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210 忙しい…… 2

 そういうわけで、我が子爵領の、第二次・第三次産業である。

 そっちの進展状況は……。


「ミツハ、私に構ってよ!!」


 出たな、ベアトリスちゃん!

 いや、まぁ、せっかく美味しい役職に就いたというのに、私がずっと不在だったからなぁ。

 奇岩島は、転移で設置した『某国からの戦時鹵獲品』である金持ちの自宅に、ボーゼス伯爵様が給水設備とかトイレとかを設置してくれて、一応は使える状態になっている。

 浮き橋は、保留。

 丸太を、間隔をあけて3列に並べ、上面を少し削って平らにして板を張れば。

 そしてそれを海岸から島まで並べれば、潮の干満には関係なく使える、浮き橋ができる。

 でも、大量の丸太が必要だし、海が荒れるとバラバラになって流失するかもしれない。そうなったら、大損害だ。


 もし浮き橋を作れば、両側の丸太の部分に車輪が当たるように車幅を設計した、普通の馬車よりかなり小型の『浮き橋専用馬車』とかを運行させてもいいかなぁ。車輪を大きく、少し柔らかい材質で作って、浮き橋の傷みを抑えるようなやつを。

 そうすれば、領民の雇用が増えるし、荷を積み替えることになるから、おかしなものをこっそりと持ち込まれるのを防ぐこともできる。

 まぁ、あの島は『ボーゼス伯爵領との無税取引の口実用』だから、実際に島に大量の物資を運ぶことは、何かの特別な事情か欺瞞行為以外ではないだろうし、本当に大量輸送の必要がある時には、私が転送するから、当分は小舟での移動だけでいいか。

 小舟も、地球で買ってこようかな、どこかの公園で使われていた中古品のボートとかを格安で。

 手漕ぎボートとかなら、地球産のでも問題ないだろう。

 ……あ、足漕ぎのやつとか、いいかも! 人力の、小さなスワンボートとか……。

 漁船とかとは違って、こういうのなら、少しお遊びを入れてもいいだろう。もし私がいなくなっても、壊れたら普通の小舟を使えばいいだけだから、何の問題もない。

 ……って、今はそれどころじゃない! ベアトリスちゃんをなだめないと!


「ごめんごめん! ちょっと仕事が忙しくて……。

 で、ここのベアトリスちゃん専用執務室はどう? 気に入ってくれた?」

「うん! それには、大満足だよ!」

 うむ、ここ、ヤマノ子爵家領地邸に、ベアトリスちゃんの部屋を用意したのだ!

 奇岩島の屋敷は、あくまでも『お飾り』だからね。あんなところに、ベアトリスちゃんをひとりでポツンと座らせておいてどうするのか、ってことだ。

 だから、ベアトリスちゃんがあそこへ行くのは、『対外的なアピールの時だけ』でいいだろう。

 普段は、ボーゼス家か、うちにいればいい。そして、いない方の者達は、『あ、今は島に行って仕事をしているんだな』と思ってくれればいい。……ベアトリスちゃんの勤務実態を知っているのは、うちの家臣達とボーゼス伯爵夫妻だけだ。

 アレクシス様とテオドール様にも、内緒。どこでポロッと口にしちゃうかも分からないからね。


 で、ベアトリスちゃんの部屋には、冷凍室無しの小型冷蔵庫と小型扇風機が置いてあり、1日1個、日本製のお菓子が提供されるのだ。

 湯沸かしポットとかは電気を喰うし、あまりメイドさんの仕事を奪うのもアレだから、なし。

 加熱モノはこの世界の設備でどうとでもなるので、ここの設備では困難なもの、つまり冷却モノにしたわけだ、御機嫌取り用のサービス設備を。

 そしてお菓子の量の制限は、勿論、ベアトリスちゃんの健康と体型維持のためだ。

 うちに出入りするようになってからブクブクに太ったりすると、ボーゼス伯爵様とイリス様に殺される……。

 DVDとかは、さすがにベアトリスちゃんには解禁できない。どうせ、日本語が分からないし。


 まぁ、そういうわけで、これで『不満だらけだよ!』とか言われたら、立つ瀬がない。

 それに、普段はコレットちゃん他、『ヤマノ子爵家メイド少女隊』のみんなが遊び相手を務めてくれている。

 ……うん、勿論、年増た……大人隊のみんなには『仕事のうち』と説明してあり、本人達には『ベアトリスちゃんを楽しませてあげるように』と言ってある。別に、『仕事として、義務感で遊べ』とは言っていない。

 いや、接待ゴルフや接待麻雀じゃあるまいし、そんな配慮で一緒に遊んで貰っても楽しくないよね、ベアトリスちゃんも、少女隊のみんなも……。


 さて、ベアトリスちゃんのモチベーションを維持するためにも、そろそろお仕事をお願いするか……。

「ベアトリスちゃん、もうすぐうちの方から荷が届くから、王都への輸送と販売をボーゼス伯爵領にお願いしたいの。手配、お願いね」

「任せて! ああ、苦節14年、いよいよ、我が『ベアトリス商会』が世界に羽ばたく日が……」


 苦節14年、って、ベアトリスちゃん、あんたこの前14歳になったばかりでしょうが!

