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最後の音を、夏の夜に

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

わたしは、ピアノ。

 古い木造校舎の、音楽室の隅に置かれて、何十年も過ごしてきた。

 毎年夏になると、窓の外から蝉の声が聞こえてきて、廊下からは汗だくの子どもたちの笑い声が響いていた。

 初めて鍵盤をたたいてくれたのは、遠い昔の一年生。

 小さな指で、ぎこちなく「ド」を鳴らして──

 その瞬間から、わたしの中に“音”が生きはじめた。

 春には卒業式。秋には合唱祭。

 でも、わたしが一番好きだったのは、夏の夜の音楽会だった。

 毎年一度だけ開かれる、小さな学校の恒例行事。

 子どもたちは汗だくになりながら練習して、

 保護者たちは虫よけスプレー片手にやってきて、

 体育館には提灯がゆれて、窓から夜風が入りこむ。

 わたしは、その中心で、ただ音を響かせていた。

 でも──

 その夏は、少しだけ違っていた。

 「この学校は、今年度で閉校になります」

 校長先生がそう言ったのは、夏休みに入る直前だった。

 子どもたちの数が減って、統廃合の話が出て、

 ついに“そのとき”が来たのだと、大人たちは静かに頷いていた。

 わたしは、何も言えなかった。

 でも、誰もいない音楽室の中で、

 誰にも聞こえないように、そっとペダルをきしませた。

 ──夏がきた。

 最後の、夏。

 体育館に灯る提灯の明かり。

 虫の声と、うちわの音。

 そして、あの子の指が、わたしの鍵盤に触れた。

 「最後の音楽会、絶対泣かないって決めたんだ」

 そう言って笑ったのは、六年生の女の子。

 もうすぐ卒業するはずだった、ちょっと背伸びした小さな演奏者。

 彼女が選んだ曲は、「ふるさと」。

 何度も何度も、練習してくれた。

 ふるえる指先で、でも心を込めて。

 音楽会の夜、わたしはいつも以上に心を澄ませた。

 音が流れた瞬間、体育館は静かになった。

 提灯が揺れて、夜風がやさしくカーテンを動かした。

 「うさぎ追いし かの山──」

 彼女の歌声が、わたしの音と溶け合って、

 誰かの心に、そっと触れた。

 演奏が終わったあと、誰も拍手をしなかった。

 代わりに、みんなが静かに、泣いていた。

 笑っていた。

 夏の夜に、誰もが、自分だけの思い出と向き合っていた。

 わたしは──

 きっと、最後の音を、ちゃんと届けられたと思う。

 もうすぐ、学校は閉じられる。

 わたしがいた音楽室も、取り壊される。

 それでも、わたしの中には、たくさんの音が残っている。

 ぎこちない「ド」の音。

 おどけた和音。

 卒業式の涙。

 そして、夏の夜に響いた「ふるさと」。

 わたしは、ピアノ。

 古くて、傷だらけで、もう音がくすんでいるかもしれない。

 でもこの夏の夜だけは、きっと永遠。

 だから、ありがとう。

 わたしに触れてくれた、すべての手に。

 わたしを聴いてくれた、すべての耳に。

 さようなら、わたしの学校。

 ──そして、こんにちは。

 これからきっとどこかで生まれる、新しい“音”たちへ。


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