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Deathgame: Witnessed Answer(デスゲーム:ウィトネスト・アンサー)

十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー

土、火、水、風の四属性をメインに、二つのクラスに振り分けられた彼等は、学園の謎について迫っていく——

生き残るのは真の才能がある人間のみ

誰が生きて誰が死ぬのか完全オリジナル作品

《Death of the Academia》をお楽しみください

「契約書と……証人か。一体どうすりゃ良いんだ?」


「契約は手作りな物で構わない。勿論、筋が通っている契約内容でな……」


アラリックの言葉を受けて、必死にヴェイルが頭を回転させる。


「ゼフィリー……レンリー……。——いや、記憶の戻ってない奴等には、安易に頼めない。誰か探さないとな……」


「——僕が、証人になってあげましょうか〜」


聞き覚えのある声と話し方。先程まで隣に居たような声が後ろから聞こえて、振り返る——


「リゼルド……」


「まじで、何処からでも湧いてくるじゃねぇか」


ヴェイルは驚きつつ、警戒心を解かないアラリックに対して、ストリクスが諭す。


「そいつは……信じて大丈夫だ。アーサーの話が嘘じゃないなら、信用できる。……アラリックも内心、安堵しただろ」


ストリクスの説得力ある言葉で、警戒を解いた。

実際リゼルドは、第二授業で行動を共にした仲でもあり、アラリックの中で印象は強く残っていた。

——そして目覚めた直後に本音を吐露した、数少ない理解者でもある。


「僕は〜絶対アラリックの敵にならないし、アーサー陣営の1人だから安心してほしいな〜」


「確かに、何処でも扉が通じるなら、逃げ道を封じるにも容易いかも」


「おそらく、今の会話も全て聞いていたでしょうね。幼児退行しているとは言え、しっかり者の性格は微かに残っているようですし、任せてみても良いかもしれません」


「えへへ〜ありがとう」


「これで、証人は確保できたな。残りの契約内容は俺達で、なんとかしてみるよ」


「は〜い。——それにしても、完全防音は、グラン達も悪手だったね〜 まぁ、困ったらいつでも呼んでね〜」


最後に皮肉じみた捨て台詞を吐いて、リゼルドは自分で作った扉を通って姿を消した。


「——よし。じゃあ、後は俺達がやらなきゃだな」


静寂が戻り、重い空気が場を包む。


「まず、ゼフィリーとレンリーが納得のいく説明を、しなくてはならない……」


「——だな。取り敢えず俺はゼフィリーに声を掛けるから、アラリックはレンリーの元へ行ってくれ」


三人は微かに笑みを交わし、作戦の第二段階へ移った。


「アラリックさん!おかえりなさい——」


コロシアムに戻ると、レンリーが駆け寄ってきた。


「ただいま……鍛錬は捗った?」


「はい。アラリックさんのお陰もあって、更にレベルアップしてると思います!」


その無邪気な笑顔に、アラリックは胸の奥に冷たいものが落ちるのを感じた。

——アラリックが、記憶の戻っていない人間を信じるのは辞めようと、決意した瞬間だった。


「……何か気になることは、ある?」


直接的に聞くのではなく、さりげなく何か無いかを問いただす。


「特には……ありません」


「……そう。なら良いよ」


やはり記憶操作だ……第一声がヴェイルとの会話の内容に続かず、「おかえりなさい」で終わったこと。

そして、今の質問でも勘付かなかったことが、全てを物語っている。


「あの、対人戦前日まで、一人で特訓しても良いですか?」


「良いけど……急にどうして」


「今まで、黒い自分や、ティオルさん、アラリックさんに助けられて、ここまで来ました。——だから今度は1人で強くなろうって思ったんです」


その無邪気な笑顔に、アラリックの胸の奥に、冷たく硬い決意が沈んだ。

——記憶の戻っていない人間を、信じるのはやめよう。


「——僕も丁度、一人の時間が欲しかったんだ。何かあったら呼んでくれて良いから」


「あ、ありがとうございます」


——こうして、アラリックはコロシアムを後にした。

ゆっくりと歩きながら、アラリックは呟く。


「II組にも、似た人間が……いればいいのに——」


一方、その頃ヴェイルは、ゼフィリーを探していた。

校庭に出て、辺りを見渡すと火属性の、強化特訓を行なっているゼフィリーがいた。


「よっ。ゼフィリー」


「ヴェイル……どうしたんだい?」


「いや、様子を見にな。ずっと練習してたのか?」


「うん。——でも、不思議なんだ」


