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異世界で魔法少女始めました!  作者: あいまり
第4章 ノールト国編
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第96話 正体の説明

 フラムさんと二手に分かれ、私達は魔法少女をかき集めた。

 ……いや、あすさおはすぐ見つかるんだけどね。

 だから、フラムさんには明日香の部屋に行くように伝え、私は蜜柑を探した。

 彼女は台所でお菓子作りの研究をしていた。今はマドレーヌに挑戦中らしい。

 蜜柑にはギンが幼女化したってことだけは伝えていたから、ギンのことについて説明すると話したら、すぐに了承してくれた。

 彼女を連れて部屋に戻ると、明日香がギンに高い高いをしていた。

 ……何普通に受け入れてるんだ、おい。


「あ、葉月おかえり~」

「た、ただいま……?」

「あー! ビッチまたママに近付いてる!」


 楽しそうに笑っていたギンは一転。

 明日香に抱えられたまま、蜜柑を忌々しそうに睨んでいる。

 それに、蜜柑は怖気づいたようにたじろぎ、明日香は困惑した様子でギンを見上げていた。


「へっ? どうしたの?」

「あー……とりあえずギンは落ち着いて? 蜜柑は私が連れて来ただけだよ。ギンのこと話すから」

「ぶー」


 私の言葉に、ギンは不満そうに頬を膨らませた。

 でも蜜柑だけ別で説明すんのも怠いし、我慢しておくれ。

 これから一緒に活動することになるんだから。


「え? ……え!? ギン!?」


 そして、私の言葉に、明日香が驚いた表情でギンを見る。

 知らなかったんかい。知らずに高い高いしてたんかい。

 私は内心ため息をついた。


「それで、全員揃ったから聞くが、この少女がギンというのはどういうわけだ?」


 フラムさんの言葉に、視線が一気に私に集まる。

 明日香は無言でギンを下ろした。

 私はそれに緊張しつつ、口を開いた。


「えっと……まぁ、順を追って説明するんだけど……」


 それから私は、ギンに起こったことを全て話した。

 トネールにも補足してもらいながら、なんとか話しきった。


「……つまり、魔物を食べて進化し続けた結果、人間になった……ということですか?」


 全てを話し終えると、沙織がそう聞いてきた。

 それに、私は頷いた。


「まぁ、簡単に言うとね」

「召喚獣のメカニズムなどは理解していないのですが、そういうものなのですか?」

「……いや、私もこういう事案は初めて見た……」


 沙織に聞かれ、フラムさんは神妙な表情でそう言った。

 フラムさんでも知らないことが、私達に分かるわけがない。

 いよいよお手上げかと思っていた時、フラムさんが屈んでギンの目を見た。


「……だが、考えられるとするなら、短い期間で一気に魔物を食べ過ぎたのかもしれないな」

「期間とか関係あるんですか?」

「あぁ。召喚獣は、魔物の首を食って魔力を体に取り込んで力にする。だが、その魔力を体に定着させるのにも時間はいるんだ。魔力が定着しきっていない間に次から次へと魔力を取り込みすぎて、体がその魔力を無理矢理定着させるために進化したのかもしれないな」

「へー……詳しいんですね」

「……魔法使いも、召喚獣を使っていたからな」


 フラムさんはそう言うと、遠い目をした。

 あぁ、例の勇者ハーレムパーティ……。


「そういえば気になったんだけど、ギンはもうドラゴンにはなれないの?」


 明日香の言葉に、ギンは「なれるよー」と言い、ドラゴンの姿になった。

 そこまでは予想通りだったんだけど、ドラゴンの姿になった瞬間、着ていたハズの明日香のシャツがバサッと音を立てて落下した。

 うん? これって……?


「キュイィ!」

「ちょ、ギン! 待って!」


 人間の姿に戻ろうとするギンに反射的にそう言いながら、私は咄嗟にトネールの毛布を剥ぎ取り、ギンに掛けた。

 なんとかギンが人間に戻る直前に、彼女の体を毛布が覆う。

 人間に戻ったギンは、「ぷはっ」と毛布から顔を出し、不思議そうな顔で私を見た。


「ママ?」

「……服。脱げてた」


 私はそう言いながら落ちていたシャツを手に取り、ギンに見せる。

 すると、ギンは不思議そうに首を傾げた。


「なんで隠したのー?」

「……ギンの裸を人に見せたくないから」

「なんでー?」

「察しろ」

「……?」


 私の言葉に、ギンはさらに首を傾げた。

 その様子を見ていた沙織が、私の持っている服を見て、「あっ」と声をあげた。


「それ、明日香の……」

「え? あぁ、うん」

「あ、見覚えあると思った。……あぁ、葉月が服貸してって言ったの……」


 明日香の言葉に、私は頷いた。

 服見た時点で気付いても良いとは思いますけどね。

 そう思っていると、蜜柑が苦笑いを浮かべた。


「でも、ドラゴンに戻ったりすると、服脱げちゃうんだね」

「あぁ、うん。……なんとかならないかな」


 私の言葉に、蜜柑が「うーん」と言って苦笑する。

 すると、ずっと黙って話を聞いていたフラムさんが、ポンッと手を打った。


「ソラーレ国に腕の良い服職人がいたハズだ。もしかしたら、そういう服も作れるかもしれない」

「え……そんな簡単に行くものですか?」

「……分からないが、やってみないと分からないだろ?」


 フラムさんの言葉に、私は少し不安になった。

 そんな上手くいくものかなぁ。

 とはいえ、他に方法も無いし、試してみるしか無い、か……。

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