き、母親と少女がウェイトレス兼会計係で、少女は料理の勉強もしているらしい。店は問題なく回っていた。
ところが、街の大きな料理店の次男が少女に目を付けたところから状況は悪化する。元気で明るい少女は人を惹きつける魅力があり、次男は一方的に少女に言い寄った。若い見習い料理人に惹かれていた少女がいくら断ってもしつこくつきまとう次男。
そのうち、次男の父親である料理店の店主が、店を継げない次男を少女と結婚させて食堂を乗っ取り次男に継がせようと画策。次男に継がせるつもりの食堂の信用を落とすわけには行かないため露骨な妨害や嫌がらせはできないものの、一時的に経営を悪化させて借金による搦め手を使おうとして、まずは年長の料理人を好条件を提示して引き抜いた。
そしてそれに続いて起きた、少女の父親が『謎の暴漢にいきなり襲いかかられ、わざわざ右腕だけを狙って綺麗に骨折させられる』という事件。時間が経てば完全に治るが、しばらくの間料理はできない。そして営業不能に陥った食堂は、数日前から店を閉めたままである。
料理店店主の企みについては、父に恩があるという料理店の従業員のひとりがこっそりと伝えてくれたものらしい。
依頼内容は、極めてシンプルであった。
『助けて!』
「ちょっと待ってて下さいね」
そう言うと、ミツハはドアの外側に『特別依頼請負中のためしばらく閉店します』という札を下げてドアの鍵を掛け、カーテンを閉めた。
雑貨屋ミツハ相談依頼部門、久々の大仕事だよ!
でも、そんな重い話、どうして11~12歳に見える私に相談する気になったのだろう?
あ、ライナー家の使用人さんとお友達ですか、そうですか。
「ではまず、状況を確認します。とりあえずの目標は、店の再開、営業の継続。そして経営状況悪化の防止。更に料理店からの干渉の排除と以後の手出しの防止。そしてできれば見習いさんとのゴールイン。これでいいですか」
「は、はい……」
少女は自分より遥かに若いミツハの冷静な言葉に驚き、そして最後の項目に少し赤くなった。
「とりあえず、現時点での新規の料理人採用は難しいですね。不慣れな者は入れても即戦力にはなりませんし、腕が良くて求職中のベテラン料理人なんかそうそういるはずがありません。下手をすると料理店の息のかかった料理人が送り込まれて来て足を引っ張られますよ」
「え……」
そんなことは考えたこともなかった少女は、ミツハの聡明さと状況の悪さに驚く。
「で、問題解決に必要なことは、知らない人は採用せず手元の人員で店を再開し営業を継続すること、閉店期間中の利益分も取り戻せるだけの利益をあげること、以後も安定した利益が出せるよう対策すること、料理店店主の思惑を潰して焦らせて自滅を誘うこと、以後の手出しを諦めさせるだけのダメージと恐怖を刷り込むこと。そんな感じですかね」
「そんな無茶な! どうやって……」
「それをやるのが雑貨屋ミツハ相談依頼部門のお仕事ですよ。ミツハにお任せを!」
ミツハの自信に満ちた言葉を聞き、少女は言った。
「あの、ゴールイン、という部分が抜けていますが……」
この少女、なかなかの大物であった。
21時、食堂『楽園亭』客席テーブル。
ランプが1つ灯されただけの薄暗いそこには5人の姿があった。
食堂の経営者夫妻ベルントとシュテラ、その娘アリーナ、雇われの見習い料理人アネル、そして山野光波。
ミツハが他の4人に昼間アリーナに言ったことを説明する。
「無理だ!」ベルントが断言した。
「まず、俺がこの状況。アネルは下拵えはできるがひとりで厨房を回すことなんか絶対に無理だ。アリーナは簡単な手伝い程度。それに3人が厨房にはいると接客がシュテラひとりになる。ひとりで給仕と会計をこなすのは無理だ」
ベルントはミツハの言葉を切って捨てた。
「ベルントさん、どうして見習い料理人が一人前になるのに何年もかかると思います?」
