海へ帰る兵士
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
「――地球侵攻作戦は、すでに失敗している」
司令部の会議室に、温度のない声が響いた
壁一面のスクリーンには、赤く塗りつぶされた戦線図
点滅するマーカーは、敗北の履歴そのものだった
「よって作戦段階を変更する」
「我々宇宙移民軍は、主戦場を地上から”宇宙”へ戻す!」
誰も反論しない
反論する理由も、力も残っていなかった
「当然だが、地上人たちも宇宙へ進出してくる…
彼らは、戦艦を地表から直接宇宙へ射出している」
「発射中、数分のみ完全な無防備状態となる」
「その瞬間を叩く」
画面が切り替わる
映し出されたのは、丸みを帯びた鈍重な機動兵器
「水中型機動兵器を改修し、降下・迎撃に使用する」
ざわめき
無茶だ
誰の目にも明らかだった
だが司令官は、淡々と続けた
「地上兵器は、もう役に立たない」
「……なあに、宇宙も海と、そう変わらん
暗く、冷たく、押し潰される場所だ」
それが、結論だった。
――これは、
水の戦場しか知らなかった、
あるパイロットの話
~宇宙機動上のある母艦~
オレの乗機は、水中人型機動兵器「ゼーラ」
分厚い装甲、丸みを帯びたシルエット
空も宇宙も苦手だが、海の中では別物だった
水圧、潮流、音
すべてが、味方になる
「海なら負けねぇ」
それが、オレの誇りだった
オレは海兵だ
海兵は、いつも最前線に立たされる
敵の姿が見えなくても
撤退命令が出ていても
最後まで残るのは、だいたい海兵だ
暗く、重く、逃げ場のない場所
そこに押し込まれて
それでも前へ出る
そうやって、生き残ってきた
だがな、宇宙も同じだ
真っ暗で、冷たく、音がねぇ
押し潰される感覚は、驚くほど似てやがる
海と宇宙は、同じ色をしている
しかし、現実は冷酷だった
「ゼーラ」は、整備デッキで別物になっていた
腕は外されていた
それだけで、十分だった
かつて海を切り裂いた脚部推進器は、跡形もない
代わりに胴体腹部へ無理やり埋め込まれたのは
本来、宇宙艦用の拡散ビーム兵器
配線は露出し
姿勢制御は最低限
「……これが「ゼーラ改」かよ」
整備兵は、目を逸らした
「命令だよ…
“地上兵器は、もう役に立たない”ってさ」
その一言が、胸に刺さった
過去も、誇りも
まとめて切り捨てられた気分だった
だが――
どれだけ手足をもがれようが
どれだけ無理な武装を積まれようが
前に出るのが海兵だ
こいつは、オレの「ゼーラ」だ
「生き残るための形、ってやつか」
コクピットで、オレは笑った
「無茶しやがる」
母艦が投下姿勢を取る
艦内が低く唸り
重力が狂い始める
その時だ
通信士が叫んだ
「地上部隊より入電!」
送られた電文を読む
――「モグラが顔を出す」
オレは、息を吐いた
「……始まるな」
地上の連中が潜伏して待っていた“獲物”
発射準備に入った敵戦艦の合図だ
だが、その直後――
警報が、艦内を引き裂いた
「敵襲!」
映像が切り替わる
球体に近い、無骨な機体
頭部に大砲を載せただけの量産兵器
推進剤を吹かし、無数に迫ってくる
「ボール型兵器、接近中!」
その背後から
地上軍の巡洋艦が姿を現した
主砲が光る
「右舷被弾!」
艦が揺れる
降下姿勢のまま、逃げ場はねぇ
「……作戦を中止する!退避行動を!」
艦長の声
正しい判断だ
だが、オレは通信を開いて怒鳴った
「待ってくれ!」
喉が裂けるほど叫ぶ
「投下を続行してくれ!頼む…
どんな降下でも構わねぇ!
オレは行く!
海が俺を呼んでいるんだ!!」
一瞬の沈黙
「……覚悟はあるか」
艦長の声は低く、だが揺れていなかった
オレは、迷わず答えた
「覚悟か…
違うな……オレは海兵だ」
一拍、息を吐く
「帰るだけだ
懐かしい海(戦場)へ、いつもそうしてきた」
艦橋が静まり返る
「……フッ」
艦長が、短く笑った
「帰る場所、か……なるほどな……投下姿勢!!」
副長が声を荒げる
「艦長! 本気ですか!?
本艦が危険にさらされています!
このままでは――」
艦長は、遮るように言った。
「誰が好き好んで!
