#068.智将の詰将棋
最近投稿がなかった理由part1
・夏バテになってた
・東京ー山形往復×2
・引っ越し先探してた
・パソコンぶっこわれた。
・同窓会で焼肉行ったけど一人4000円は高くね?
本隊となる俺たちが聖教議会砦に攻め込んだのは選抜部隊が乗り込んでから10分から15分程度が過ぎたくらいだった。その時にはすでに選抜隊が敵の逃げ道にしていた海側から派手に攻撃を仕掛けて、何も指示が飛んでないのであろう敵は右往左往に逃げながら応戦していくという一方的な展開が繰り広げられていた。
「よーし、第3、4小隊は砦の海側で待ち伏せ、第5、6小隊は選抜部隊の補助。第1小隊は俺に続け!」
「「「「はっ!」」」
狭いフィヨルドのような地形ではなく、ある程度開けた海岸線にある砦は、陸をすべて囲まれると海に逃れるしかできなくなる。したがって、陸側を大規模戦力に囲まれた敵は沖に逃げるしかなくなるのだが、こちらは沖にそれなりの海上戦力を待機させている。つまりほぼほぼ詰みに近い形で展開できているわけだが、今回のテーマは連係プレイ。なので今回はあえてある程度の討ち漏らしを作り、沖に逃がした後で海上戦力にお掃除してもらうというわけだ。
「よし、第2小隊は左から、第1小隊は右から入れ。偉そうなやつを見つけたらとりあえず沖に逃がすようにするか……我慢できなかったらロストさせてもいいぞ」
「「「了解!」」」
第2小隊を赤坂に任せ、俺は第1小隊を率いて砦の建築物の中に入っていく。このレベルの砦なら絶対に俺と同じ佐官に相当する司令官がいるはずだ。そいつを確実にロストさせれば聖教議会も情報連合に対して攻めにくくなるはずだ。というか、今回の作戦の半分くらいはこれが目的である。
「前方にトラップ3つ。気を付けて進め」
「そうだ。気配察知をうまく使っていけ」
「「「了解」」」
ちなみにこの第1中隊、表向きは真正面から殴りあえる白兵戦部隊……に見せかけた強硬潜入などにも対応した特殊部隊。1小隊ごとに亜人や獣人といった気配察知や細かいトラップなどを見抜くことが得意な人材を配置し、彼らの指示でトラップ等を解除しながら室内殲滅戦を有利に進めることができるのだ。
しかし……今のところ敵側からパワードスーツとかが出てきている気配がない。この規模の砦ならば5~7機のパワードスーツがいてもおかしくない。現に情報連合もそのくらいの数のパワードスーツが砦の警護にあたっている。それを考慮すると……どっかにパワードスーツが整備できるところがあるはずだ。
「よし、お前たちは上を行け。俺は下を探ってくる」
「「「はっ」」」
砦の構造物に入って少し行ったとこの階段で、俺は率いていた小隊をまっすぐに進ませて、自分だけ下に降りる。おそらくは砦を囲んでいる壁の1階部分にあたる場所に続いているのであろう。
「よし。【フライ】」
さすがに対象の範囲が広すぎるため飛行魔法を使って一気に殲滅にかかる。ここから見るだけでも数人が城壁からちょっと空いた隙間に弓やバリスタのようなものを出して応戦している。それを消しながらパワードスーツの整備場を見つけるのが目的だ。
「【ソードビット】」
「なにっ!?」
「敵襲!!!」
さすがに飛んでいると敵に気づかれやすいが、倒すことも目的のうちだから問題なし。腰のポケットから投げナイフを4本出して魔力を込めてから宙に放つ。そうすればもうビットは止まらない。まるで鳥のような軌道を作りながら敵に向かって一直線だ。
「なんで投げナイフが飛んでんだ!?」
「それより避け……ガ八ッ!?:
さすがに想定外だったのか、四方八方から自由自在に襲ってくるビットに対応できる敵はおらず、次々に被弾しては動きを鈍らせる。そこを俺が持ってきた剣でロストにもっていく。威力が低く一気にロストに持っていけない【ソードビット】は逆に敵の行動を抑制しやすいから二撃必殺に持っていきやすい。