ミツハがベルントに訊ねる。
「え、そりゃまぁ、基礎から鍛えて、先輩料理人の技を見て覚えて、空き時間に練習して…」
「そこです! 見習いは、誰にも教えて貰えず下働きで忙しいなかで僅かな時間をみつけて廃棄するようなクズ材料使って自分で少しずつ試行錯誤しながら腕を磨く。そうですね?」
「ああ、料理人はみんなそうやって一人前になる」
「じゃあ、ベルントさんが朝から晩まで一日中付きっきりで手取り足取りで1つの料理の作り方のコツを教え込めば、下拵えの基礎は出来ているアネルさん、ベルントさんの9割くらいの出来のものが作れませんか? ベルントさんと全く同じでなくていいんです、9割あれば」
「あ、ああ、それなら、アネルだったら…。2つか3つはいけるかも知れん」
「一週間、アネルさんとアリーナさんに叩き込んで貰います。なに、本番でもベルントさんが後ろで眼を光らせて、時々助言や味の調整に手出しすればいいんですよ。片手でもそれくらいは可能でしょう?」
「う、まぁ……」
驚愕に眼を見開くアネル。師匠に直接指導して貰えるなど、店を継ぐ者か暖簾分けをして貰う者くらいしかいないのだ、料理人の世界では。それも最後の最後に。
「しかし、それだけでは…。多少でも味は落ちるし、他の店と較べて特に何かあるわけじゃない。しばらくの閉店で他の店に流れた客がすぐに戻るとは思えないし、常連は味の違いに気付くだろう。
それにさっき言ったとおりシュテラひとりでは接客も…」
ベルントの言葉に、ミツハはにやりと笑みを浮かべた。
「大丈夫。我に秘策あり、ですよ。泥舟に乗った気持ちで安心して下さい」
「全然安心できねーよ!」
そして7日後。食堂『楽園亭』は開店した。
「はい、おむらいす一丁、うどん一丁!」
「こちら、はんばーぐ定食あがり!」
活気に溢れた『楽園亭』店内。料理を運ぶのは、4人の女性達。女性達は、ベルントの妻シュテラと、傭兵のグリット、イルゼ達である。ミツハが指名依頼を出したのである。依頼料と賄い食食べ放題に惹かれ、狩猟続きで疲れが溜まり休養期間を取っていたグリットとイルゼはミツハの依頼に飛びついた。
あ、依頼は女性陣だけ。男は要らないよ。
厨房では、後ろから飛ぶベルントとミツハの声を受けてアネルとアリーナが必死で腕を動かす。ベルントは元々の『楽園亭』のメニューの指導。そしてミツハは『ヤマノ料理』の指導であった。
『ヤマノ料理』
暫く前から貴族の間で囁かれるようになった謎の料理である。かなりの数の貴族達の間で突然話題にあがるようになったその料理は、あり得ない素材、信じられない美味しさ、想像もできない調理法と、謎に包まれた料理であった。
多くの料理人が貴族から聞いた話を基にその再現に挑戦したが、そのことごとくが駄目出しを受けた。数人の、ある貴族邸の料理長に教えを乞うた者達を除いて。
教えを受けた者達はその料理長に料理の名を問うた。料理長は答えて曰く、『ヤマノ料理』。
ひとつひとつの料理には勿論個別の名はある。しかし、それら全てを纏めての、ひとつのジャンルとしての料理名、ヤマノ料理。
ヤマノ料理とはひとつの料理の名にあらず。ヤマノの技を使うもの、これ皆すなわち、ヤマノ料理なり。まるで、猿飛の術である。
称賛する料理人達に、料理長は首を振った。この料理は自分が作り出したものではない。全て師匠から教えられたものに過ぎない、と。そして教えを受けたその料理の数々に師匠の名を戴き名付けたのが『ヤマノ料理』である、と。
『ヤマノ料理』
その名は貴族や富裕層、更にはそれらの使用人等を経由して平民層にもしだいに広まりつつあった。
クチコミを使った。ライナー家の使用人さんとスヴェンさん達にお願いして、『楽園亭』でヤマノ料理が食べられるらしい、との噂を流した。
チラシはやめた。ここ、平民は識字率が低いらしいから。お店の開店時にチラシの効果がなかったのはそのせいか!
