全てが終わって――
Side 藤崎 シノブ
-翌日―
全てが終わった。
結局友達の家に泊まると言う下手な誤魔化しをして、日本橋で一泊する事になった。
事件最中で得たデーターの全ては闇乃 影司と谷村 亮太郎の手でネット上に暴露された。
その中には改造人間のデーターやメタルビーストの内容も含まれている。
当然、人体実験の犠牲者の名簿やその末路。更には実験をするために得た違法な資金の収集方法なども公開した。
だが未知の異世界やモンスターのついてのデーターは上がって無かった。
ここまで行くと世間は信じてくれないだろうと言うのもあるのだろうし、谷村 亮太郎と闇乃 影司が日本政府と本気で事を構える事態は避けたいと言う考えもあったのかもしれない。
シノブの知らない合間に二人が政府と何かしらの取引を持ち掛けた可能性もあるが、真相は闇の中だ。
生き延びた研究関係者たちは全ての罪を正直に自白したらしい。
どうやら谷村 亮太郎がそう言う呪いを掛けたそうだ。
だが全ての内容を警察もマスコミも鵜呑みにはせず、だけども確かな証拠は十分すぎる程に上がっているので虚言と切り捨てるわけにも行かなかった。
なので日本政府は悪魔の実験に関与していて、須藤 正嗣が実験の首謀者。須藤 正嗣はとんでもない悪徳警官であり、その親の後ろ盾があった息子の須藤 勇也はとんでもない悪事を重ねているワル中のワルと分かり易くした上で発表し、ネットもマスコミも続いてそう報道した。
朝からそのスクープでマスコミもネットも話題が持ち切りだった。
須藤 正嗣は逮捕された。
息子の須藤 勇也はと言うと――
=朝・琴乃学園正門前周辺=
藤崎 シノブをチラチラと遠巻きに見る人間は多い。
やはりSNSでサカキ高校の不良連中を片づけた動画で話題を呼んだのが反響を呼んだのだろう。
そんなシノブの前に一人の少年が包丁を持って姿を現した。
「こんな所にいたんだ――」
現れたのは須藤 勇也だった。
包丁片手にスマホとシノブの顔を交互に見て本人かどうか確認している。
「テメェが――テメェがやったのか!? テメェが!! ここまでしたのか!?」
狂気を孕んだ表情でシノブに言う勇也。
周りは怖いのか誰も勇也を止めようとしないし、シノブを助けようとしない。
そしてシノブはと言うと――
「あの~とにかく警察に捕まった方が――」
「うっせえ!? 俺はもうお終いだ!! 何もかも残っちゃいねえ!! テメェは何なんだ!? 何でそこまでしやがる!? 何のためにここまでした!?」
一方的にこの一連の騒動の首謀者を藤崎 シノブだと決めつけているようだ。
正確には首謀者の片割れなのでシノブも否定し辛い。
「お前をここで殺してやる!!」
そう言って包丁を片手に飛び込んだところを――見事な一本背負いでアスファルトの固い地面に叩き付ける。
「ガハッ!?」
白目を向いて唾液をまき散らして気絶した。
暫くしてから警察がようやく登場。
藤崎 シノブは事情聴取として連行。
須藤 勇也は殺人事件の現行犯として逮捕された。
☆
―数日後―
=昼・メイド喫茶ストレンジ=
メイド喫茶ストレンジを貸し切り状態でパーティーを開いた。
そこには何故か藤崎 シノブの命を狙ったスキンヘッドで大柄の殺し屋や、黒川 さとみを助け出した時に見逃して貰った昭和の刑事さんまでいる。
そして華奢な体躯で美少女の様な容姿の闇乃 影司までいた。
パーティーの進行役として毒島 リンカもいる。
黒川 さとみや谷村 亮太郎もいた。
あの事件の後―—須藤 正嗣は逮捕された。
日本の法律には詳しくないので、何罪が適用されるかどうか分からないが、須藤 正嗣も、息子の須藤 勇也も呪いや暗示を掛けている。
自分の意思に関係なく、罪を認めるから取り調べや裁判はスムーズに進むはずだ。
続いて中妻――今回の事件の発端であり、須藤 勇也の女だが――学校を去った。
後ろ盾にしていた男、須藤 勇也が公衆の面前で凶行に走り、そして死亡したのを聞いて彼女は事件の重要参考人として警察の事情聴取を受けた。
彼女は精神が錯乱状態に陥り、今も病院で24時間体制で監視を受けているが、時折錯乱するのを繰り返している状態だと言う。
中妻の取り巻きの女子も学校を逃げるように去ったそうだ。
サカキ高校の不良グループ、半グレ組織は様々な容疑で警察に摘発。
壊滅したとみていい。
最後に一連の事件の被害者たち。
被害者たちは様々なグループに分かれて団結し、一番大きなものだとNPO法人として活動を開始するつもりのそうだ。
特にフュ―チャーテック株式会社の地下で囚われていた人間達は自分達と同じように悪どい政府や権力の手で苦しめられている人々を助けるための活動をするそうだが、何故かローカルヒーロー事業もするそうだ。
藤崎 シノブや谷村 亮太郎がライドセイバーの姿で大暴れしたのが関係しているのだろう。
「本当に世の中ひっくり返しちゃったね……」
「ああ――で、どうしてメイド服姿なんだ?」
黒川 さとみはメイド服姿だった。
ミニスカでさとみの115cm以上はあるらしい大きな胸の谷間も丸見えのエロい格好だ。
さとみは照れくさそうに「貴方ならいいかなって思って」と照れくさそうに言う。
そこまで言われてシノブは「ありがとな」と照れくさそうに返す。
「あの、異世界で気に入った女の子とかいるの?」
「何だ突然?」
「もしもよくあるハーレム制だったら私も入れてね?」
「え、おい――」
「もう決めたから」
「決めたってあのなぁ…‥」
「ふふふふ――」
黒川 さとみはとても可愛らしく、甘い笑みをシノブに向けた。
周囲は「そっとしておこうか」と言う空気で二人を見守る形のようだった。
最初の事件・完




