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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
2部4章『突入! 暗黒の魔界』
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4話 「究極の意味」

 

 中層魔界に降り立ち、リュウトたちはさらなる下層を目指す。


 我は『究極の魔剣』。名などない・・・いや、時代が、持ち主が変るたびに様々な名で呼ばれた。今は『竜神剣』と呼ばれているようだ。


「そういえば聞き忘れていたが竜神剣、お前の本当の名はなんていうんだ。」


 あのようなことを考えたのも、リュウトが今更になってこんなことを聞いてきたからだろう。我の名など知ってどうなると言うのだか。


「我の名など知ってどうする?」


 そんな我の言葉に当たり前のように奴は言葉を返す。


「今まではわからなかったから竜神剣と呼んでいたけどな、本当の名で呼ばれたほうがお前だって気分がいいだろう。」


 にっこりとまるで親しき友に話しかけるようにそう答えるリュウト。こいつらにとってはそういうものなのだろうか? 我にとっては名など符号。誰のことだかわかればそれでいい。


「真の名などありはしない。汝がかってに呼べばいい。」


 今までどれほどの名で呼ばれたかはすでに忘却のかなただ。思い入れのある名も、呼ばれたい名もありはしない。


「そうか・・・ならば今までどうり竜神剣と。・・・だが、剣としてはともかく呼び名としてはあまりよくないな。そうだ! 俺からのプレゼントだ。これからお前の個人名はリュム。竜の夢と書いてリュムだ。」


 だと言うのにリュウトはこんなことを言い出す。一体何を言っているのだ? 竜神剣が呼び名としてはふさわしくない? 個人名??


「汝は何を言っている。二つも名をもってどうするというのだ。」


「違う違う。竜神剣っていうのは・・・そうだな、ある意味種族名みたいなものって感じかな。俺だったら人間・・・とはもう言えないか。まぁ、竜神って言う感じの立場を表してるっていうのかな? でも、俺の名前はリュウト=アルブレスだ。竜神でも俺のことだってわかるけど、だからと言って俺は竜神なんて名ではない。」


 よくわからんが、こいつは剣としての名の他に生命体としての個をあらわす名を我につけようというのか? 下らん。どっちの名で呼ばれようと我であることはわかる。・・・まぁ、いい。好きに呼べと言ったのは我だ。


「好きにするがいい・・・。」


「ああ、じゃあこれからもよろしくなリュム!」




 我は『究極の魔剣』。そう、あくまでも『究極』だ。表面に引き出せる力は無限なわけでも無敵なわけでもない。


 我は剣。生命体として世界の裏側の無限の力とのパイプは持っている(アキの魔法講座参照)。だが、それでも我は剣だ。自身の意思で全ての力を使いこなせるわけではない。


 我が力を使うためには様々な制約と条件がある。我がどんなに力を貸そうとしてもそれだけでは邪竜神戦のときに貸してやった程度までが限界だ。・・・我の存在を理解した今ならばリュウトの体を壊すこともなかろうが、無理をすればまた同じことになる危険性は否めない。


「リュム・・・お前がいたから俺はここにいられる。・・・それはお前だけでなく、俺を取り巻くもの全てにいえることかも知れないけどな。でも、お前は俺に最も近い仲間だ。相棒・親友と言ってもいいけどな。」


 我は剣。いかに『究極』といえども使われるものだ。気に入らぬものに我が力を貸し与えはしないが、仲間などと呼ばれるものではない。・・・そう呼んだものなど今まで居はしなかった。


「剣を仲間だ、友だと呼ぶものがどこにいる。・・・相棒なら呼ぶ奴も間々居るがな。」


 我が行動には一つ制限がある。我の力を使う術を教えることは許されぬ。・・・もし、それが出来ていたならば我はそれを伝えたのだろうか?


「剣であろうと意思を持ち、こうやって話せるのならば仲間と呼んでも友と呼んでもおかしいとは俺は思わない。俺はずっとリュムに助けられてきた。これからも情けない俺を助けてくれると嬉しい。」


 我の使い手は無数に居た。名もない剣士もどきからリュウトなど足元にも及ばないような強者まで・・・。我の力の大部分を使いこなしたものから、我自身の意思でまったく力を使わせず死んでいった者もいる。だが、我は剣にあるまじき考えと知りながらリュウトを死なせたくないと思う。我が能力を最大限使えたならば苦戦するような戦いなど今までにありはしなかったのだ。それが出来ぬことを口惜しく思う。


 もし、リュウトを他のものに例えるのならばライオス・・・今では先代の竜神と呼ばれているあいつがもっとも近いのだろう。力は遠く及ばずともその心は似ている。あいつはここまでのお人よしではなかったが。


「そのようなことは我を使いこなしてから言うといい。」


 手厳しいなと笑いながらも嬉しそうにするリュウト。わからん奴だ、だが悪い気はしないのは何故だ? 我は『究極の魔剣』。パワーなら向上の余地はまだあるやも知れぬ。だが、能力にこれ以上の追加はないだろう。名のとおり『究極』とは力の極地。これ以上先は存在しない。・・・我が身の内に収められた幾多の能力、リュウトが使いこなしてくれる日は来るだろうか? ふっ、我としたことがこんなことを考えるとはな。どうやら我もリュウトの甘さが移ってきてしまったようだ・・・。

竜神剣の思い。剣と言いながらも結構人間臭いやつなのです。


リュム「我がそのような存在であるわけがあるまい。・・・我は冷徹に敵を切り裂く。それだけの存在だ。」


その割には今までだって積極的にリュウトのサポートをしてきているけどな。


リュム「そ、それはあんなやつでも一応主だからな・・・。」


見殺しにしてきた主も結構居たはずだろ? そもそも自身の意思を持って善悪というより行動の好みを持って居る時点で剣らしくはないだろう。


リュム「む・・・」


う~ん、久しぶりに安全なあとがきだった気がする。これからも常駐しないか?


リュム「断る! 二度と来るか!!」


やっぱり、人間臭いよな~^^

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