というわけで、学習効果というものがあるのだ、ミツハには。それで今回はクチコミ作戦。あまり派手にはやらないよ。お客さんが殺到しても捌ききれなくてメチャクチャになるから。開店直後だけ客を集めればいいってわけじゃない。長期に亘って安定したお客さんに来て貰うことが大切なんだから。
で、ヤマノ料理は雑貨屋方式ね。『多利薄売』。
だって料理店だよ。捌ける客の数に限界があるんだから。
裕福な人、たまには贅沢をしたいという人、女の子にいいとこを見せたいと見栄を張る女連れの男性、何かの記念日を祝う小金を貯めてる老夫婦、とかがターゲット。
あ、一応は安めのも用意してある。素早く簡単に作れて原価の低いやつ。明らかに高くなさそうな見た目だからムチャな値付けはできないし、まぁ、回転率のいい料理だし。うん、うどんとかね。小銀貨5~6枚。
他のも、高いって言っても雑貨屋みたいな暴り、げふん、高価格帯じゃないよ。せいぜい銀貨2枚以下、日本円でなら1800円くらいの感覚。
勿論、元々メニューにあった料理は、据え置き価格。
初日は、クチコミが効いたのか、満席とはならないまでも大半の席は埋まり盛況であった。途中で店内を覗き苦々しい顔をして去って行った男がいたらしいが、シュテラさんによると例の料理店の店主らしい。
あ、『ヤマノ料理』って名前だけど。マルセルさんが『ミツハ料理』って名付けようとしてたから、止めた。もう、必死で止めたよ。で、色々考えたんだけど。『日本料理』は違うだろう。ミツハ自身が混乱するし。『地球料理』も何か違う。みんなで検討した結果、『ヤマノ料理』に決まっちゃったよ! まぁ、姓の方はごく一部の人にしか名乗ってないからいいか。
バイトの女性陣は、7日契約。それだけあればアネルとアリーナもひとりでやれるだろうし、そうなればベルントさんが接客に廻れる。片手でもある程度の給仕や会計はできるだろうし、ウェイトレスなら安く雇えるだろうし。
2日目。
お客さんの中に、裕福そうな人や貴族っぽい人がちらほら混じっているような気がする。
うん、貴族がこんな庶民の店にはいるのは体面が保てないからか、皆さん質素な服で平民ぽい格好してるけど。バレバレなんですが……。
いや、計画通りなんで大歓迎だよ。貴族や有力者が馴染みで、『ここでしか味わえない料理』が出る店。うん、そのへんの料理店が手出ししたら警告や圧力がかかりそうだよね。有力者の常連客つくって、贔屓にして貰うよ!
でも、ちょっとお客さん多すぎない? 外に列が出来てるよ。
いや、これはちょっと計算違い。7日で落ち着くのだろうか…。
あ、アリーナ、カツ丼はそうじゃない!
