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カチ、と閉まる音

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

仕事納めの日は、毎年ちょっとだけ変な日だ

朝のオフィスは、いつもより音が少ない

キーボードの連打も、電話のベルも、どこか遠慮がちで、空気が薄い

人の声も、笑い声も、「今年も終わるね」という言葉に吸われて、ふわっと軽くなる

部長は朝礼で、ひとことだけ言った

「……今日は仕事納めだ。事故なく、ケガなく、終わろう」

それだけで、みんながうなずいた

たぶん、いちばん大事な言葉だったからだ

机の上は、まだ散らかっている

付箋は黄色く、書類は角がすり減っている

終わったはずの案件のフォルダが、なぜか終わっていない顔をして

モニターの端に残っている

それでも、今日は「納める日」だ

彼は、最後のメールを打つ

来年でいい内容を、今年のうちに送っておきたくて

気持ちだけでも、棚にしまっておきたくて

「本年もお世話になりました」

そう書いて、送信する

送った瞬間、胸の奥で小さく音がした

カチ、と、何かが閉まる音だ

終わったからじゃない

終わらせたからだ

昼前になると、みんなが少しずつ片づけを始める

シュレッダーに紙が吸い込まれていく音が、妙に心地いい

年末のゴミ袋は、重い

一年分の言い訳や焦りが、紙になって溜まっていたみたいに

「これ、捨てていいですか?」

新人が段ボールを抱えて聞いてくる

彼は一瞬迷う

捨てていいか、じゃない

本当は、捨てたくないんだ

あの時の必死さも、悔しさも、深夜に見た蛍光灯の白さも

でも、口に出るのは違う言葉だった

「いいよ。捨てよう。来年また作ればいい」

新人は、ほっとした顔でうなずく

その顔を見ると、彼の胸の奥が少しだけあたたかくなる

夕方

窓の外は、早くも暗い

ビルの谷間に沈む光が、仕事納めの匂いをしている

帰る人のコートの擦れる音、エレベーターの到着を告げるチャイム、

誰かの「良いお年を」

「お先に失礼します!」

一人、また一人、席を立つ

彼も立ち上がる

椅子が軽く鳴って、机が少し震える

そういう小さな音が、今日は全部、儀式みたいに聞こえる

最後に、消灯のスイッチの前で、少しだけためらう

暗くすると、一年が本当に終わってしまう気がするからだ

でも、彼は押す

パチ、と、蛍光灯が消える

オフィスは暗くなり

同時に、肩の荷が少しだけ下りた

外に出ると、空気が冷たい

頬が痛くて、それが逆に「生きてる」感じをくれる

駅へ向かう人の流れの中、彼はポケットの中で手を握り、ほどく

今年は、うまくいったことも、うまくいかなかったこともある

言えなかった言葉も、言いすぎた言葉もある

ただ、それでも

今日まで来た

今日で一度、納めた

背中から、ふっと息が抜ける

ビルの上の方に、点々と明かりが残っていた

まだ働いている誰かがいる

終われない仕事も、終わらない事情も、確かにある

彼は、足を止めずに、その明かりを見上げる

「……おつかれさま」

誰にともなく、そう言った

仕事納めは、祝日じゃない

奇跡の日でもない

でも、たぶん――

「よくやった」と自分に言っていい日だ

今年を納めて

また、来年を始めるための日だ


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― 新着の感想 ―
仕事納めをうまく表現されてますねえ。 忘れがちですが、自分で自分を褒めてあげなくては、 自分が拗ねちゃいますもんね。 (あ、私はストゼ◯ではなく、熱燗でお願いします)
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