コロッケ爺さんの青春時代
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
──わしは、コロッケじゃ。名はまだない。いや、名はコロッケじゃ。
わしがこの国に来たのは、明治の終わりごろじゃ。
もともとフランス生まれの「クロケット」という洒落たもんでのう、上流階級のテーブルに並ぶ、外国の味だった。
銀の皿に乗せられ、ナイフとフォークでちょんちょん切られとったわ。
わしも最初は上品に生きとったよ。
ベシャメルソースなんかにくるまれてな、舌の肥えた人に「おいしいね」なんて言われて、鼻が高かった。
──じゃが、明治は遠くなりにけり。
大正が過ぎ、昭和が来る。戦争と貧乏と復興の時代じゃ。
その頃からじゃ、わしが“庶民の味”になったのは。
高級だったクリームはいつのまにか潰したジャガイモに変わり、
肉はほんのちょっぴり、玉ねぎと一緒に炒めて、形を丸くする。
パン粉をまぶし、油でジュワッと揚げる。
──ほら、これが「昭和のコロッケ」じゃ。
これがまた、うまいんじゃ。
冷えてもうまい、ソースをかけても、塩でも醤油でも合う。
給食にも出たし、商店街の惣菜屋にはいつもわしの仲間が並んどった。
腹を空かせたガキどもが、小銭握りしめて「コロッケ一個!」と叫ぶ。
わしは人気者じゃった。
肉じゃがと双璧、焼きそばとコンビ、白米と相思相愛。
昭和、平成初期までは、ほんに幸せな時代じゃった……
じゃが、平成の中ごろから様子が変わってきた。
冷凍餃子が台頭し、唐揚げが暴れはじめ、
コンビニでは「ジューシーメンチカツ」やら「チーズインハンバーグ」やら──
派手な奴らが、どんどん出てきた。
テレビでもネットでも、誰もわしの話などせん。
若い子は口を揃えて言う。
「え〜、コロッケって、ちょっと地味じゃない?」
……地味、じゃと?
令和に入り、ついにわしは“懐かしい味”と呼ばれるようになった。
生きとるっちゅうに。
昔は「一個ください!」と言われとったのが、今じゃ「三個パック98円、売れ残りは割引」じゃ。
スーパーの惣菜コーナーで、夕方の光の中、誰にも手を伸ばされず、ただじっと冷えていく……
これが、時代の流れというやつかのう。
じゃが、わしはまだ、終わったとは思っとらん。
ある日、小さな女の子が、わしを見て言ったんじゃ。
「ママ、これなに? え? コロッケ? たべてみたい!」
そうして、かじられたわしの半身から、あのころの香りが立ちのぼった。
──ああ、そうか。わしはまだ、誰かの「初めて」になれる。
時代が変わっても、人の舌はどこかで昔を求めとる。
派手じゃなくてええ。SNSに映えんでもええ。
わしは、地味でもうまい。それが、わしの誇りじゃ。
わしの青春は、きっとまだ続いとる。
冷めたとて、ソースをかければまた立ち上がる。
コロッケじゃからのう。




