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Death of the Academia 〜十二人の生徒達が紡ぎ世界を巡る英雄譚〜  作者: 鈴夜たね
追憶の海底に眠る、向き合うべき過去の姿編【リオライズ編】
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Memory and Time: Epilogue(メモリー・アンド・タイム:エピローグ)リオライズ・ニイタ編〈後編〉

十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー


土、火、水、風の四属性をメインに、学園の闇に気付いた四人の生徒達。

三百年前の歴史と、記憶の眠る地について聞き出したアラリック達は、グランとの交渉を経て”追憶の海底”にリオライズとともに挑む。

彼等が向き合うべき、真実とは——


《Death of the Academia》をお楽しみください

森の奥に眠る、地平線の彼方まで続く海。

木々の向こう側から、朝日が完全に昇ったのをアラリックは理解した。


「グラン達も動き出す時間か……」


追憶の海底まで、転送してもらうのを条件に、世界の理である“選別”の再開を許していた。


そんなことを考えていると、海の中から「ザブン」と音を立てて、砂浜の歩く足音が近づいてきていた。


「終わったようだな。リオライズ」


振り返れば、水属性の加護を解き、過去の自分と向き合う試練の前とは別人のように、面構えが変わっていた。

優しい柔らかい目つきから、少し鋭い目の顔立ちに変わり、瞳は新しい使命を宿したように、輝いていた。


「アラリックさん、聞いてください。改めて言いたいことがあります」


「なんだ……?」


過去の共有、ましてやグラン達と関わりのある人間と接触していたこと、本当に彼等を救えるのか、ということ。


「俺は十年前に故郷が襲撃を受け、その元凶であるティオル・マキリスに復讐する為に、六年間戦ってきました」


その言葉を聞いた時、アラリックの眉が動く。

復讐。ティオルの名前。襲撃=選別。


彼は、リオライズの話す過去にしっかりと耳を傾けた。


「でも、奴等も被害者の一人かもしれない。だから、復讐を続ければアラリックさん達とは利害が合わず、敵対関係になると」


リオライズは対人戦が終わった後、アラリックからこれまでの戦いを聞いていた。

それでも、ラフィーリスを殺された光景を見た時は、本気で復讐を目指そうとして、聞いた話なんて泡のように消えてしまっていたから。


「道を踏み外しそうになった時、母が言ったんです。“俺の母親で良かった”と……」


自分が完全に闇に堕ちそうになった時、救ってくれた愛の言葉。

もう母親に悲しい顔をさせない為に、救済の道を進む。


「俺はこれからも、アラリックさんの仲間として、死力を尽くして戦います。彼等も呪いにかかっているなんて……分かりませんが、救える手立てが見つかるなら、必ず……!」


日の光がリオライズを照らし、波の揺れる音と風が靡く音が、彼のこれからの生き様を示唆するように聞こえた。


――それが死なのか、生なのか、誰も分かることはない。



数分後、アラリックも追憶の海底の扉を渡る為に、海へ身を投じていた。


現れる黒く重圧な扉が、ゆっくりと開かれた。

真っ暗な空間に入り込み、アラリックはリオライズの決意に何も答えなかったことを思い出した。

次回からは、アラリック・オーレル編スタート!

次回もお楽しみに!

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