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130 女子高生ももふもふを洗う

 いよいよゴールデンウィークやってきた。これをずっと待ってた!

 準備はとっくに済ませてる。さぁ異世界に行こう!


 ……の、はずだったんだけど何でか庭でビニールプールを広げて我が家のモフ達を洗ってる。最近暑いからそろそろ洗わないとって思い立ったのが運の尽きだと思う。


 皆ビニールプールに集まって楽しそうにはしゃいでる。主に瑠璃がだけど。

 ミー美は大き過ぎて入れないし。


 とりあえず順番に洗ってあげよう。柴助は慣れてるからいつも大人しくジッとしてくれてる。だからシャンプーもすぐに終わる。でもいつもシャワーかけてる途中に体をぶるぶるさせて水をこっちに飛ばしてくる。


 猫丸も貫禄があって水慣れしてる。子猫の時から習慣化させたおかげでシャワー出しても逃げない。柴助みたいにジッとしてくれるのも助かる。ジッとするというかやる気なさそうにされるがままって感じだけど。シャンプー終わってシャワーかけても暫く放心してるし。


 瑠璃は洗われるのが好きみたいで水をかけたら寧ろ嬉しそうに反応する。というかシャワーの水を飲もうとするし。最初ドラゴンにシャンプーしていいか悩んだけど、してあげたら瑠璃が喜ぶからするようになった。


 ただこの前にお父さんが瑠璃を洗いたいって言ってさせたら物凄い反抗してたのが妙に覚えてる。シャンプーの力加減が気に入らなかったのかお父さんの手に噛み付いてた。瑠璃も難しいお年頃。


 ミー美も大人しいから楽……でもない。そもそも大きいから全身をシャンプーするだけでもすごく大変。毛もあるから放っておいたら匂うだろうし妥協はできない。

 いつもはお父さんがしてくれるけど今日は用事があってお祖父ちゃんの所にいってるから私がしないといけない。


「こんな感じでいい?」


「ミー」


 一応全身が泡立つくらいには頑張った。あとはシャワーで落としてあげよう。これも地味に大変。落とし忘れがないかチェックしないと駄目だし。それにシャワーが終わった後にタオルで拭くのも結構時間かかる。大きいバスタオル5枚くらいいる。


「さて、残る問題児がいるんだよね」


 皆がこれくらい利口なら楽なんだけどそうもいかない子もいる。

 離れた縁側の下でたぬ坊とこん子が怯えた様子でこっちを見てる。


「怖くないよ~。おいで~」


 手招きしても一向に出て来てくれない。元々野生育ちだからシャンプーされて匂いを消されるのが嫌いみたい。水をかけるだけだったら許してくれるんだけどそれだとあんまり意味がないしなぁ。今回も苦戦しそう。仕方ない、軍師を呼ぼう。


「瑠璃。お願い」


「ぴ」


 瑠璃はなんでか他の動物の言葉を理解できるからこういう時に頼もしい。


「ぴ~ぴ」


「ぴゃー」


「くゆーん」


 何か鳴いて会話してるけど説得できてると信じたい。それで3匹の会話がしばらく続いてこん子とたぬ坊が渋々出て来てくれた。お~さすが。

 瑠璃がドヤ顔で戻ってきたから撫でてあげよう。


 2匹の気が変わらない内にサッと洗ってあげる。それで洗い終わったんだけど何でか2匹とも私の傍を離れなくてずっと何かを訴える目で鳴いてる。私には解読不可能。


「瑠璃。何て言ったの?」


「ぴ」


 それで瑠璃が柴助の餌の皿に入ってるドッグフードを1粒手にとって食べた。

 なるほど、こやつ餌で釣ったな。しかも私の許可なく。最近瑠璃に変な知識が増えてる気がするけどまぁいいや。頑張ってくれたんだからご褒美が必要だよね。


「それじゃあ餌を持ってくるから待っててね」


「ぴ!」


 なんで瑠璃が真っ先に鳴いてるの? これが狙いだったかー。いいけど。


「平和だねー」


 縁側で皆が餌を食べてる光景は平和そのもの。これを見てるだけで明日も頑張ろうって思える。


「ぴー」


「瑠璃もう食べたの? 駄目だよ。リガーはもうないよ」


「ぴ~」


 おねだりしてくるけど食べ過ぎはよくないよ。最近目を離したら何か食べようとするし。

 それでも瑠璃が擦り寄ってくる。それで気付いた。


「瑠璃、太った?」


「ぴ!?」


 何か前よりも大きくなってる気がするんだよね。


「ん~、太ったというより成長してる?」


 そう言ったら瑠璃が無駄に頷いてる。ドラゴンでも太ったって思われるのは嫌なんだ。

 でも瑠璃と出会ってからそろそろ1年くらいだし成長しててもおかしくないかぁ。

 確か何とかのドラゴンって鳥さんが言ってたけど、名前忘れちゃった。


 ドラゴンの寿命って長そうだから成長もゆっくりだと思ってたけどそうでもないのかな。

 前までは肩に乗せられたけど今はぎりぎり乗るかどうかって感じ。


「ちょっと瑠璃。地面におりて」


「ぴ」


 それで並んでみる。うん、やっぱり大きくなってる。前は立っても足の膝くらいまでだったけど、今は太ももくらいまで体長がある。


 それでお腹も減る感じ? 瑠璃は元々食いしん坊だからあんまり当てにならない気がするけど。


「こん子くらいなら乗せても飛べるんじゃない?」


「ぴ~」


 そしたら実践してくれるみたいでこん子を背中に乗せてる。それで翼をパタパタさせて飛んでる。なんて可愛い絵面。スマホで撮ろう。


「あんまり高く飛んだらダメだよー」


 前みたいに外に逃げられたら探すのも苦労する。


「わふわふ!」


 柴助が目を輝かせて寄ってる。乗せて乗せてって言ってるのが何となく伝わるけど、さすがにあの大きさは無理だと思う。瑠璃が頑張ろうとしたけど柴助に馬乗りにされて終わってる。

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