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第97話 ユエル 前編

エイプリルフールネタはツイッターでやったよ(笑)

                ーユエルsideー


私、ユエルはルーマー族だ。

 この世界で一番の身体強化術を持つ戦闘部族。男も女も農作業の傍らで己の身体を鍛え上げるのが日課。里から出ることなどはほとんどなかった。

 女は外の世界の女のような生活などせずに、男に交じってひたすら鍛錬を繰り返す。むろん、私もその中に居た。同い年の男と一緒に野山を駆けて、山を走り、湖で泳ぎ、狩りをする。

 そんな生活の中で手に入れた身体強化術は外の者の“それ”とは比べ物にすらならない性能を発揮する。

 何と言っても持久性と消費魔力の観点だけみたら、外の“それ”と10倍以上の差がある。たとえAランクの冒険者でも私たちの秘術の域に達することは不可能だろう。


 そして我々ルーマー族は魔力の扱いに長ける。それはもちろん魔力の回復速度の向上、魔力を取り込めなくなる“呪い”に関しても、である。


 そんな民族の私が奴隷になったのは、とある日の昼下がりだった。


  〇 〇 〇


 その日、私たちの里の近くにある街が混乱しているという情報が里中を駆け回った。それを受けて私は同胞数名と共に近くの街付近へ向かい斥候を行っていた。

 ……その時だった。


「おんやぁ、こんなところでお嬢さんは何をやっているのでぇしょう?」

「……!」


 一瞬の隙をつかれて、私は背後を取られていた。

 奇妙な仮面をつけた黒装束の男はやけに間延びする喋り方をする。


「リール、クロッド、ハロッド! 敵だ!」

「はぁ? あぁあ、あそこで血を流しながら幸せそうに寝ていらっしゃるのはぁあなたのお仲間でぇしたかぁ」


 見れば、少し離れていたところでリールがわき腹からどす黒い血を流して倒れていた。深いところまで達している致命傷であると一目でわかる。

 向かい側からも血の匂いがしてきた。察するに他の2人も同じ目に遭ってしまったようだ。


「なにを、する!」

「いえいえぇ、何ってぇ……どうしましょうねぇ」

「ふざけるな!」

「おっとぉ」


 せめてもの敵を取ろうと腰から短剣を抜いて後ろに立っていた謎生物に切りかかる。しかし、それはすんでのところでかわされる。

 私のこの攻撃を……。


「全くぅ、危ないですねぇ。これだからルーマーの脳筋共は……」

「舐めるなっ!」


 やはり自然に背後を取ってくる謎生物……敵に振り向きざまに産刃を振るい首を狙うも交わされる。どういうわけか何かがブレているように見える。


「フフフゥ……面白いほどに引っかかってぇくれますねぇぇ」

「え……」

「ホラぁ、私はこっちですよぉ」

「こっちですよぉ」

「ここですよぉ」

「ここに居ますよぉ」

「ここにもいますよぉ」

 

 次の瞬間、私の周囲に20ほどの“影”が作り出される。……これではどれが本物なのかわからない。

 ……だったら、全部薙ぎ払えばいいっ!


「はあああぁ!」


 走りぬけながら影を片っ端から攻撃する。やはりよけようとするので、避けた方向に追加で突きをすれば一撃を加えることが出来る。

 しかし……その中に正解は居ない。


「クソッ、どこだ!」

「だから言っているじゃないですかぁ、ここだって」


 声が近い! 後ろに肘を突き出すよりも早く、私は地面を転がっていた。後ろの骨から痛みとものすごい違和感が走る。タックルでもされたのだろうか。


「うぅ……!」

「あぁーあぁー、もう! せっかく溜めてたのわたしの分身が台無しじゃないですかぁ!」


 怒ったように鼻を「フンフン!」とならす敵は態勢を立て直そうとする私に向けてもう一発蹴り飛ばす。


「うっ……」

「あの! 使えない公王のせいでぇ!」


 起き上がろうとするたびに蹴られ再度転倒。それを何度も繰り返すうちに私の意識はどんどん刈り取られ、動けなくなってしまった。


「もう、帝国は滅んだのだからぁ何をしてもいいのだぁ!あのオオカワさえ居なければ全部計画は進んだものをぉ!」


 私が動かなくなると今度は近くの木を蹴りつける。するとそれは斧で斬られたかのようにバキリと音を立てて倒れていく。なんという力だ。


「フフフ……まあぁいい!これから始めればいいのだからぁ!」

「……」

「そうだ、まずは貴女を売りましょうぅ! 幸いぃ、我々男が好きそうな体をしてるしぃ、外見もいいからぁ高く売れますねぇ。傷つけちゃったけどどうせ治癒魔法でどうにかなりますしぃ!」


 もうやけくそだというような態度の男は最後に私をもう一蹴りする。それで私の意識は暗転してしまう。


  〇 〇 〇


 気付けば、私は檻の中に入れられていた。服も違う物に着替えさせられ、両腕に黒い腕輪を、そしてチョーカーをつけさせられていた。


「こんなもの!」


 身体強化を使えば一発だと思い、身体強化で腕輪とチョーカーを破戒しようとしたその時。

急激にチョーカーと腕輪が収縮を開始した。


「う……う、ぅうぅぅ」

「ギャハハ! あいつ、何も知らずに身体強化使ったのかよ!」

「へへへ、いいから出してんなおい!」


 魔力を流せば流すほど首が絞まっていく。大人しく抵抗をやめると収縮は収まった。


 向かい側の牢屋からは質の悪そうな男どもが下種な視線でこちらを見ている。

 ……どうして、私はこんなことになってしまったんだ。

 

 それから数か月、私はノースフリードという街の奴隷商館におり、奴隷になっていることを知った。奴隷は聞いたことがある。一般市民よりも身分が低く、命を常に握られている、と。


 さらに数日が経過したその日。私の牢屋に魔法が直撃した。

 見張りが持ってくる栄養が取れて低コストな豚の飼料のような基準で作られたパンと野菜を食べていたその時であった。

 何かが飛来をする音がすると思った刹那、壁が音を立てて崩れ去ったのだ。表面が凍っていたことから、氷魔法だと判断した。


 こうして、私は牢屋を抜け出して、あちこちで黒煙が立ち上る街へ潜伏を開始した。


今日の10時ごろまでツイッターのアイコンが式神使いと妖のフラクになって、名前もタゴコロタヌキになってたのに気づいたかな?


先日の活動報告に手発表があります!

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