若いエキス吸わせろ
「嬢ちゃん、名前は?」
「み、みぃ……」
「ミミー?」
「みぃ……です」
「フッ。まぁ、名前などどうでもいい」
じゃあ聞かないでくださいと思ったけど、あたしは黙ってた。
「腹が減っただろう?」
「はい!!」
思わず大きな声が出てしまった。尾部矢さんのところを出てから丸一日、何も食べてなかったから、ペコペコだ。
「まぁ、飯は食わせんのだが」
「はいぃ!?」
「嬢ちゃん、私の小説を読んだことがあるかい?」
ご飯が食べられると思ったのに……あたしはがっくり項垂れながら、首を横に振った。
「私は労働をテーマに小説を書いておる」
サンジさんは、言った。
「嬢ちゃん……。働くとはどういうことだと考える?」
そ、そんなの高校生のあたしに聞かれても……と思ったが、頭に浮かんだことをテキトーに答えた。
「お金を稼ぐこと」
フッ、とサンジさんが笑った。
「ロシア革命の父ウラジミール・レーニンは言った」
腕を組み、難しそうなことを言い出すみたいだった。
「『働かざる者食うべからず』」
「えっ!?」
あたしは驚いた。
「それってレーニンの言葉だったんですか!?」
「知らんけど」
サンジさんは澄ました顔で言った。
「レーニンも言ったらしいことは確かだ」
テキトーなことを言う人だなあ、とあたしが思っていると、顔を覗き込んで来て、ニヤリと笑う。
「働くならば、食わせてやる」
「な、何をすれば?」
「お前の若いエキス吸わせろ」




