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血濡れの女

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

戦場は、もうすぐ雨が降りそうだった

空は低く垂れ、湿った風が吹き抜け、血と鉄の匂いが肌に貼りつく

息を吸うたび、喉の奥に錆が溜まるような感覚がある

だが降るのは、水ではない

「押せえええ!!」

「前へ! 前へだ!」

「斬れ! 生き残りたきゃ斬れえええ!!」

怒号が渦を巻くその外れ

小高い丘の上に、女が立っていた

深く目元を隠す編み笠

雨除けのように傾けられたそれは、血と泥でまだらに染まり

その影が、女の顔立ちを曖昧にしている

だが、笠の下――

覗く唇は、妙に艶めいていた

血か、酒か、あるいはその両方で濡れ

戦場には不似合いなほど赤い

背中には、異様なほど大きな籠

人の背を超えるほどのそれに

刀が――

折れ、欠け、錆び、名を失ったぼろぼろの刀が無数に詰め込まれている

女は片手にどぶろくの徳利を持ち

丘の上から戦場を見下ろしていた

その姿は、戦に臨む者というより

雨を待つ女のようだった

敵兵の一団が、彼女に気づく

「なんだ、あいつ……」

「女だぞ!」

「籠なんか背負いやがって……コソ泥か?」

「戦場で盗みとは、ふざけてるのか!」

「しかし……よく見りゃ、いい女じゃねぇか!」

「終わったら抱いてやるか?」

下卑た笑いが、風に混じる

嘲り

油断

そして、無知

女は、ゆっくりと徳利をあおった

白濁した酒が喉を滑り

口端からこぼれて顎を濡らす

それを、指でなぞるように拭う仕草が

妙に――

色っぽい

「……雨は、いい」

ぽつり、と独り言のように呟く

声は低く、やわらかく、耳に絡みつく

「全部、洗い流してくれる」

「嫌なことも……血の匂いも……」

「忘れさせてくれる」

一拍置いて

女はふっと笑った

「あの人みたいにねぇ」

誰に向けた言葉かは、分からない

だが、その声には

一瞬だけ――

遠い過去を撫でるような響きがあった

女は籠の紐を外し

丘の上に、どさりと下ろす

地面が、重みでわずかに沈む

刀同士が擦れ合い、低く鳴いた

女は、空を一度だけ見上げる

編み笠の下で、目が細められる

そして、腹の底から――

たった一度、叫んだ

「――雨刀流(あまだちりゅう)――一雨(ひとあめ)!!」

一拍

女の唇が、楽しげに歪む

「……さあ、雨よ…降れ!」

次の瞬間

吠えるように叫んだ

驟雨(しゅうう)!!」

女は籠を両手で掴み

一気にひっくり返した

――すべての刀が、宙へ放り出される

選ばない

ためらわない

愛着など、欠片もない

数十本

いや、百に近い

刃は絡まり、ぶつかり、ほどけ

空を裂きながら回転する

まるで――

空そのものが、刃になったかのように

ズドン

ガン

ギャリッ

地面に突き立ち

転がり

弾ける

そして――

「ぐああああ!!」

何本かの刀が、敵兵の体に突き刺さった

肩に

腹に

腿に

男は、その場に縫い止められたように倒れ

血を吐き、呻く

女は、丘を下った

雨の中を歩くように

血と泥を踏みしめながら

腰の揺れは、戦場には不似合いなほど滑らかで

それが逆に、見る者の本能を凍らせた

倒れた男の前に立ち

胸に刺さった刀の柄を、静かに握る

指先は、驚くほど優しい

「……だめじゃないか」

女は、穏やかな声で言った

「ちゃんと……傘を差さないと」

ズブリ

刀を引き抜く

血が噴き、雨のように散る

――その瞬間だった

「このアマァ!!」

「女の分際でぇ!!」

「殺せ! 囲め!!」

「ぶっ殺してやる!!」

「八つ裂きにしろ!!」

敵兵たちが、一斉に吠えた

恐怖と怒りが入り混じった

獣の声

女は、その罵声を浴びながら

くすりと笑った

「……うるさい」

その手にある刀を振るう

斬る

折れる

捨てる

足元の刀を拾い

次の敵へ

女は笑っていた

それは媚びではない

恐怖でもない

愉悦だった

「刀も、いい」

甘く囁く

「場所を選ばない」

「誰のものでもない」

「……切れれば、それでいい」

折れた刃で斬り

欠けた刃で突き

使えなくなれば、迷いなく捨てる

「愛着なんて、いらないの」

女は言う

「情を持てば……鈍る」

「刀も、人も……同じ」

拾っては斬り

斬っては捨てる

それは技ではない

血の雨の中で、妖しく舞っているだけ

悲鳴が潰れ

叫びが消え

地面は赤く濡れていく

やがて――

生き残った敵兵が一人、後ずさった

編み笠

血に濡れたそれ

地面に散らばる無数の刀

空になった、大きな籠

その光景を見た瞬間

男の脳裏に、噂が蘇る

――血濡れの傘

――大きな籠

――刀を雨のように降らせ

 その中で、妖しく、狂ったように斬る女

「……血濡れの……女……」

女は、聞こえたかのように立ち止まる

笠の影から、細い目が男を捉えた

その視線は、雨のように冷たく

どこか優しい

「雨は……止んだよ」

次の瞬間

男の視界は、赤に染まった

戦場には

無数の刀と

無数の死体

女は、深く息を吐く

それから――

ゆっくりと、回収を始めた

地面に突き立つ刀へ歩み寄り

一本、引き抜く

刃を確かめ

折れを撫で

籠へ戻す

その手つきは

恋人の髪を梳くようでいて

同時に、ひどく無情だった

「……よく降った」

誰にともなく呟きながら

雨を拾い集めるように

女は黙々と刀を回収していく

一本

また一本

刀に名は問わない

思い出も、誇りも、どうでもいい

切れるか

それだけ

最後の一本を籠に収め

女はそれを背負い直した

血濡れの笠を被り

静かに歩き出す

次に雨を降らせる場所へ

人は彼女をこう呼ぶ

血濡れの女

血と刃の雨を降らせ

情を残さず

それでもどこか――

妖しく、忘れられない女として


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― 新着の感想 ―
王の財宝かと思いきや、無限の剣製使いの 「なんでさ〜」な苦労人が今度は女体化?! ある筋では根強い人気があるジャンルですよね (また、空振りだったらめっちゃ恥ずかしい)
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