金魚月夜(きんぎょづくよ)
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
あの夜、金魚が空を泳いだ。
夏祭りの帰り道。
彼女は小さな袋を両手で抱えながら、ひとり静かに歩いていた。
袋の中には、たった一匹の金魚。
赤い身体が、街灯にゆらりと揺れていた。
「名前、つけようか。……そうだな、君は“灯”ね」
金魚は何も言わない。
でも彼女は、うれしそうに笑った。
浴衣の袖が風に揺れ、草の匂いが夜の空気に溶け込んだ。
祭囃子の余韻が遠ざかる頃、ふと、風が変わった。
どこからか、水の音がした。
彼女が顔を上げると、空には無数の金魚が泳いでいた。
朱色、白、黒、金、
光をまとったその姿は、まるで星の群れのよう。
水面のない夜空を、音もなく漂っている。
「……夢、かな」
そう言いながら、彼女は袋を持ち上げた。
中の“灯”が、ぴたりと動きを止める。
次の瞬間、金魚が袋からふわりと抜け出した。
袋は破けていない。
でも確かに、灯は水の中から宙へと舞い上がったのだ。
彼女は目を見開いた。
灯は、空の金魚たちの中へ、するりと溶け込んでいく。
あたたかい風が、彼女の頬をなでた。
懐かしい匂いがした。
昔の夏の、縁側の匂い。
誰かの笑い声。
うちわの音。
もう会えない誰かの手。
「……灯」
名前を呼ぶと、金魚の群れの中から一匹だけ、ふり返るように浮かびあがった。
そして、きらきらと光を散らしながら、夜空に消えていった。
気づけば、空は元どおりだった。
金魚も、風も、水の音もない。
彼女の手には、小さな袋だけが残されていた。
水だけが、揺れていた。
帰り道、彼女は笑った。
「……来年も、会えるかな」
その年の夏の夜、町では“金魚が空を泳いだ”という噂が流れた。
誰も本当だとは思わなかったけれど──
その夜から、彼女は毎年、夏祭りに金魚を一匹連れて帰るようになった。
そしていつも、こうつぶやくのだった。
「おかえり、“灯”」
──空に金魚が泳ぐ夜を、人はこう呼ぶ。
金魚月夜。




