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夢のサーカス

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

部屋は、昼でも夜でも同じ色をしていた

閉め切ったカーテンの裏で、朝と夜は区別を失い、時計の針だけが無言で進んでいく

就活に失敗した男は、世界から一歩引いた場所で、呼吸だけを続けていた

履歴書は机の上で白く反射し、何度も書いては破られた跡が残っている

「どうせ無理だ」

口に出した言葉が、部屋に沈んでいく

ある夕方、扉の向こうで足音がした

母の声だった

「ごはん、できてるよ。少しでいいから——」

男は振り返らない

胸の奥に溜まっていた苛立ちが、言葉になって溢れた

「放っといてくれよ!」

「毎日毎日、期待してるみたいな顔してさ!」

「もううるさいんだよ!」

扉の向こうで、母は黙った

その沈黙が、余計に男を苛立たせた

父も言った

「焦らなくていい。お前の人生だ」

それすらも、逃げ道のように聞こえた

「分かったふりすんな!」

「何も知らないくせに!」

言い終えたあと、胸が痛んだ

だが、謝る言葉は見つからなかった

男は布団をかぶり、目を閉じた

眠ることだけが、世界から離れる方法だった

その夜、夢を見た

赤と金の幕が、夜空のように広がる

鈴の音が鳴り、光が弾ける

夢のサーカスだった

テントの中は、息をのむほど鮮やかだ

綱渡りの影が空を歩き、炎をくぐる獣が咆哮する

道化は転び、観客は笑う

失敗も、驚きも、すべてが見世物として受け止められていた

中央に立つのは、背の高い団長だった

燕尾服を翻し、よく通る声で語りかける

「さあ、皆さん」

「ここは夢のサーカス」

「怖いものも、うまくいかない瞬間も、全部まとめて舞台の一部」

「どうぞ肩の力を抜いて、最後まで楽しんでください」

男は、客席にいた

隣を見ると、小さな自分が座っている

幼い手で、目を輝かせながら拍手をしていた

——思い出す

子供の頃、両親に連れられて見たサーカス

ポップコーンの甘い匂い

大きなテントを見上げて、胸が高鳴った夜

「ぼく、大きくなったら、あれやる!」

綱渡りを指差して、そう叫んだ

母は笑い、父は少し困った顔で言った

「落ちたら痛いぞ」

それでも、怖くなかった

できるかどうかなんて、考えなかった

やりたい、という気持ちだけで、世界は十分だった

夢の中で、団長が男に目を向ける

「君も観客だ」

「拍手して、笑って、驚いて」

「サーカスは、完成を求める場所じゃない」

「今この瞬間を、味わう場所だ」

鈴の音が、胸の奥で静かに鳴った

目が覚める

部屋は変わらない

履歴書も、机も、そのままだ

だが、胸の奥に、確かな余韻が残っていた

男は起き上がり、カーテンを開ける

朝の光が、埃をきらめかせる

その光は、テントの中の照明に少し似ていた

居間へ出る

父と母が、驚いたように振り向く

男は、頭を下げた

「……ごめん」

「ひどいこと言った」

母は一瞬目を潤ませ、すぐに微笑んだ

父は、静かにうなずいた

男は自分の部屋に戻り、履歴書を手に取る

白紙のままの一枚に、ゆっくりと書き始めた

「やってみたいこと」

それは、就職の保証にはならない

だが、何もせずに客席に座り続けるより、少しだけ前に進んでいた

外へ出る

空は高く、冷たい風が吹く

どこかで、鈴の音がした気がした

夢のサーカスは、幕を閉じても消えない

楽しんだ記憶は、胸の奥に残る

男は歩き出す

あの頃のときめきを、そっと抱えながら

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