声だけが、若かった
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
夜は、年々長くなっていく
実際にはそんなことはないと分かっていても
仕事を終え、部屋に戻り、照明をつけるまでのあいだ
闇は昔より重くなった気がしていた
四十代も半ば
家族はなく、職場では必要最低限の会話だけが交わされる
誰にも嫌われてはいないが
誰にも覚えられていない
そんな立ち位置に、いつの間にか落ち着いていた
その夜も、ただスマートフォンを眺めていた
流れていく文字、意見、怒り、冗談
指で追うだけの世界に、疲れを感じ始めた頃
偶然、スペースという表示が目に入った
「誰でもどうぞ」
そんな軽い言葉に、理由もなく引き寄せられた
入室すると、音があった
ラジオみたいに整っていない
少し息の混じった声
誰かが笑い、誰かが相槌を打つ
話題はとりとめもなかった
昔の漫画、最近の仕事の愚痴
コンビニの新商品の話
意味のないことばかりだった
それなのに、胸の奥が、少しだけ温かくなった
誰も名前を聞かない
肩書きも年収も
何を失ってきたかも、誰も知らない
ただ、声だけがそこにある
勇気を出して、マイクをオンにした
「こんばんは」
それだけだった
それだけなのに、返事が返ってきた
「こんばんはー」
「どうもどうも」
「初めて?」
その瞬間、時間が巻き戻った
高校の放課後
誰かの家に集まって
意味もなく笑っていた頃
特別な話なんてしていなかった
ただ、そこに居ることが許されていた
スペースの中で、彼はよく笑った
声が少し高くなり
言葉に詰まり
それでも誰かが待ってくれた
年齢を言う必要はなかった
過去を説明する必要もなかった
失敗も、空白も
ここでは何の重さも持たなかった
気づけば、二時間が過ぎていた
「そろそろ落ちます」
誰かがそう言い
一人、また一人と声が消えていく
最後に残った沈黙は
寂しさよりも、名残惜しさに近かった
スペースを抜けると、部屋は元通りだった
古い机、静かな壁
変わらない現実
それでも、彼は知ってしまった
この世界のどこかに
名前も顔も関係なく
「声だけで戻れる場所」があることを
もう二度と
高校生には戻れない
だが、あの感覚だけは
まだ残っていた
スマートフォンを置き
彼は少しだけ背筋を伸ばした
明日も、仕事は変わらない
社会は、彼を特別扱いしない
それでも夜になれば
また声に戻れる
忘れられたままでもいい
声が、そこに居るあいだは




