郵便配達と一日遅れの手紙
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
その町の郵便は、いつも一日遅れて届く
決して怠けているわけではない。坂道と古い家々が入り組んだこの町では
郵便配達員のシゲルが一軒一軒、手で届けるのが昔からの決まりだったのだ
シゲルは四十代半ば、やや猫背で、いつもつばの広い帽子をかぶっている
愛用の自転車は、車体にサビが浮き、ベルの音もどこかラグタイムのようにズレて鳴る
「チリン……チリンチリン……」
坂を上るたびに、その音は軽快に、そして少し頼りなく響いた
郵便局の新米たちは「なんでバイクに乗らないんですか?」と不思議がる
シゲルは笑って答える
「急いで届けるより、一日遅れの手紙には……特別な魔法があるんだよ」
その日、最初の配達先は、丘の上の小さな家だった
差出人は、遠くの町に引っ越した女性。宛先は──彼女の元恋人
封筒の端は少しよれていて、切手の上に青いインクで「届いてほしい」とだけ書かれている
シゲルはその文字を見て、そっと笑った
「間に合わないほうが、いい言葉ってあるんだ」
彼が手紙をポストに入れた瞬間、家の中から青年が飛び出してきた
「……あの手紙、今日届いたのか?」
シゲルはうなずいた
青年は黙って封を切り、便箋に目を落とす
その瞳に一瞬、過ぎた季節のきらめきが宿った
次の配達先は、川沿いの古い平屋
宛名はすでに亡くなった老婦人。差出人は、その孫だった
「もう、届かなくてもいいんです」
数日前、孫娘はそう言いながら投函したという
けれど、シゲルは配達をやめなかった
彼は家の前に立ち、郵便受けに手紙を滑り込ませると、軒下の風鈴が揺れて軽やかな音を鳴らした
まるで、「ちゃんと届いたよ」と誰かが答えたかのように
郵便を届けた翌日、その孫娘が訪れ、ポストを開けて手紙を見つけた
「……届いてる」
彼女の目に涙がにじんだ
それは、時間を越えて、心に届いた手紙だった
昼を過ぎた頃、シゲルは商店街の喧騒を抜け、坂道を下る
古びたラジオからは、軽快なラグタイムのピアノが流れていた
まるで、ズレた針が楽しく踊るような旋律
「今日もズレてんなあ」
彼は鼻歌交じりに自転車をこぎ、ゆっくりと配達を続けた
その日の最後の手紙は──自分宛てだった
差出人は、もう何年も前に亡くなった妻
手紙の宛名は、彼が郵便局に勤め始めた頃の古い住所
倉庫を整理していた同僚が偶然見つけ、差し出し人不明として回ってきたのだ
震える指で封を開ける
便箋には、懐かしい字が並んでいた。
《シゲルへ あなたがこの手紙を読む頃、私はもういないかもしれません
だけど、あなたの配達する手紙には、きっとたくさんの“遅れた想い”が乗るはずです
だから、急がないで。ゆっくり届けてあげてください。》
彼は空を見上げた。秋の風がやさしく頬を撫でる
その風の中に、妻の笑い声が混じっているような気がした
夕暮れ。郵便局に戻ると、新人たちが慌ただしくバイクで翌日の郵便を仕分けていた
シゲルは自転車を壁に立てかけ、帽子を脱ぎ、静かに言った
「なぁ、急いで届けるだけが郵便じゃないんだ」
「え?」
「一日遅れて届く手紙は、言葉の余白まで届けるんだよ」
彼の言葉の意味は、すぐには理解されなかった
けれど、窓の外に浮かぶ夕陽が、どこか優しく、ゆっくりと時を刻んでいるように見えた
ラグタイムのように、少しズレたリズムが人々の心を揺らす
シゲルの配達する手紙は、これからも“ちょうどいい遅れ”で届き続けるのだろう
──それは、時間の流れが早くなりすぎた現代に残る、最後の「手紙の魔法」だった




