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まおうのにっき6
『まおうのにっき
昔を思い出した。
まだ私が小さかったころ。
まだ人間の町で暮らしていたころ。
人間の男の子たちが、小さなフェアリーを捕まえていた。
凶暴な野良犬と、一緒のカゴに入れて、戦わせて遊んでいた。
野良犬と魔物の決闘を見て、人間の男の子たちは、とても楽しそうだった。
私は、フェアリーの悲鳴が、耳から離れなかった。
ほかにもいろんなことがあった。
私はずっと、こわくて見ているだけだった。
あのころの私に、力があればよかった。
昔のことは、もう間に合わない。
でも、これからのことは、まだ間に合う。
今の私は、魔王なんだから』