ゼフィリーの表情が陰り、空気が張り詰めた。

ヴェイルの胸に、不安が走る。


「ここまで一度もII組の人達とは、接触してない。個人的な考えでは、結界の影響かなって思ってるけど」


大分、核心に近い気付きだったが、ゼフィリーの呪いは発動しなかった。


やっぱり……呪いを抑制したことは、あいつらにバレてるかもしれねぇな——


「まぁ……あいつのことだし、何か悪いこと企んだんのかもな。邪魔して悪かった。また後でな——」


ヴェイルはこれ以上詮索せずに、その場を後にした——


「帰ったか……ヴェイル」


三人は再びストリクスの部屋に集まっていた。

空気は重く、緊張が走る。


「おう。2人とも大丈夫そうだ。グランにも、ちっとは感謝しなきゃならねぇかもな」


「——契約の内容を決めた」


静寂な部屋の中で、冷たくアラリックの声が響いた。

自然とヴェイルも、冗談混じりな雰囲気から一変して、真剣な表情に変わる。


「聞かせてくれ」


アラリックが小さく頷き、ストリクスが、確認していた契約書を受け取った。


「まず、”ただ吐かせる”だけでは意味がない」


契約内容その①

対人戦前に、全生徒の呪いの解除と、学園からの解放すること。


契約内容その②

呪いの解除が不可能な場合は、ヴェイル•イグニス、アラリック•オーレル、ストリクス•アルヴィオンの三名に、洗脳の術の重複を許可すること。

もしくは、真実を包み隠さず語ること


契約内容その③

本契約はリゼルド・グレイアスの証人の下、署名後は絶対に遂行されること。


「二つ目の契約内容が分からない。どういう意味だ?」


「……つまり僕たちに洗脳の権利を渡すってことだ。それが嫌なら、僕達に全部ぶちまけろ。……そういう意味だ」


ストリクスが、ゆっくりと体を起こして契約内容に補足を話し始める。


「この短期間では、契約にサインさせるので精一杯だ。対人戦は避けられない。だから、なるべく契約内容その①で終わりにしたいと思っている」


「決行は?」


「明日早朝に、実行する。寝坊だけには気をつけるように」


三人の目が合い、決意が交わされる。

学園の闇に挑む、その第一歩だった——


「いつでも準備万端だぜ……!」


「では作戦通りに……」


職員室前の廊下で、コソコソと話をする、ヴァイルとアラリック。ドアはガラス窓になっていてよく見えなかったが、躊躇いなくアラリックは職員室の扉を開けた。


「失礼します」


中を見ると、グランが机に向かって、呆然と座っていた。

呼び掛けようとした、その時——フラーナがアラリックの存在に気付く。


「アラリックさん、おはようございます。こんな、早朝からどうしたのでしょう?」


フラーナの声で、グランは我に返ったようにアラリックを見て、いつも通りの口調で話す。


「こんな時間に客人とは……ソニント以来と、いったところか。——それにそんな物騒な物を持って、自主退学でも宣言しに来たのか」


アラリックは大きい封筒を両手で持ち、無言でグランの前に歩み寄り、封筒を両手で突き出す


「先生に見てもらいたい物があって……」


差し出された封筒を受け取り、中身を確認するグラン。

——次第に顔色は青ざめ、殺意を向ける眼差しで、アラリックを睨んだ。


勘づいてはいた……誰かが呪いを抑制して、発動しなかったことは……それが、アラリックだったか……


「ストリクスの呪いも、知っていながら、黙っていたんですよね」


「俺達には関係のないことだ……」


グランは立ち上がり、アラリックが入ってきた扉と逆のところから、退出しようとした。


しかし——


「無駄だぜ、グラン。お前達がどれだけシラを切ろうと、空白の入学前に見た記憶が、物語ったんだ。今までみたいに、言い逃れしようと思ってんなら諦めて、契約書に従え!」


逃げるのを遮るように、ヴェイルが扉を開けて、アラリックと挟み討ちのような形で声を張る。


「契約内容の①か②の条件を呑んだ上で、署名をお願いします……拒否権はありません」


今まで、黙って見ていたフラーナが静かに動くのを感じた、アラリックは即座に氷の刃を、フラーナの首元に当てた。


「動くなフラーナ……貴様も同罪であることは認識しているのだろう……?」


もう逃げられないと、察したグランは諦めて契約書に従い、

契約内容その②に丸をつけて、署名をした。


「グラン先生……!———っ」


フラーナが必死に叫ぶ。しかしアラリックの形相に、萎縮した。


「では、記憶に気付いたヴェイル、僕、ストリクスのに洗脳術を譲渡及び、重複を許可する。もしくは三人に洗いざらい真実を話すか。を決めたという認識で宜しいですね……?」