3日目。
客の増加が止まらないよ…。
調理の方は順調。料理人のふたりも慣れてきたのかかなり手際が良くなった。
ヤマノ料理は、メニューの選択に苦労したよ。私が何かの事情でいつ転移できなくなっても支障がないように、食材はこちらで常続的に安価で手に入るもののみ。つまり香辛料チートとかは使わない。事前に仕込みさえしておけば営業中の調理は初心者でも簡単迅速に行える。これらの条件を満たすものとして、オムライス、ハンバーグ、うどん等いくつかのメニューを決めた。
あ、マヨネーズの作り方は教えた。卵と油と酢、その他ちょいちょいと混ぜるだけだからね。料理は発達させても構わないよね。電子レンジとか普及させるわけじゃないし。あ、自分用には持ち込んでるよ、勿論。冷凍食品に必要だもん。
5日目。
開店直後の食堂『楽園亭』に5人の男がはいってきた。並んだ客の列を無視しての横入りである。
「あ、お客さん、ちゃんと並んで…」
言いかけたシュテラは、驚いて口を止めた。
「ご盛況のようですな、楽園亭さん」
そこに立っていたのは、例の料理店店主、見知らぬ小太りの男、先日引き抜かれて辞めた元店員、そしてふたりの衛兵達であった。
「何の御用で?」
シュテラに呼ばれて厨房から出てきたベルントが不機嫌そうに無表情で訊ねた。
「いやいや、今日は、善良な国民としての義務を果たすために参った次第でしてね」
「いったい何のお話で?」
「お前の不正行為を告発し、正義を行うために来たんですよ!」
ベルントに、料理店店主は得意満面の顔で指を差して叫んだ。
どうやら、状況の変化に対して方針を変えたらしい。直接攻撃に転じた模様であった。
「不正行為? いったい何のことですかな」
「とぼけるな! ちゃんと衛兵の方にも来て戴いてるんだぞ!」
「いや、何のことだか…。まずは説明して戴けませんかな」
ベルントの言葉に、料理店主は壁に貼られた品書きを指し示した。
「あれだ! あれこそ動かぬ証拠!」
「え?」
「今、巷で評判の『ヤマノ料理』を騙り、客を騙しての悪徳行為! さ、衛兵のおふたり様、こやつをすぐにひっ捕らえて牢に!」
ぽかんとするベルントとシュテラ。心配そうに見つめるバイトの3人。食事の手を止めて固唾を呑んで見守る客たち。
ようやく状況を理解したベルントが料理店主に尋ねた。
「あの、うちのヤマノ料理が偽物であるという根拠はどのようなもので?」
「そう言い逃れすると思っていましたよ」
店主はにやりと笑った。
「ここにおられる方こそが、あのヤマノ料理の創始者、かのライナー子爵家料理長のマルセル氏である!」
客席から、おお、との声があがった。貴族らしき人がマルセルをガン見である。
「さあ、マルセルさん、証言を!」
「いや、食べてみないと判らないだろう。とにかく料理を出して貰おうか」
マルセルのあまりに真っ当な主張に、衛兵の手前もあり店主はやむなくそれを了承した。どうせ僅かな時間に過ぎない。
「では、スープと、おむらいす、とやら。それと、はんばーぐ、を貰おう」
料理店主は笑顔である。マルセルが知らないらしいメニュー名。これで偽物確定だ。
ベルントが調理場に向かって叫び注文を通したあとは、ただ待つのみ。客たちも食事を再開しつつ静かに見守っていた。
そしてしばらく経ち、テーブルに料理が運ばれてきた。
静かにスープを飲むマルセル。その顔が顰められる。
はんばーぐを口にするマルセル。不機嫌そうな顔。
おむらいすを食べるマルセル。今にも怒鳴りそうな…
「これを作った人を呼んで来い!」
あ、怒鳴った。
「なに騒いでるの、うるさいなぁ…」
厨房から出てきたミツハ。
「これはいったいどういうことですか!」
怒鳴るマルセルを見て、料理店主はほくそ笑む。
「どうして私に教えてくれていない料理を、こんなところで教えてるんですか、師匠!!」
「「「「えええええ~~~っっっ!!!」」」」
「だって、あの時はパーティー用の料理だったじゃない。これは仕込みはともかくとして、一人前ずつ作る料理だから、あの場で教えるはずないでしょう」
「い、いえ、でも、普段旦那様方にお出しするには、このような料理も…」
「あ~。じゃ、厨房行って教えて貰いながら手伝う? マルセルさんも色々教えてあげてよ。一応はマルセルさんの弟妹弟子、ってわけだし」
「承知!」
厨房へと飛んで行くマルセルさん。アゴが外れそうな料理店主。困惑する衛兵。
「で、何の用だって?」
ミツハの声が静寂に包まれた店内に響いた。




