名を変えても、甘いまま
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
ぼくは、甘い葡萄酒だ
舌にのせれば、砂糖の影がほどけ、香りが少しだけ背伸びをする
生まれは、明治の終わり
日本人の口に合うように、異国の葡萄酒に手を入れ
試し、直し、また試して――ついに「赤い玉の名」を掲げて世に出た
当時のぼくは、ただの“おいしい酒”ではなかった
「滋養になる」「薬用だ」
――そんな看板まで背負わされ
新聞の文字の隙間から世の中に入り込んでいった
宣伝は派手だった。法被の若者が角行燈を提げて歩き
赤い玉の簪が街に散った
酒が売れるというより、“時代が動く音”が売れていた
そして、ぼくの人生で”いちばん眩しい”季節が来る
ぼくを売り込むために楽劇団がつくられ
舞台のプリマドンナが、あの伝説のポスターになった
街角に貼られた瞬間、男たちは咳払いし
女たちは眉を上げ、誰もが「見ちゃいけない」と言いながら見た
ぼくは甘いだけの酒だったのに、いつの間にか
人の視線や欲望の“発電機”みたいな役まで担わされていた
飛ぶように売れ、工場は増産し
ぼくは会社にとって最初の大当たりになった、と記録されるほどだった
ぼくは誇らしかった
だって、誰かの夜更けを、ほんの少しだけ軽くできたのだから
けれど時代は、甘さを同じままにはしてくれない
震災があり、戦争があり、工場は焼け、場所を替えながら生き延びた
ぼくの瓶が割れれば、甘い匂いだけが床に残る
それでも次の年には、また誰かの手に注がれた
酒は、国の気分に振り回される
けれど、飲む人の寂しさには、いつも正直だ
やがて時代が落ち着き、ぼくは姉妹を増やしていく
広告に映画にと、相変わらず賑やかだった
海外映画の中で、洒落た男に飲まれたこともある
しかし、名前の看板だけは――時代と折り合いをつける必要が出た
“ポート”という言葉が本来の意味を持つこと
国際的な取り決めがあること…そういう話に押されて
ぼくは今の”スイート”という名前へと改められた
名前が変わるのは、少しさみしい
でも、変わらないために変わる、ということもある
それから長い時間が流れた
派手な酒が好まれ、すっきりしたさわやかなな酒が求められ
ただの甘いだけの飲み物は時に「古い」と言われた
ぼくは棚の奥へ下がり、誰かの記憶の中へ沈んだ
――ところが、ある年
ぼくは誕生の節目を祝われた
大きなキャンペーンで呼び戻され、限定品まで作られた
懐かしい、と言う人
初めて見た、と笑う人
世代が違っても、甘さは“思い出の入口”になれるのだと、その時知った
いまのぼくは、相変わらず甘い
格好つけもしないし、時代の最先端でもない
でも――こだわって作られた甘さは、ただの過去じゃない
急がない甘さ
忘れない香り
「流行」ではなく「癖」として、ひとの中に残る味
こだわるというのは、頑固になることじゃない
何度でも名前を直し、居場所を替え
それでも“この甘さだけは守る”と決めることだ
その先に、見えてくるものがある
未来のどこかで、また誰かがふと瓶を見つける
「こんなの、あったな」でもいい
「今の気分、これだ」なら、もっといい
ぼくは今日も、静かに待っている
甘さの奥で、次の時代の喉が渇くのを