「構わん。記憶が戻り、呪いが不完全で終わった人間に隠す必要はあるまい」


「リゼルド!サインが終わった。持って行ってくれ」


「はい、は〜い。お任せあれ〜」


「———っ」


新しく扉が現れて、そこからリゼルドがのそのそと、歩きながら契約書を取り上げる。


「良い子ですね〜 ———ふむ、ふむ。確認しました〜

じゃあ、後は安全な場所に保管しておきます〜」


再び自作の扉から帰ろうとした時、何かに話しかけるようにリゼルドは言う。


「ストリクスも、そろそろ入ってきて大丈夫だよ〜」


扉をゆっくりと開けて、少し顔色の悪いストリクスが入って来た。


「まだ、呪いが完全に抑制出来てないけど、話はちゃんと本人の口から聞かせてもらう……」


「疲れたら座って良いからね〜 それじゃあ、失礼します〜」


こうしてリゼルドは扉に足を踏み入れると、ストリクスの部屋の時のように、姿を消した。


「……では、貴方がどちらの選択肢をしたのか、聞かせてください」


職員室は、重く、緊張した雰囲気が包んでいる。

——静寂の中、グランが重い口をようやく開いた。


「……洗脳の重複は無理だ。”出来なくは無いが、今やられては困る”……代わりに、お前達三人には真実を話す」


「”困る”ってのは、”選別”の話か?」


「……そうだ。”今逃げられては、後から面倒が増えるからな……”」


ヴェイルは記憶を頼りに、グランに問い詰める。

依然として、空気は冷たく、息苦しさを放っていた。


「お前達が産まれるよりも、ずっと前から世界は選別を行い続けた……選別は、災厄や暴力、戦争の種を残す者を刈り取るためのものだ。それが、この世界の平和を保つ最善手だと言われてきたから……」


「嘘だな!そんな長い歴史の話が、俺達の時代に語り継がれない訳がない!

——それに、そんなもんのために、ソニントみたいな何の罪もない奴を殺してきたってのか!だとしたら……相当狂ってやがる」


ヴェイルは、即座にグランの回答に反応する。

グランの話に補足をかけるようにフラーナが、話す。


「元々、極秘事項として選別は行われていきました。貴方達も学園に来る前、自分達の故郷の人間が少ないと感じたことはありませんでしたか?」


お互いに問いかけるように、三人は顔を見合わせる。


「確かに言われてみりゃ、そうだったかも……」


「貴様……本気で言っているのか」


「その話が本当なら、僕の故郷も人は少なかった……」


ヴェイルと、ストリクスは納得が行っている様子に、アラリックは軽蔑と殺意に塗れた目で見ていた。


「でも、ストリクスの言う通り、それが理由とは限らないし、証拠も無い。だから俺は信じない」


「———っ」


ヴェイルの言葉で少し、少し見直したような顔をするアラリック。

——そして、ストリクスが何かを思い出したように、口を開いた。


「アーサーが言ってたけど、あんた達は、ティオル達率いる宗教団体の奴等と、繋がってるんじゃないの?」


「——じゃあ、真の黒幕はそいつらで、こいつは騙されて、命令されてデスゲームなんかを……?」


「分からない……憶測でしか無い以上、答えてもらうしかない」


「どうなんだ……グラン•マウロ……」


「———俺達が騙されているなんてことは……ない。これが”真実だ”」


グランの語る目に、嘘は感じられなかった。

何が真実で、何が嘘なのか疑心暗鬼な部分は多く残った。

そして宗教団体の——真の目的も……

しかし、グランの言う通り、選別が世界を支配しているなら、それが正しいことなのか、追及しなくてはならないのだ——

“真実”と思われる、学園の謎を暴きました。

まだまだ不完全燃焼かもしれませんが、ここから更に盛り上げられるように、これからも応援よろしくお願いします

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