最後の回転 ―旋盤機とじいちゃんの工場
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
おいらは旋盤。
鉄の身体と、うるさいほどの回転音。
鉄を 削って削って削り続けて、”形”にするのが仕事だった。
──昭和三十五年。
小さな町工場に、初めて運び込まれたときのことは、今でもよく覚えている。
あの人──じいちゃんが、おいらのことを撫でながら言ったんだ。
「ようこそ。今日からお前は、俺の”相棒”だ」
その日から、じいちゃんとおいらは毎日、朝から晩まで鉄を削った。
バイクの部品、農機のパーツ、ネジに──なんでもつくった。
鉄くずまみれの床と、油のにおいの中で、じいちゃんはいつも嬉しそうだった。
「よし、相棒。今日は“0.01ミリ”の世界だ。頼んだぞ」
おいらはうなりながら回った。
削りすぎても、残しすぎてもいけない。
ぴたりと“寸分違わず”──それが、職人の誇りだった。
精度には自信があった。
真っすぐに削るだけじゃない、角度も曲線も、面の仕上がりも、すべてきれいに整える。
おいらが手をかけた製品は、隅々まで整ってて、誰が見ても美しかった。
「やっぱりお前はすげえな」ってじいちゃんが言ってくれるたびに、
おいらは、もっと正確に、もっと美しく削れる気がしたんだ。
やがて時代は変わった。
大きな会社が、機械で大量にものをつくり始めた。
図面がパソコンになり、工場にはロボットが並ぶようになった。
「NC旋盤」「CNC加工機」──すごいやつらだった。
図面を読み込んで、自分で刃を変えて、夜中でも働く。間違えない。疲れない。
おいらは、ただ回るしかできなかった。
注文が減っていった。
「安くて早いほうがいい」と言われ、うちの工場に仕事は来なくなった。
若い職人は辞めていった。
じいちゃんの背中は、少しずつ小さくなった。
ある日、ぽつりとつぶやいた。
「相棒よ……お前とやった仕事、今の若い子は知らんのだろうな」
おいらは何も言えなかった。ただ、回ることしかできなかった。
そして今日。
工場をたたむ日が来た。
最後の仕事は、特殊なネジをひとつ。
何に使うかもわからなかったけれど、
じいちゃんは、昔と変わらぬ手つきで、おいらを回してくれた。
「……ありがとうな、相棒。お前は最高だったよ」
その言葉に、おいらの回転がほんの少しだけ速くなった気がした。
機械なのに、おかしなもんだな。
クレーン車がやってきて、おいらは運び出される。
町工場のシャッターが、ゆっくりと音を立てて閉まった。
これで終わりかもしれない。
でも──どうか、忘れないでほしい。
おいらたちがいたことを。
金属の中に、魂を刻んだ日々を。
誰かが言うんだ。「古い機械だ」とか、「もう使い道はない」とか。
でもな──
おいらは、世界を形にする手伝いをしてきたんだ。
ただ削るだけじゃない。
細かく、正確に、美しく。
人の手と心が通った“ほんまもんの仕事”を、ずっとやってきたんだ。
目立たなくても、光らなくても、
いつも誰かの暮らしのために回っていた。
──ここに、たしかに、生きていた。




