土鍋は、家族を知っている
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
わたしは、土鍋だ
棚の下段に置かれている
すぐ隣には、鉄鍋がいる
彼は、軽くて、丈夫で
火にかければ、すぐに応える
炒め物も、煮物も
普段の食卓では、彼の方が出番が多い
正直に言えば――
少し、悔しい
鉄鍋は、頼りにされている
手早く仕上げたい日
忙しい平日の夜
彼はいつも選ばれる
わたしは、重く
扱いにも気を遣う
急に火を当てれば、割れることもある
だから
棚の奥で待つ時間が長い
だが
冬になると
空気が変わる
北風が吹き
家族の肩が自然とすぼまり
無言の時間が増えはじめるころ
わたしは、呼ばれる
「今日は、鍋にしようか」
その一言で
わたしの役目が始まる
流しで軽く湿らされ
ゆっくりと火にかけられる
土鍋は、急がない
鉄鍋のように
すぐには熱くならない
だが
熱を受け止め
内側にため込む
それが
わたしのやり方だ
この家の冬は
いろいろな寒さを連れてくる
仕事で疲れた父
言葉数が減る母
学校でうまくいかなかった子ども
それぞれが
それぞれの冷えを抱えている
わたしの中に、水が張られる
昆布が沈む
弱火で、じっくり
土鍋は
だしを急がせない
白菜が入る
白い葉が
静かにほどけていく
ねぎ
豆腐
きのこ
特別なものは、ない
だが
毎年、変わらず入るものたちだ
湯気が立つ
匂いが広がる
「……あ、いい匂い」
その声で
家族が集まり始める
火を囲む
わたしを中心に
自然と円ができる
鉄鍋では
こうはならない
鉄鍋は
台所で完結する
だが
わたしは
食卓に出て
そこに居続ける
肉が入る
色が変わり
旨みが溶け出す
沸き立たせすぎない
焦らせない
土鍋の火は
人の会話と同じ速度だ
「今日さ……」
誰かが話し始める
大した話ではない
だが
それでいい
箸が伸び
息を吹き
口に運ぶ
「うまいな」
その言葉は
料理への評価であると同時に
今日を越えられるという確認だ
家族は
同じ鍋から
同じ熱を取る
違う一日を過ごしてきても
この時間だけは
同じ温度になる
わたしは
それを、何度も見てきた
鉄鍋は
速さと強さを持っている
それは
尊敬している
だが
わたしは
時間を抱く
熱を
丸くする
家族が
少しずつ
柔らかくなるまで
夜が更け
具材が減る
最後に
米が入れられる
卵が回される
雑炊
一杯一杯に
今日の出来事が
溶け込んでいる
「やっぱり
鍋の締めはこれだな」
その声を聞くと
胸の奥が
静かに満たされる
食べ終えたあと
家族はそれぞれの部屋へ戻る
だが
さっきまでの冷えは
もう残っていない
洗われ
乾かされ
わたしは棚に戻る
鉄鍋が
小さく音を立てる
――お疲れ
そう言われた気がした
わたしは
古い土鍋だ
だが
冬のあいだ
家族を一つにする役目は
譲れない
次の寒い夜も
きっと呼ばれる
その時まで
静かに
火を待っている
家族の
真ん中で




