3話 「仲間? 個人?」
コツコツ・・・ヒタヒタ・・・コツコツ・・・ヒタヒタ
ふん、あれでオレを尾行しているつもりなんだろうか? 無駄だということを覚えさせたほうがいいな。・・・奴に覚える頭があるならば
「えへへ~、アーくん!・・・ふにゃ?」
角を曲がった瞬間に後ろから抱き着こうとしたレミーはそのまま、床に激突する。・・・そんなところにオレはいないぞ。
「あ、アレ? アーくんはどこ?」
なんとも間抜けな面をさらしてキョロキョロとあたりを見回すレミー。・・・情けないにもほどがある。
「貴様は一体何をしているのだ?」
レミーの背後からオレは話しかける。昔のオレなら尾行などする奴は問答無用で撃退していたのだが・・・オレも甘くなったものだ。
「え~!? あ、アーくん!? なんで? なんで~!? さっきまでわたしの前にいたはずなのに!」
「ふん、何も歩けるところは床だけではないだろう?」
ヒントというわけではないが、オレは僅かに顔を上げてやる。それにつられる様にレミーの顔も上も向く。
「え~!? あの天井の足跡ってアーくんの!? 天井を歩けるのなんてアーくんぐらいなもんだよ~!」
そんなことはないだろう。足の指の力で自身の体重を支えればいいだけのこと。・・・リュウトだって普通に出来るだろうな。
「そもそも、あんなにわかり易い尾行をする時点で貴様の負けだ。」
尾行とは命を懸けておこなうもの。気づかれた時点で死あるのみだ。・・・まともに戦える奴はそもそも尾行などせん。
「ム~! リューくんにはばれなかったのに~!」
・・・そこは逆にリュウトだからばれなかったんだろうな。
「奴は平時においては油断しすぎるぐらい油断しているからな。奴はオレが普通に近づいても気づかん。」
戦闘中はそこそこに鋭いというのにな。・・・もっとも相手がレミーならば気づかぬ振りをしたという線もあるのだが、いづれにせよ世の中オレのような奴ばかりではない。戦いにルールなどありはしない。どのような経緯をたどり、どんな手段を用いようと最終的に立っていた者が勝者であるということを除けばな。
「それはアーくんが凄すぎなんだよ~! リューくんは結構普段も鋭いよ?」
並みのものから見ればそうだろうな。だが、オレのライバルとしてはまだまだだ。
「で? 貴様は一体何をしにきたのだ?」
敵対する悪魔に尾行など仕掛けてきたのだ・・・馬鹿なりにそれなりの理由があるのだろう。
「へっ? 勿論スキンシップだよ?」
こいつの頭の中ではオレという存在はどういう扱いになっているのだ? オレが一時的に協力してやっているだけの本来は敵だと・・・認識しているはずがないか。
「ム~、怖い顔しないでよ~。明日からだって仲間なんだよ? ねっ、ほら?」
アレ? リューくんにはバッチリ効いたこのポーズ・・・アーくんには効いていないの~?
「き、貴様は何をやっているのだ!! ふん、何のマネだか知らないが、何故オレが仲間などにならねばならん。」
「アレ? だってリューくんは明日どっか行くんでしょ? リューくんは一人で行くつもりみたいだったけど、わたしは一緒に行くって認めてもらったから・・・アーくんも来るものだと思ったんだけどな。」
だって、アーくんもリューくんのこと大好きだよね? よくオレのライバルだっていってるし。ライバルって・・・友達って言う意味だよね?
「貴様らがどこに行こうがオレの知ったことか! 一人で行くというならば、かってに行かせればいいだろう! 別にオレが仲間としてついていく必要はない!」
「え~!? じゃあ、アーくんはこれからどうするの?」
・・・? 何? この沈黙は??
「そ、そんなことを貴様に報告をする必要もない! オレはオレ個人としてかってに行動させてもらう!」
ム~! アーくん、ひっどいよ~! わたしたちは仲間だよ? そりゃ、絶対ついてきてとは言わないけど、どこにいるのかぐらいは教えてくれてもいいじゃない~!
「ねぇねぇ、アーくん? そんなこといわないで教えてよ? ねぇ、お・ね・が・い?」
レーチェル様に教わった対リューくん最終兵器! アーくんにも効くかな?
「だ、だから貴様はなにをやっているのだ! そ、そのようなことをやっても教えぬぞ!」
ム~! 全然効いてないよ~! なんか焦ったようにどこかに行っちゃったし・・・今度、レーチェル様に対アーくん用の切り札教えてもらおうかな?
え~、今回はレミーとアシュラです。相変わらずアシュラはレミーに振り回されています^^
アキ「しかし、あきらかにアシュラにレミーの手段効いているように見えるが・・・。」
そこらへんの判断は読者様にお任せします。とりあえずレミーの認識では効いていないというだけですので。
アキ「なるほど。しかし、アシュラに仕掛けている分にはいいが、リュウトにやっているというのは看破出来んな。ま、万が一リュウトの心が盗まれでもしたら・・・。」
そんなに心配なら、同じことをやればいいのに・・・はっ!? このパターンは!
アキ「そうか、そうか・・・あのようなことを私にやれと?・・・それが出来たら苦労はせんと毎回言っているだろうが!」
ゆ、ゆるして・・・誰か・・・・・助け・・・・・・て。




