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四人目?

 森当 仁英。

 髪は黒くショートカット、全体的に色白で細い、一言に纏めれば弱々しい印象のある男子生徒である。

 その容姿に疑問や違和感は抱かない。しかし彼の開示したプロフィールは俺を含めた三人の頭上に疑問符を浮かばせた。

「図書部員と言ったね、入部希望者という訳でもなさそうだけど」

 ひとねは観察する時に目を細くする。知らなければ睨まれてると感じても仕方ないくらい鋭い目つきになるのだが……それを向けられた森当くんは気にしていない様子で口を開く。

「いえ、そのままの意味です」

「この部の部員は三人だったと記憶しているけれど……」

「あっ! わかった!」

 突如大声をあげた下里は立ち上がって森当くんを指す。

「幽霊だ!」

「ええ、その通りです」

「はあ?」

 俺とひとねの疑問符は取れていない。

「なんだ幽霊って」

「幽霊の部員、幽霊部員ですよ!」

「そんなのがいたのか」

 ああ、そういえばひとねは知らないんだったか。

「俺たちが入る前から居たらしい。名前までは見てなかったけど……」

「ふうん」

 ひとねは興味なさそうに菓子を摘み、森当くんに視線を投げかける。

「で?」

「へ?」

 流石に呆然とする森当くん。少し……いや、大いに補足を入れた方がいいだろう。

「怪奇探偵への相談だったよね。その話をしたいんだ……よな?」

 頷くひとねの向かいで下里が感嘆の声をあげる。

「さすが先輩です」


「ふむ、見た感じ怪奇探偵さんは其方の方のようですね」

 森当くんの目は真っ直ぐとひとねを捉えている。

「よくわかったな」

「なんとなくですよ。先輩は助手の方が似合いそうです」

「それは……ほめているのか?」

「ミステリの語り手は探偵じゃない方が好きです、探偵の存在証明になります」

「……?」

「必要不可欠では無いけど個人的には必要だと思うって事です」

 よく分からない言い回しをする子だ。まあ、貶されている訳ではないらしい。

「そんな話は後にしてくれ」

「本題どーぞです」

 二人に促され森当くんは仕切り直すように咳払い。

「靴箱に入れたものが扉を閉めると消えて無くなるんです」

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