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Cursewalker: Radiant Quest(カースウォーカー:レイディアント・クエスト)

十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー


土、火、水、風の四属性をメインに、戦う生徒達と対峙する冒険者達。

アーサー達の視点から語られる、”あの日の真相”とは……

そして、記憶持ちの生徒が懸念している、事態の真実も明かされる――


《Death of the Academia》をお楽しみください

「とにかく、ここからは四人で策を講じなければならない……その内、リオライズも真実を聞きに来るだろう――」


こうして、胸を抉るような不安と、一人の記憶持ちの発見の安心が、複雑に絡むように三人に残していったのだった。


「この後、リオライズの元へ行きますが、ストリクスもどうですか?」


「いや、僕は、また術を取り込まないといけないから、今回は任せる」


「そうか……」


ストリクスは、そのまま部屋に入り、アラリックは寮を通り過ぎて、Ⅱ組の教室の前を通ると、目の前でリオライズとマリーナが話しているのが見えた。


「あ、アラリックさん。丁度いいところに!」


リオライズと視線が重なり、こちらの存在に気付くと、小さく手を振って呼びかけた。

しかし、アラリックは気付いている……リオライズとは話していたのではなく、Ⅰ組の記憶持ちの人間と接触しない為の、時間稼ぎだったのだと……


「あら、噂をすれば本当に駆けつけてくるのね……」


リオライズがマリーナの腕を振り、アラリックの元へ駆け寄ると、皮肉じみた口調で、鼻先で笑い彼女は続ける。


「まぁ、死ぬ前に人生楽しまないと駄目だものね……今は、好きにすると良いわ。せいぜい自分の命日が来るまで楽しんで」


マリーナは、こうして捨て台詞を吐きながら姿を消した。

少し、その場が緊張に包まれながらも、リオライズが真剣な目つきで、アラリックと視線を交わす。


「アラリックさん……教えてほしいっす。これから、仲間として戦うなら尚更……」


リオライズの声が、少しだけ硬くなる。


「俺達と出会う前に、Ⅰ組では何をしていたのか、そして、今Ⅰ組の目的が何なのか――教えてください」




――時間は遡り、あの日の第二授業。

まだ、全てが始まる前。アーサーたちが、学園へ足を踏み入れた瞬間へ。


グランが、冒険者であるアーサー達――いや、ティオル達に、Ⅰ組の指導と選別の管理をお願いしに赴いた時のこと。


「なるほど……自分達で学園を立ち上げ、Ⅰ組の人間を見てもらいたいと言うのだな」


青髪のお団子サイドテールを風に靡かせながら、真っ黒な低い声で一人の男が、グランと話していた。


「利用するなら、強化法を教え込んでも良いし、使えないのなら排除するように育成して構わない。俺達は、形だけの見せかけを作れればそれでいい」


「実に、外道のやり方だな……まぁ良いだろう。三日後には、そちらへ到着するよう手配する」


「感謝する――ティオル・マキリス」


ある、夏の暑さが沈んだ夜。アオマツムシの鈴の鳴き声が響き渡りながら、グランとティオルは契約を交わした。

深い森の中にある丸太で作られた小屋で、アーサーはただ、遠くから見ていることしか出来なかった。


話が終わり、ティオルとクレヴァスが小屋に向かって歩いてきた。その時、四角い窓から一瞬目が合うと、心臓が破裂しそうなくらいの鼓動が脈打つ。


足音が近づいてくる――

アーサーが焦っていたのは、まだリゼルドが自分達の元へ帰って来ていないことへ動揺していた。


「はやく……リゼルドッ!」



ドアノブに手がかかる。ただ祈るようにアーサーは、ぎゅっと目を瞑り扉が開いた瞬間、膝上に何者かの頭が乗る感覚がした。


ギィィィィ……

扉が引きずるような音を立てながら開くと、ティオル達と再び目が合った。

何かが触れた感触――リゼルドが寝転び、顔を擦り寄せている。その額を、ルルナが小さな前足で必死に押し返していた。


無意識に止めていた呼吸が、自然と空気を欲して外に出る。アーサー自身の体も、楽になった。

そして、何事もなかったように平然を装い話しかけた。


「お疲れ様……二人とも。何の話をしていたの?」


辺りを見渡し、アーサー達が何もしていないのを確認するティオル。そのまま睨むように、見据えるとグランとの契約の内容を話し始めた。


「三日後に、グラン達が立ち上げた学園へ赴き、新たな選別を行う。貴様らも連れていくが、何もせず、ただ言われた通りに動いていろ」


そして、一拍子置いてティオルは続ける。


「余計な真似をすれば、その首は帰還後に斬る。よく覚えておけ……」


最後の忠告を言い終わると、アーサーは体の奥で、少しだけ呪いが強くなった感覚がした――


そして、その夜。

虫の鳴き声が遠くから小さく聞こえながら、布団に入り眠りにつこうと、目を閉じた瞬間、リゼルドの声で目を開ける。


「ねぇ、アーサー……」


「何?」


「助けてあげようね。学園の子達を――絶対」


ティオルの脅しは、リゼルドには一切効いていなかった。それどころか、助けたいと口にして。アーサーは、ウサギに姿を変えられたルルナを撫でながら、静かに答えた。


「そう……だね」


そして、気が付けば三日が経ち、学園の前に立っていた。


「ここが、学園……」


アーサーの瞳に映ったのは、まるで神殿のような静謐さと、威容を備えた学び舎だった。


学園の正門は黒鉄で鍛え上げられ、所々に小さな赤いルビーの結晶が埋め込まれている。

その赤は陽の光を受けて微かにきらめき、門自体が心臓の鼓動を刻んでいるかのようだった。


白亜の外壁は陽光を受け、柔らかな光を反射してまばゆいほどに輝いていたが、どこか冷たさも感じさせる。


ベル塔は控えめな薄茶色で彩られ、土のような穏やかさを漂わせていた。

塔のてっぺんに吊るされた鐘が、まだ鳴らぬ静けさの中で不気味なほど存在感を放っている。


そして、結界内でありながらなぜか優しい風が頬を撫で、衣を揺らしていた。


「へぇ、結構いい感じだね!」


ティオルは普段とは考えらない高い声で、元気な青年を演じきりながら、声を上げた。


「ようこそ、お越しくださいました。冒険者の皆様」


長い赤髪に、赤色のセーラー服、胸元には白いネクタイをつけている、フラーナ。一礼をする姿も完璧な程、澄んだ女性だった。


「改めて、早速Ⅰ組の教室へご案内致します」


教室へ入ると、既にアーサー達の説明がなされている最中だった。


「——では。これから短い間だが世話になる、冒険者の教師達だ。皆無礼の無いように」


教室の中へ入り、五人の生徒達の顔をじっくりと見て、教壇の前に整列する。

すると、リゼルドがアーサーの肩をトントン指で叩くと、訝しげに右側の生徒を見ながら耳元で呟く。


「アーサー。あの子、一番怪しい……最初に声を掛けてみて」


視界に映ったのは、太陽の光に照らされながら頬杖をついて、じっくりと自分達を観察している一人の生徒。

二つの属性魔力を持ち、淡い土の色を纏った、ウエストコートの制服を身に着けた青年。

アーサーも一番可能性のある人物だと納得して、答える。


「分かった……すぐに助けるよ」


こうして、始まった冒険者から語られるストーリー。

アーサーは、彼と彼等と出会いどう思ったのか、そして第二授業を通じて、導き出す決断の真相とは――

アーサー達の視点(少しだけ冒険者視点)で話を進めていきますが、変わらず応援よろしくお願いします

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