屋上のガンバレ
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
昼下がりのビル風は少し冷たくて、
都会のざわめきも、遠くの工事音も、
全部まとめて白い空へ吸い込まれていくようだった。
サラリーマンの坂井俊は、
会社の屋上で缶コーヒーを片手に座り込んでいた。
シャツの襟は少しよれていて、
ネクタイは仕事の重さで微妙に曲がっている。
毎日、笑顔だ。
客先では頭を下げ、上司の嫌味には「すみません」で返す。
部下のフォロー、客先のクレーム、急な残業――
気をつかって、気を配って、気を削って…
それでも帰りの電車では、
「あの人、気がきかないよね」
そんな陰口が耳に残って離れなかった。
「……俺、何やってんだろ」
ぽつりとこぼれた声は風にかき消えた。
煙草に火をつける。
あったかい煙が喉に落ちて、ようやく息ができる気がした。
缶コーヒーをひと口。
ほろ苦さが舌の奥でじんわり広がる。
そのタイミングだった。
どこからか、
かすかな歌声が聞こえてきた。
最初は誰かが鼻歌でも歌っているのかと思った。
だが、風に乗って運ばれてくるそのメロディーは、
なぜだか胸の奥にすっと入り込んできた。
“僕はいつでも 歌を歌う時は
マイクロフォンの中から
ガンバレって言っている”
俊は煙を吐くのを忘れた。
歌は続く。
“聞こえてほしい あなたにも
ガンバレ”
胸の奥で、何かがほどけた。
誰も言ってくれない言葉だった。
誰も言わないし、自分でも言わなかった言葉
“ガンバレ”
俊は、思わず笑ってしまった。
「……そうだよな。俺、がんばってるよな」
今まで否定されてばかりの自分の肩を、
歌がそっと撫でてくれているようだった。
“人は誰でも くじけそうになるもの
ああ 僕だって今だって”
歌声は優しかった。
だけど、その奥には確かな炎があった。
「くじけそうなのは、俺だけじゃないんだな」
俊は空を見上げた。
薄い雲の向こうで、太陽がぼんやり光っている。
さっきまで重たく見えていた空が、
少しだけ軽くなった気がした。
煙草を灰皿に押しつける。
缶コーヒーを飲み干して立ち上がる。
午後の仕事が待っている。
嫌味な上司も、マイペースな客も。
でも今なら少しだけ、胸を張って言える気がした。
「よし、行くか。……がんばるか」
そう呟いた俊の背中は、来たときよりわずかにまっすぐだった。
エレベーターの扉が閉まる直前、
屋上に流れる歌のシメが、最後に彼の耳に届いた。
“ガンバレって言ってやる
聞こえるかい
ガンバレ”
俊は微笑んだ。
「聞こえたよ」
エレベーターが動き出す。
午後のオフィスが開くその瞬間、
俊の足取りは、少しだけ軽かった。