 人生全て、『苦節』かいっ!


 ……そして、そう、商会の名は『ベアトリス商会』になった。……らしい。

 何の捻りもない名だけど、まぁ、当初の目的通り『この商会は、ベアトリスちゃんが仕切り、ベアトリスちゃんの存在を前提としている。だから、他所にお嫁に出すことはできない』ということの説得力を増すためだから、この名で問題ない。

 というか、そのためにこの名にしたのだろうけどね、伯爵様とイリス様が。


 とりあえずの輸入品は、工具や軽工業製品。

 あくまでも、消費財としてずっと輸入を続けるためではなく、『そういう製品をうちの国でも作れるようになるための、見本』というか、『パクり元』としての輸入である。

 便利で高度な品が輸入されて高額でどんどん売れていれば、そりゃ、真似て似たようなものを作ろうとするだろう。この国で作れば、輸送費がかからない分、利益も大きいし。

 いきなりの重工業とかは無理だから、まずは軽工業を発展させ、技術的な基礎を固めなくちゃ。

 そのため、パクりやすい簡単な製品と、それらを製造するための工具の類いから輸入する。

 一部は地球から、そして一部は新大陸から。


 食料の輸入なんか、論外!

 私という個人の存在を前提とした食料の大量輸入なんか根付かせたら、私がいきなりいなくなったらどうすんだよ!

 少なくとも、この領地では食料は自給率100パーセント以上で、余剰分を売って収入にしなければならない。

 この点、あまり広くはないけど農地があって、海に面していて、山林資源も川もあるって、恵まれて……、って、そういう条件で領地を選んだのだから、当たり前か。


 領民のみんなは、私がこの領地を選んだことをすごく感謝してくれているみたいだけど、別に私は、ここの領民を救おうとか思ってここを選んだわけじゃない。

 私が求める条件に、合致していた。……ただ、それだけだ。

 でも、出会った理由は、何だって関係ない。

 私が出会った領地。

 そして、私が出会った領民。

 出会いの形は色々だ。

 偶然出会った恋愛もあれば、お見合いから始まる大熱愛もある。

 だから私は、この領地と、ここの領民達を愛し、慈しむ。


 ……先は長い。

 でも、私の寿命も、何だか思ったより長くなりそうだから、政変、陰謀、罠、失脚、悪役令嬢追放物語、そして事故や暗殺とかで私がこの国から消えるまでに、この国を立派に育て上げてやる。

 他国からの侵略?

 他の大陸からの侵攻?

 M2重機関銃(ミートチョッパー)と20ミリ機関砲、ボフォース40ミリ機関砲で蹴散らすぜ!

 木造帆船など、オート・メラーラの127ミリ砲を使うまでもない! ふはははは!


「……終わった?」

「え、何が?」

「妄想タイム。コレットから、ミツハの使用法は聞いてるから」

「何じゃ、そりゃああああぁ~~!!」


 いや、とにかく、領内に軽工業が根付くのは、まだまだ先だ。

 そして、領地経営のための発展とは別に、この国全体の力を急速に引き揚げるためには、うちの領地のこととは完全に切り離して、国中にカルチャーショックを与え、産業を進歩させなきゃならない。

 大型帆船を作るにも、施条ライフル砲を作るにも、基礎的な技術力が必要だ。

 よし、この国に、技術進歩のための輸入、開始!

 但し、他の大陸からの侵攻を跳ね返せる程度までであって、決して核ミサイルとかを作らせるわけじゃない。

 更に重要なのが、輸入品の購入のために、この国の金や宝石等が地球や新大陸に流れることを防ぐ、ということだ。この国の将来のためには、財貨の流出は抑えなきゃならない。

 ……うん、購入費用は私が現地で稼がなきゃならない、ってことだよ。

 私の個人資産とは別に、領主としての仕事で、領地の運営資金として稼がなきゃならない。

 そして勿論、王様に税金を払わなきゃならない。


「……世の中、銭ズラ!!」

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