結局、2分もかからずに10人程度をロストさせたが……どうもここにはパワードスーツの整備場はないみたいだ。おそらくあるとしたら反対……赤坂に任したほうだろう。
「よし、だったら小隊と合流するか」
どうやら構造物の1階ともこの通路はつながっているらしい。そのまま【フライ】を継続しながら持っていた魔法銃をいつでも撃てる状態にして本丸と思しき構造物へと向かっていく。
そのまま偶然鉢合わせた敵を3人ほど撃ち倒して正面に見えてきたドアを勢いよくけ破ると今度はかなり広い部屋に出た。ドームのような、教会の中のような広々とした空間を持つとkロお。奥にはどうやら軍港のような施設がある。ということはここは本丸地上階なのだろう。
「なーるほど……じゃあここで待ってればなんとかなるか」
少し観察していれば今度は俺が通ってこなかった方面の地下から“ボンッ!”という大きな音を立てながら地下から土が持ち上がって爆発が。ふつうの魔法であれだけの威力が出ることはおそらくない……ということはあそこにパワードスーツの整備場があって、赤坂たちが爆破したんだろう。やはり常時破壊工作用の爆弾を持っておくのはいいことだ。
「よーし、これでもう相手にろくな戦力は残ってないはず。……だ?」
これにて一件落着と短剣を鞘に収めようとしたその時、急に後ろから何かの気配がした。それは一瞬で5mの距離を詰めてきてこちらに小さな何かを刺そうとしてくる。
「……チッ」
『……ッ!』
とっさに引き抜いた剣の根元の部分で針をガード。攻撃をしてきたやつはそのまままっすぐ軍港の中に消えていった。かなりどす黒い見た目をしていた奴だが……あいつはいったいなんだったんだ……。
〇 〇 〇
その後、赤坂が率いる小隊と俺たちが合流したころにはすでに敵は壊滅状態だった。周囲に広がるベースゾーンはほとんどがこちらの大隊に、もしくはパワードスーツに蹂躙されてただただ黒煙を空気中にまき散らすしか選択肢はない。そんな中、軍港に命からがら逃げてきた敵は船に乗り込んで沖に逃げ始める。もちろん俺の大隊はバカではないから魔法を撃って追撃する。ただし“わざと”外して。ある一点に誘導するように。
敵はとりあえず逃げれればいいから後先は考えない。そうなるとこちらが開けた道を全速力で沖に行ってしまう。それが運の尽きだ。
魔法が静まり安心しきった瞬間、今度は目の前に大砲を構えた情報連合の会場戦力が待ち伏せしていたのだから。
地上部隊が掃討戦を行っているときに起きた3つの水柱。これで1つの砦を防衛する部隊が全滅したとは聖教議会の上層部も、情報連合の上層部も思わなかっただろう……。
〇 〇 〇
「さーて、また派手にやってくれたな」
「そっちが提示してきた攻撃目標だろ?」
「攻撃目標にしろとは言ったが全滅させろとは言ってない」
「はっはっは。まあいいんじゃね? これで他の陣営はうかつに俺たちを攻撃できなくなったんだし」
その日の夕方、俺は情報連合本部のシフォンの執務室に呼び出されていた。内容はいつものごとく「やりすぎ」だ。もともとが牽制を目的にしていたから別に全滅させてもいいと思ったがシフォンたち作戦指令室はここまでするとは思わなかったようだ。ちなみに俺は今回の攻め方は詰将棋のようにできたから会心の出来だと思っている。
「はぁ……今度からは“どこまでやれ”って指示も出すか?」
「どっちでも。んで、攻略中にまっくろくろすけみたいな意味わからんのに襲われてな。なんとか防いだが……おそらくあれは強力な神経毒をしみこませた針だろな」
「ふむ……聖教議会に強力な暗殺者がいると?:
「いや、そんな情報ブラックバードが持ってないはずないだろ。しかもかなりのプロだ。」
……もしかしたら、この学園に何か不純物が混じったかもしれない。




