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大きくなった部屋、狭くなった空

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

はじめは、本当に小さな会社だった。

古いビルの一室

机は中古、椅子は足りず

コーヒーを置く場所すら決まっていなかった


それでも、そこには熱があった


「これ、面白いよな」

「世の中に、まだないよな」


売れるかどうかは二の次

自分たちが欲しいものを、自分たちが納得できる形で作る

それがすべてだった


失敗は山ほどした

赤字も続いた

でも、やめなかった

”楽しかった”からだ


ある日、その商品がヒットした

理由はよく分からない

誰かが紹介し、誰かが広め、気づけば注文が止まらなくなった


人を雇い、場所を広げ、会社は大きくなっていった

古いビルを出て、明るいオフィスに移った

会議室ができ、設備が増え、できることも増えた

外注もたくさん使える、機材も新しい、取引先も増える


周囲は言う


「いい会社ですね」

「面白いことをやっていますね」

「夢がありますね」

「勢いがありますね」


最初は、少し照れくさかった

だが、それが“期待”だと分かってきた頃から、空気が変わった


会議が増えた。書類が増えた。決裁が増えた

「やってみよう」が、「通るか?」に変わる


「それは売れるのか」

「前例はあるのか」

「数字で説明できるか」

「炎上リスクは?」

「供給は安定する?」

「ブランドを毀損しない?」


小さかった頃は、世界が広かった

選択肢が無限にあるように感じていた

だが会社が大きくなるにつれて

見える世界が逆に狭くなっていった


やりたいことが増えるのではない

“やらなければならないこと”が増える


注文がある

ユーザーがいる

取引先が待っている

社員の生活がかかっている

株主や金融機関が見ている

社会が「当然できるだろ」と思っている


つまり――止まれない


売れた商品は、会社の“顔”になった

顔になった瞬間、自由な玩具ではなく

生活必需品のような扱いになる


「次も同じものを」

「もっと安定して」

「もっと早く」

「もっと大量に」

「絶対に欠品しないで」


気づけば、会社は“楽しくモノを作る場所”ではなく

“売れるものを安定して供給する装置”になっていった


仲間も変わった

幹部になった者は言う


「冒険はあとでいい」

「まず守ろう」

「今の柱を折るな」


それは冷たさじゃない

責任だ、背負っているものの重さだ


そして、去っていく仲間もいた


「ここ、もう俺の好きな場所じゃない」

そう言って、静かに辞めた


残った者も、変わっていく

変わらないと回らないからだ


夜遅いオフィス、明るい照明、きれいな床、整った設備

小さな頃に憧れた“成功の景色”が広がっている


なのに、胸の奥が妙に寒い


倉庫の片隅に、最初の試作品が残っている

不格好で、効率も悪く、いまの基準なら一発で却下されるもの

それを眺めて思う


あの頃の自由は、もうない

「作りたいから作る」は、もう通らない


代わりにあるのは、義務のような制作だ

今日も明日も、作り続ける

止まれば全部が倒れるから

止まれないから


やがて会社は、世間から「大企業」と呼ばれるようになった

誇らしいはずの言葉が、ときどき重い

大企業は、何でもできると思われる

大企業は、失敗しないと思われる

大企業は、いつでも用意できると思われる


その“思われる”を裏切れない


大きくなるということは、翼が生えることじゃない

鎖が増えることだ


やりたいことが好きにできるようになるんじゃない

むしろ、視野が狭まり、選択肢が削られ

“同じものを、正確に、間違えずに、途切れずに作り続ける”ことが仕事になる


世の中はそれを「安定」と呼ぶ

だが、その安定の中で、作り手は時々、息が詰まる


それでも会社は今日も商品を作り続ける

夢のためじゃない

楽しさのためでもない

期待を守るために、生活を守るために、信頼を守るために


そして、ときどき思うのだ


小さな部屋で、机の上のガラクタを見ながら

「これ、面白いよな」と笑っていた自分たちは

いったい、どこへ行ったのだろう、と

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