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62 女子高生もモフモフとだらだら過ごす

 学校から帰って来て異変を感じる。家の庭に入った瞬間の何とも言えない雰囲気。

 うーん。でも一見だと分からないなぁ。


 情報を集めよう。柴助は四つん這いになって空を眺めてる。うん。

 猫丸は縁側の廊下でひっくり返ってる。うーん。

 瑠璃は家の屋根から一点を見つめてる。んー?


「ミー!」


 ミー美が私の傍に寄って袖を引っ張ってくる。私の名推理は必要ないみたい。ミー美に案内されて庭の奥の塀の近くに行ったら、そこでたぬ坊とこん子が仲良く土を掘り起こしてる。前足で土を掻いてて思った以上に早くてちょっと感心する。

 ってそんな場合じゃないよ。早く止めないと。


「たぬ坊、こん子ダメだよー」


 どっちも捕まえると諦めて大人しくなったけど何かしょんぼりしてる。耳も尻尾も垂れてるし元気ない。


 もしかして退屈してるのかなぁ。ずっと庭の周りで生活してるし偶には広い所に行きたいのかも。皆それを知ってて逃がそうとしたの? ミー美は偉いけど。後、猫丸は多分関係ない。ずっと廊下でひっくり返ってるし。


「でもこっちで外に出すのはなぁ。あ、そうだ。こっちでダメなら向こうならセーフ?」


 ちょっと暴論だけど、でもこのままなのも可哀相だし。そうと決まったら檻を持って来てたぬ坊とこん子を入れてあげよう。


「たぬ坊ー、こん子ー。一緒に異世界行こー」


 好物のドッグフードと食用マウスを見せてあげても全然来てくれない。脱走計画を阻止したから拗ねてるのかも。


「ぴー!」


 ここで瑠璃が颯爽と降りて来て説得してくれる。するとたぬ坊とこん子が目を潤ませて鳴いてる。やっぱりこういう時にコミュニケーションを取れるって大事だなぁ。


「瑠璃、ありがとう。これあげるね」


「ぴ!」


 リガーをあげると瑠璃は嬉しそうにかぶり付いてる。これが魂胆な気がしなくもないけどまぁいっか。


「ミー美も来る?」


「ミー!」


 来るみたいだね。ミー美は大きいから庭の中だと窮屈だもんね。それでも全然文句言ったりせず大人しいから本当に利口だと思う。


「しば……」


「わん!」


 名前を呼ぶ前に柴助が横で座って待機してる。尻尾ぶんぶん振ってて嬉しそう。こやつ、完全に異世界に嵌ったな。


「猫丸ー」


 皆が行くと決まったから猫丸を呼んだけどずっと廊下で寝てる。このままだとぶくちゃんになるから猫丸も連れて行こう。抱っこしてもずっと無抵抗でぼーっとしてる。これはレティちゃんから感情表現を教えて貰わないといけないかもしれない。


「よし行こう」


 と思ったけど猫丸抱っこしてたらたぬ坊とこん子いれてる檻が持てない。私の意図を察してくれてミー美が檻を咥えてくれる。やっぱりミー美は良い子。瑠璃なんか私の肩に乗ってまだリガー食べてるし。


 柴助とミー美のリードを握っていざ出発!

 なんて上手くもいかない。仕方ないから庭の周りをウロウロする。お願いだから配達の人とかご近所さんは来ないで。今の光景、すっごく変だと思うから。


 少ししたら景色が変わったから異世界にやって来た。丁度街の外だったから今日は街道の方に行ってみよう。ちょっと歩いたら草原の向こうでスライムさんが一杯いる。すら吉さんを捕まえた所だね。ここで皆を遊ばせようかな。


「ミー美、下ろしていいよ」


「ミー」


 檻を下ろしてもらって中にいるたぬ坊とこん子を出してあげた。最初はどっちも見慣れない景色で檻から出て来なくておそるおそる様子を伺ってる。でも周りに人もいなくてスライムさんだけって分かると草原の方に走って行った。


「あんまり遠くまで行ったらダメだよー」


 山の中と違って見晴らしがいいから見つけやすいけどスライムさんの中に擬態されたら大変。たぬ坊もこん子もスライムさんをじっと見てて既に興味津々みたいだし。


「ぴ!」


 瑠璃が何か言って2匹の所に飛んでいく。面倒見てくれるみたい。成長したなぁ。これは帰ったらリガーあげないとね。


 ミー美と柴助のリードも外してあげて自由にしてあげると、柴助も嬉しそうに走って行った。猫丸は異世界って分かってなさそうで半目で辺りを見てるだけ。やる気ないなー。


「ほら猫丸。偶には動かないと太っちゃうよ」


 あんまり言えた口じゃないけど、下ろすと猫丸も分かってくれたみたいで伸びしてゆっくり歩いて行く。なんて貫禄のある歩き方なんだろう。あ、近くのスライムさんを見つけて上に乗っかってる。それでまた寝てる。


 でもスライムさんに乗ったら気持ち良さそう。流石に私はできないけど。


 向こうは何か瑠璃がスライムさんを持ち上げてたぬ坊とこん子を追いかけてる。どっちも驚いてて逃げてるけど柴助は楽しそうに追いかけてる。何してるんだろう?


「ミー美も行ったら?」


「ミー?」


 ミー美は大きいから多少離れても見つけられるから遊んでいいのに私の傍を離れそうにないなぁ。ミー美は猫丸の近くの草原に座って寛いでる。私もその近くでのんびりしよう。


 私の世界だと夕方くらいだったけど、こっちだとまだまだ明るい。近くにいたスライムさんを抱っこしてみる。やっぱり冷たくてツルツルしてて気持ちいい。

 暑いから抱き枕用に欲しいけど溶けちゃうから無理だよね。


「ミー美あげる」


 スライムさんをミー美に投げてあげたら器用に頭を使ってキャッチした。それで頭で叩いてスライムさんでリフティングしてる。何か水族館にいるアザラシのショーみたい。

 それでスライムさんをポンポンしてから私に返してくれる。


 何か楽しいからまた投げてあげたらポンポンしてくれる。もう一匹スライムさんを投げたらお手玉みたいに器用に回してる。すごい。


 それで2匹同時に返されて私がキャッチできなかった。不器用だから仕方ない。

 飛んで行ったスライムさんは猫丸の上にふわふわ落下した。スライムさんのサンドイッチになってる猫丸だけど気持ちいいのかさっきより寝心地がよくなってる。


「そういえば皆はどうしてるかな?」


 瑠璃達の方に目を向けたら何か皆でスライムさんを積み上げる遊びをしてる。瑠璃のは凄く高くなってて塔みたいになってる。今も空から飛んでて慎重にスライムさんを乗せてる。


 あ、崩れた。


「ぴー!?」


 すごく絶望の声が聞こえた気がするけど気にしないでおこう。


「ん。私もちょっと寝ようかな」


 気候もよくて気持ちいいし、眠くなっちゃう。帰りが遅くなったらお母さんには柴助達の散歩に行ってたって言おう。

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