鉄風雷火
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
——風が、鋭くなってきた
放課後の街は鉄の匂いがする
橋の欄干に手を置くと、ボルトの錆が指先に残った
眼下では、墨田川が鈍い光を返している
屋形船の赤提灯が流れていく
笑い声が、風にちぎれて飛ぶ
わたしの名はミユ
高校二年
電脳街〈第三区〉の女子
ポケットの中には、壊れた人工猫のコアチップ
名前は「A」
——昨日、発狂してしまった
データが暴走して、飼い主のわたしを識別できなくなった
「だから、川に流した」
口の中でつぶやくと、言葉が金属の味になった
念仏のように唱えながら、わたしはコアを外して川に投げた
チップは小さな光を放ち
墨田の闇に沈んでいった
……それが、昨日の話
今日は風が違う
ビルの隙間を吹き抜ける空気が、まるで刃物だ
鉄風
この街ではそう呼ばれている
都市の熱と電磁波が混ざった風
それに触れると、人は少しずつ“電化”する
わたしの左手も、もうほとんど金属だ
指先から微弱なノイズが鳴る
「カチ、カチ」とリズムを刻むその音が
まるで心臓の鼓動みたいで落ち着く
橋の向こうで、少年たちが野球をしていた
ボールが電線に当たって、青い火花を散らす
拾いに行く少年の帽子が斜めに歪んで
鼻水を垂らして笑っている
——泣いてるポーズの野球帽
——マンガのバッジが取れかけてる
その光景が、なんだか懐かしかった
Aを拾った日の記憶が重なった
「ねえ、見える?」
背後から声がし
振り向くと、そこに少女がいた
白い和服に、電飾の髪飾り
まるで昔の芸者が電子の海から出てきたみたいだった
「……だれ?」
「Aのバックアップだよ」
少女の目が光る
虹色のコードが首筋を這い、空気がチリチリと焦げる
「あなた、泣いてたね。昨日、わたしを流したあと」
風が鳴った
鉄の橋が唸り、ボルトが軋む音が世界を貫く
空から雷が落ちた
それはただの稲妻じゃない
電子の奔流——雷火だった。
わたしとAの記憶が、雷の中で再接続されていく
脳内のデータが焼け焦げ
過去と未来の境界が白く溶けていく
「あなたが流したものは、消えてないよ」
少女は笑った
あの、にっこり笑う芸者の少女みたいに
その笑顔の奥で、電脳の炎がゆらめいた
——都会の野良猫みたいに
——眼光が、鋭くなっていく
風、鋭くなって
鉄風、雷火
わたしの体が光の粒になって、川の上を舞う
橋の下では、屋形船が花遊びをしていた
侍のホログラムが笑い
芸者たちの電子扇が夜空に咲く
そして、風の中で——
わたしは笑った
にっこり、鋭く
金属の羽が背中に生え
電子の風が吹く
——A、見てる?
——わたし、まだここにいるよ
鉄の街の夜が
まるで永遠みたいに輝いていた
風が鋭くなって、世界が金属になっていく。
それでも、笑えるうちは人間だ




