煙草の香り
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
昭和三十年代の夕暮れ
繁華街の裏路地に、小さな喫茶店があった
表通りの賑わいから一歩外れると、店のガラス戸越しに赤いネオンサインが瞬き、
中からはコーヒーの香りと煙草の煙が漂っていた。
扉を押し開けたのは、初老の男
サラリーマンを退いた今、時折こうして古い店を訪れるのが習慣となっていた。
カウンターには、昭和のまま時間が止まったような風景
木製の椅子、壁に掛かったモノクロ写真、そして天井にたなびく紫煙――
その香りに触れるたび、男は胸の奥深くに仕舞い込んだ記憶を引き寄せられるのだった。
思い出すのは、まだ二十歳そこそこの自分
この店の角の席で、彼女と何度も顔を合わせた。
彼女はタイピストとして働いていた。
仕事帰りに立ち寄り、ナポリタンを注文しては煙草を一本ふかす
その仕草はどこか大人びていて、若かった彼には眩しく映った
「コーヒーは苦いから、煙草と一緒じゃないと飲めないの」
彼女はそう言って、白い息をふっと吐いた
煙はゆるやかに広がり、蛍光灯の下で淡い青い影をつくった
それを見るだけで、彼の心は高鳴った
二人で聴いた音楽は、店のスピーカーから流れるジャズだった
マイルス・デイヴィス演奏の「煙が目にしみる」――
彼女は鼻歌でそれをなぞり、彼はただ耳を澄ませた。
言葉は多くなくても、音楽と煙の中で心は重なった
だが、昭和の時代は移ろいやすく、恋もまた流れに呑まれた
高度成長期の波に押され、彼は転勤で東京を離れた
戻ったときには、彼女はもうそこにはいなかった
置き去りにされたのは、灰皿の底にこびりついた焦げ跡と、
「また逢えるよ」という言葉だけ
老いた男は、今、同じ席に座り、コーヒーを口にした
味は変わってしまった…
だが煙草の香りだけは、あの頃と同じ強さで胸を締め付ける。
「君の声は、まだここにある」
心の中でつぶやくと、煙の中に彼女の横顔が浮かんだ。
白い指先で灰を落とし、少し大人びた笑みを浮かべる姿――
店内のスピーカーから古いレコードが回り始めた
音はかすれているが、旋律は確かにあの夜と同じだ
男は静かに目を閉じた。
煙草の香りは過去を呼び寄せ、忘れかけた初恋をそっと胸に灯してくれる
あの昭和の夜は遠くなった…
それでも、この小さな店の片隅には、時を越えた恋がいまも燻り続けていた。




