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Death Game: Realm of Reminiscence(デスゲーム:レルム・オブ・レミニセンス)

十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー


土、火、水、風の四属性をメインに、学園の闇に気付いた四人の生徒達。

外部の仲間との連絡は途絶え、絶望しながらも自分達で道を切り拓いていく。

そして、世界そのものに異変を感じた彼等は、歴史が全て眠る図書館へ赴き、三百年前の真実を知る——


《Death of the Academia》をお楽しみください

「では最後に、私が死んだ後の世界を書いた書物が残されていました。そちらを読んで頂いてから、本題へ参りましょう……」


アラリックに渡されていた、書物がひとりでに離れて、左側の本棚へふわりと戻っていくと、今度は右側の本棚から一冊の本が、新しく手元に渡った


「この青い書物が、”追憶”についてと、私が死んだ後の出来事が、書かれています」


「……っ。アラリック、この紙は……」


青色の分厚い書物のページの途中、栞のように挟まれた紙を、ストリクスが見つけた。

アラリックが取り出し広げると、古代文字がズラッと書かれていた。


彼は視線を走らせながら、慎重に文を読み上げ始めた。


“今私は、世界の終わりを目にしている。闇の神でありながら、温厚であられたノクトヴァール神が暴走を起こし、変わり果てた姿へ変わっていた。

他の神と代行者が戦っている。私にも力があれば助けられるのだろうか。


他の神が、ノクトヴァール神と同じ大きさに変貌した。

おそらく風の神ウィリオール神だ。それに加えて禍々しいオーラを放っている。


い……今、誰かの左手が飛んできた。おそらく代行者の左手だ……

先程、闇の結解のような攻撃が、空を覆うように放たれていた……。あれが原因だろう。


世界を絶望に飲まれて、何時間経った……だろう。わたしのいし……がなく……なるまえに……

おそらく、やみ……だい……うしゃ……ひかり……だいこう……ほか……かみ……ふう……


文字は、徐々に乱れ、最後には完全に筆が止まっていた。

しかし命の灯が消える前に、死に物狂いで次の世代へ渡るように書いたような執筆の圧だった。


「おそらく、途切れた文字には……”意識” “闇と光の代行者”