こんな無謀だと分かっている任務に就く…」
一瞬、言葉を切る
「……それにだ」
艦長の声が、ほんの少しだけ柔らぐ
「”帰る場所”がある者を、帰らせない理由があるか?」
沈黙
そして、決断
「――投下姿勢、維持!」
「艦長!!」
「退避行動は中止だ…あいつを海(戦場)へ送り返す…降下姿勢!」
オレは、短く通信を入れた
「……恩に着るぜ、艦長」
「ゼーラ改」は母艦から投下された
その瞬間
敵の巡洋艦の砲撃が母艦へ直撃した
光に包まれ
母艦が裂ける
その中で艦長が生きて帰れよと言っているような気がした
「…艦長…すまん…あんたの分まで…」
通信は、そこで途切れた
「ゼーラ改」は
闇から、切り離される
機体が落ちる
推進でも制御でもない
ただ、重力に引きずり込まれていく
星々が背後へ流れ、
前方に、淡い青が滲む。
境界線のような、薄い光
宇宙と世界の、あいだ
無音のまま
ゼーラ改はその膜へ身を投げる
重力が、静かに牙を剥く
大気圏突入
装甲が焼け
機体が悲鳴を上げる
警報が跳ね上がる
姿勢制御、応答遅延
外殻温度、限界値へ
空気の壁に叩かれ
機体が横に振られる
視界が炎に滲み
操縦桿が一瞬、空を切った
「……冗談だろ」
拡散ビームのコンテナカバーが外れない
「チッ……!」
右アームで無理やり引き剥がし
その瞬間――
予定軌道を、通過
オレは即座に操縦桿を引き
補助スラスターを叩き込む
落下の流れをねじ伏せ
機体を反転させる
視界が天地を入れ替え
燃える大気の向こうに、戦場が開けた
高度が削れる
地面が迫る
敵艦隊は五隻
ゼーラ改は
敵艦隊の横すれすれを通り抜ける
発射予定地点に到達する
だが、
オレはまだ、引き金を引かねぇ
「……海でも宇宙でも同じだ…”獲物”が全部…狙える位置まで」
地上まで残り五十秒
”獲物”がすべて射程圏内へ映った
「いまだ!!」
トリガーを引いた瞬間
世界が白に染まった
拡散ビームが解き放たれる
六本の光の柱が
空と地表の境界を引き裂きながら走る
敵艦の装甲が
まるで紙細工みたいに剥がれ
内部から火花と炎が噴き出す
一隻――爆散
二隻――艦橋ごと蒸発
三隻目は、悲鳴を上げる暇もなく縦に裂けた
残る艦も、逃げ切れねぇ
光に呑まれ
火球となって空に溶けていく
破片が、雨のように降った
敵艦隊――完全沈黙
「……やった」
喉が、かすれる
「大量だ……」
その直後
腹部の拡散ビーム兵器が警告音を上げた
――切り離し
役目を終えた塊が落下し
地上基地の一部を巻き込み
轟音と共に爆ぜる
衝撃波が、ゼーラ改を揺らした
オレは、必死に姿勢を立て直し
索敵をかける
「……友軍、どこだ」
その時だ
味方識別信号
画面の端に、小さな光
「……いた」
思わず、息が漏れた
「……よし…これで――」
次の瞬間
黒い影が、割り込んだ
敵戦闘機
光が走り
友軍機の胴体が真っ二つに裂ける
爆炎
通信が――消える
そして
「ガハッ……クソッ!!」
怒鳴る間もなかった
警報
被弾
操縦桿が、言うことをきかなかった
ゼーラ改は
ゆっくりと、だが確実に落ちていく
視界いっぱいに、海
暗く、深く
どこまでも広がる色
「……ああ」
オレは、笑った
「やっぱりな」
着水
衝撃は静かだった
水が、機体を包み込む
圧力
重さ
懐かしい感覚
「……帰ってきた」
ゼーラ改は
海へ沈んでいった
海兵らしい最期だった
戦史には、こう記されるだろう
「水中型機動兵器による、異例の迎撃成功例」
だが、この戦法は
この一度きりでは終わらなかった
宇宙から降り
撃ち
沈む
その迎撃は、形を変えながら
終戦まで続いていった
名を残す者は、ほとんどいない
記録に残るのは、戦果だけだ
それでいい
オレたちは海の男だ
海と宇宙は、同じだ
暗くて、冷たくて
最前線に立たされる
生き残ったヤツだけが
次の一秒を見る
だが、帰る場所は皆…同じ
海兵とは
そういうものだ




