しっぽの記憶
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
名前は、ポチ。
ありふれてるって? うん、そうかもしれない。
でもおいらにとっては、誇らしい名前だ。
初めて呼んでくれたのは、小さな女の子だった。
おいらは子犬のころ、ダンボールの中にいた。
駅のそば、冷たい風の吹く朝。
誰にも見向きされず、鳴く声さえかすれていた。
そのとき、彼女が現れた。
「……わたしが、助けてあげるから」
細い腕で、そっと抱き上げてくれた。
あの瞬間の温度を、おいらは今でも覚えている。
彼女の名前は、ユイ。
泣き虫で、おしゃべりで、でも本当にやさしい子だった。
「ポチ、おはよう」「ポチ、だいすき」
毎朝、毎晩、名前を呼んでくれた。
おいらは、その声のために生きていた。
彼女が笑えば、おいらもしっぽを振った。
彼女が泣けば、そっと隣に寄り添った。
時が流れて、ユイは中学生になった。
忙しくなって、なかなか一緒にいられなくなったけど、
それでもたまに、おいらの頭をなでてくれた。
「ポチ、ずっと一緒にいようね」
──その言葉を、信じていた。
でも、人間は、大きくなると遠くへ行く。
ある日、ユイが泣きながら言ったんだ。
「ポチ……ごめんね。高校、遠くに行くことになっちゃった。
おばあちゃんちで、いい子にしててね」
おいらは、言葉の意味がぜんぶわかったわけじゃないけど、
ユイの涙を見て、ただ静かにうなずいた。
それが、最後になると知っていたのかもしれない。
おばあちゃんの家での暮らしは穏やかだった。
畑のにおい、風の音、夕暮れの影。
ユイは手紙をくれた。写真も。
でも、声はもう聞こえなかった。
やがて、おいらの足は重くなり、目もかすみはじめた。
ある春の日。
ぽかぽかした陽のなかで、おいらは目を閉じる。
遠くで、声がする。
──ポチ、おはよう。
──ポチ、だいすき。
──ポチ、ただいま。
おいらは、最後にしっぽを振った。
そして、静かに眠った。
数日後、ユイが帰ってきた。
「ポチ……ごめんね、間に合わなかった」
彼女は涙をこぼしながら、おいらの首輪を抱きしめた。
その夜、風がふわりと吹いた。
どこかで、しっぽがひとつ、ゆっくり揺れた気がした。