”他の神が封印”といったあたりか……」


「それも、脳に響いた声が?」


「いや、今のは自分で解いてみただけだ。それに、本当にそう書かれているかも確証はない……」


アラリックが冷静な分析で、書ききれていない文字を、憶測であるものの、しっかりと埋めていく。

その姿を見ていた図書館の番人スズランは、冷徹でどこか安心したような声で紡いだ。


「私が創りし神は、生き残った二人の代行者によって、いまなお封じられし存在……そして、初代代行者と二代目代行者が、世界に闇を放ち続けている……」


三百年後の世界も、最後に自分が見た世界と変わらず、絶望の底に沈んでいる現状に、しっかりと向き合うようにアラリック達へ謝礼を述べる。


「ありがとう……貴方達のお陰で、少し心が軽くなった気がします。

では――その書物に書かれている、記憶を辿れる地……"追憶の海底”についてお話します」



二冊目に渡された本が、ひとりでに再びページが開いた。


「追憶の海底は、文字通り海に宿りし地です」


本の歴史にはこう書かれている。


“かつて、水属性のミルシェネアが、追憶の海底を作ったと言われている。

いつか自分達が死んだ後、誰かが立ち寄ることがあったら記憶の全てを世界の歴史をみてほしいと願って……


そして、想い人を亡くし生きる意味を失った男が、伝承の海底に立ち寄り、 “想い人の全てが見たい“とミルシェネア神に懇願するように、祈りを捧げた。

その男は、水属性だったこともあり真っ先に飛び込んでいった。


その男が後に証言する言葉によれば、


『自分の見たい記憶を強請った。そうしたら、本当に彼女が生まれて死ぬまでの記憶が見れたんだ』と……


【図書館にて】

古代文字を一通り読み終えて、アラリックは顎に手を当ててじっくりと考え始める。


「水属性の女神、海底、死んだ者の記憶か……」


「何か分かったの……?」


「あぁ。もしも、この男と同じ条件で海底に行けるなら、僕は確実に幼少時代の記憶が見れると思っただけだ」


「……なら!」


しかし、アラリックは安堵するストリクスを静止するように、懸念もこぼした。


「だが、リオライズも連れていく必要がある……。――番人に一つ問う」


「何でもお聞きいたしましょう」


話を聞いてもらった恩人、そして三百年前の真実を知る者同士として、スズランは快く受け入れてくれた。


「この図書館は北西、追憶の海底は北にある。しかし学園から行くとなると、真反対だ……」


本に描かれている海底に沈む、追憶の黒き扉。そして、その横に綴られている在処を見ながら、不安そうな瞳がアラリックに宿った。


「歩いて行くってなったら、何週間かかるか分かったものじゃないね……」


ストリクスもことの重大さに気付き、頭を悩ませる。


「馬車馬を使っても、三日はかかるだろうな……」


「やっぱりグラン達との契約を上書きして、授業内容ごと変えてもらうしか方法はないかも……」


行き詰まりかけた時、アラリックが勢いよく本を閉じて、再びスズランへ問いかける。


「番人スズランよ。この図書館の外で魔法は使えるのか?」


「実体があった頃は可能だったかもしれませんが、今は……」


少し期待しかけていたストリクスは、小さくため息をついたが「そうだよな……」と言うように、納得した表情へすぐに変わった。


「分かりました……」


そして、最終決断をしたアラリックが、静かに告げた。


「契約を上書きするとしても、証人がいない以上は出来ない。だから、グラン達と直談判した後に、連れて行ってもらう……」


“グランの手を借りる“という言葉に、強く反対するようにストリクスが瞬間的に、声を荒げた。


「しょ、正気か……!? アラリック!」


無理矢理、顔を合わせるように肩を強く引っ張った。

しかし、アラリックの瞳は、顔は真剣そのものだと、一瞬で理解した。


「言ったはずだぞ……ストリクス。これは、“奴等と僕達の戦争……勝つ為には、力を手に入れなきゃならない。――手段を選んでる暇はないんだ“」


昇降口で、グランと同じ言葉を吐いていたのを思い出す。

そして掴まれた肩を払うように、続ける。


「例え敵の力を借りようと、最終的に勝者になる為には手段は選ばない……」


呆れたような悲しげな瞳に変わるストリクス。アラリックのいう通り、幼少時代の記憶を持っている自分には口出しする義理は無いと感じた。


「分かった……アラリックの言うことを信じるよ」


そして、互いに首を一回縦に振って、天を見上げる。


「ありがとうございました……番人スズラン。貴方の望む平穏な世界を必ず取り戻してここへ帰ってきます」


「はい……しかし貴方達が、ここまで知っている状態で帰っては危険と判断したので、図書館を出た瞬間に、六属性の神と代行者について一部の記憶だけは、一時的に消去される魔法をかけさせて頂きます」


二人には、一瞬だけ頭を釘で打たれたような痛みが走った。

それでも構わずスズランは、最後の謝礼とエールを送る。


「改めて、私からもお礼を言わせてください。ありがとう……――そして、貴方達や私の望む世界が復活できるように、ここで検討を祈っています――」


月のように輝いていた天の光。しかし、今の光は図書館全てを包み込むように眩い光が天を覆っていた。

そしてアラリック達も歩き出す。死んでいった仲間達の為、スズランと自分達が望む世界の為に——

最後までご覧頂きありがとうございました!


次回、番外編の二話を公開した後〜

新章『追憶の海底に眠る、向き合うべき過去の姿』編

スタートです!

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― 新着の感想 ―
XのRT読む企画から来ました 一気に52話まで読み進めていきましたが、重厚感のあるストーリーと学園×魔法×デスゲーム という、ありそうでないジャンルを開拓されていてとても勉強になりました。 ネタバ…
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