止まらない時計屋
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
商店街のはずれに、ひっそりと佇む一軒の時計屋がある
色あせた青い看板には、金色の文字でこう書かれている
──「時を直します」
ガラス戸を開けると、チリン……と小さな鈴が鳴る
店内には古時計の振り子が並び、まるでラグタイムのピアノのように
それぞれが少しずつ“ずれた”テンポでカチコチと音を立てていた
リズムは揃っていない。だが不思議なことに
そのズレが心地よい音の重なりを生み
店全体が優しい音楽に包まれているようだった
この店の主人は、白い髭をたくわえた老人だった
丸い眼鏡越しに時計の歯車を覗き込み、器用な手つきで一つ一つを丁寧に磨いていく
だが、老人が修理した時計は、どれもほんのわずかに時間が“ずれて”しまう
1分遅れるもの、10秒進むもの、夜になると針が止まりそうになるもの──
「まったく、どうなってるんだ!」
ある日、スーツ姿の男性が怒鳴り込んできた
「この時計、昨日直してもらったばかりなのに、5分遅れてたんだ!」
老人は驚くでもなく、ふふ、と柔らかく笑った
「そうかい…それで、何か困ったことはあったかね?」
「……いや、それは……」
男性は言い淀んだ
実は、その5分の遅れのおかげで
いつもはすれ違う女性と同じ電車に乗り合わせ、勇気を出して声をかけたのだった
別の日、若い女性が店を訪れた
「あなたの時計、直したあと5秒早くなるのよ…それで遅刻しちゃって!」
ぷんぷんと怒っているが、顔はどこか赤らんでいる
「でもね……そのおかげで、会社の前で車の事故があったとき、
私はちょうど角を曲がったあとだったの…助かったのよ」
そう言って、女性は照れくさそうに笑った
また別の日には、学生がボロボロの目覚まし時計を抱えてやってきた
老人が直したそれは、夜中になると必ず“ラグタイムのように”テンポがずれ
1分だけ遅れて鳴るようになった
その1分の間に、隣の部屋から聞こえるピアノの音に耳を傾ける時間ができた
そしていつの間にか、学生とピアノを弾く隣人は仲良くなり
二人は一緒に駅へ向かうようになったという
人々は最初、時計のズレを「欠陥」だと思っていた
だが、気づけばそのズレが、小さな幸せの“きっかけ”を生み出しているのだった
老人は客たちの話を聞くたびに、静かに微笑む
「正確な時を刻むだけなら、機械でいい
けれどな……人の人生ってのは、少しのズレで変わるもんなんだよ」
カチ、カチ、カチ……
店の中の時計たちは、相変わらず微妙にズレた拍を刻み続けている
でもそれは、どこか心を落ち着かせるラグタイムのリズムのようでもあった
ある秋の日の夕暮れ、店の前を歩いていたカップルが立ち止まった
「この店、覚えてる? あなたの時計、ここで直したんだよね」
「ああ……あの日、5分遅れてなかったら、きっと出会ってなかった」
二人は顔を見合わせて笑い、手をつないで歩き出した
老人は店の奥からそっとその姿を見送り、小さくつぶやいた
「時間ってのは、正確じゃなくていい。大切なのは、幸せを刻むことさ」
夜の帳が降りると、店内のすべての時計が、一斉に鳴り出した
バラバラなはずの音が、不思議と一つの旋律を奏でる
それはまるで、時の“ズレ”が織りなすラグタイムのようだった
──止まらない時計屋のズレは、誰かの人生をそっと動かす拍子だった




