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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
2部1章『あれから・・・そして』
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2話 「リュウト争奪戦!?」

 エルフ及びレミーが広めた物語は魔物による被害の急激な低下という証拠を伴って急速に世界へと浸透していった。


「おい! 村に吟遊詩人の兄ちゃんが来てるぞ!」


「えっ!? じゃあ私、竜神様のお話聞きたい!」


 その後しばらくの間は吟遊詩人は引っ張りだこだったとか・・・。


「さぁ、今日はどんなお話を語りましょうか?」


「はいは~い、僕は天才美少女天使のレミー様のお話がいい!」


「何言ってるのよ! 私は稀代の大魔術師のアキ女王様のお話がいいな。」


 ・・・どうやら当人やエルフたちによる誇張が多々見受けられるようである・・・。


 また、子供たちのなりたい職業に冒険者が挙がったり、孤児院が憧れの目で見られたりと色々影響はあったようであるが、それらはまったくの余談である。


 むしろ問題となったのは確実に、それもある程度存在する場所が判明しているお宝の存在である。


 竜神の石像。実際の竜神であるリュウトが石化したその石像は様々なものたちが奪い合うように捜索をした。あるものは自身のコレクションにするため、あるものは国のシンボルにするため・・・その他魔よけ目的だったり、そんな状況を見て慌てて自分の近くに保持する為に捜索を開始したエルフの女王がいたりと一時大変な混乱を招くことになったのである。


 結果として竜神の石像を発見したのはエルフ族同様に竜神を敬ってきた人間の小国であった。この国は世界を救いし新たな竜神が瓦礫の中に埋もれていることに耐えられず国を挙げて捜索をしたのだが、敬うべき竜神を己が利に利用する気はなかった。そのため各国の王が集まり、竜神の石像をどう扱うかの会議が開かれることとなる。






「竜神様の石像は我が国に任せてもらおう。我が世界最高の経済力を持って豪華な神殿に祀って差し上げよう。」


 そう豪語するのはでっぷりと太った人間の男。な、なによ! リュウトはそんな豪華な神殿なんか欲しがらないわよ! 大体あなたに竜神を・・・リュウトを敬う気持ちなんてないのでしょう? それはここにいるものの殆どが同じ。皆、竜神の石像があることによる自国の発言力の増強を狙っている。・・・きっと私もそう見られているのよね。


「いえ、それはどうでしょうか? 竜神様は孤児院育ちだと聞きます。そのような豪華さを望むような人でしょうか?」


 静かにそう説くのは(私を除いて)唯一の女王のアイシスさん。う~ん、さすが美しき女の国なんていわれる場所の女王ね。なんだか不思議な魅力がある人だわ。ミステリアスビューティってこういう人のことを言うのかしら? でも、いいこと言うわ! そうそう、リュウトに豪華さはいらないって!


「それよりも竜神様といえど男。我が国の女官や巫女たちがお世話させていただいた方がお喜びになりますわ。」


 駄目~~~~~!!!! それは駄目! もっと駄目! 絶対駄目! とにかく駄目なの~~~!!! もう黙ってなんかいられないわ!


「残念ですがリュウトはそのようなものに心を奪われる男ではありません。リュウトは何よりも仲間との絆を大切にした。ここは旅の仲間であった私の宮殿にするのがいいでしょう。」


 け、けして嘘は言ってないわよ! リュウトだってこんなわけのわからない人たちに崇められるよりは私の方が絶対いいって言ってくれるもん! な、なによ~その目は~。


「竜神様がそのようなお人でしたら仲間の世話になることをよしとするでしょうか? まして、そのような貧相な体でよく言いますね。」


 貧相? ・・・貧相・・・・・・・って貧相ってね~~~~~!!!! 一応相手も一国の王ってことで丁寧に話してたけど、このおばさんにはそんな配慮は要らないわね!


「貴様! 私とて一国・・・一種族の王だ。そのような発言は控えてもらおう!! そなたのようなおばさんに近くにいられるリュウトが哀れでならん。」


「お、おば!? くっ! あなたのような小娘が王を名乗れるのですからエルフの程度が知れるというものです。」


「ま、まあまあ・・・アキ女王もアイシス女王も少し落ち着かれては・・・。」


「「やかましい!」」


 と・・・ちょっとした揉め事もあるにはあったんだけど・・・結果としては


「では、竜神様の育った孤児院跡に各国協力して神殿を作ることにいたしましょう!」


「ちょ、ちょっと待ってほしい! 我がエルファリアは孤児院跡に極めて近い場所にある。管理上・・・」


「アキ女王、お気持ちはわかりますが決まったことですので・・・」


 私も出来る限り粘ったんだけど、結局リュウトをエルファリアにつれて帰ることは出来なかったの。エルファリアに帰って思いっきり泣いて・・・自棄酒をって思ったら、それはお姉ちゃんに止められた。そりゃ私未成年だけどさ・・・女王がルール破ったら誰も従わなくなるってのもわかるけどさ~。


 ・・・そうして、あの戦いからあっという間に百年の月日が流れたのだった。




 ちっ! レミーの奴、オレを便利屋かなんかと勘違いしていないか!? 百年前の戦いの別れ際にレミーから貰った天界の通信機(レミー曰く『転移魔法の応用らしいよ~』とのこと)。物珍しさもあって受け取るだけ受け取ったが、これほどまでにわずらわしいなら受け取らなければよかった。なにせ、三日に一回は必ず連絡が来るのだ。今朝も


「アーくん! リューくんが大変なの!! すぐ助けに行って!!」


 などと連絡をよこしてきた。・・・レミーの情報ならば誤報の確率が『極めて』高いが、レミーのバックにいる神とやらはかなりの情報通だ。ましてリュウトが絡んでいるとなれば行かぬわけにはいかん。奴との勝負の約束はまだ生きているのだからな。




 竜神の神殿。本来は先代にあたる竜神を祀る神殿の名だったはずだが現在は孤児院跡に作られたリュウトの神殿の名となっている。かなり広い神殿は綺麗に掃除はされているものの、今ではすっかりと寂れてしまっている。ここも出来た当時は人間共が毎日溢れかえっていたものだが、百年程度でこの変りようとはな。それも管理をしているのはエルフ族 (つまりはあのアキだ)とリュウトを発見した小国の者たちだという。ここはすでに人間には忘れ去られた場所になりつつあるようだな。


 神殿の奥にズカズカと入っていく。特に危険が潜んでいるという気配は感じない。そして、目の前の間抜けた面をさらしてる石像も以前見たときと変化しているようには見えん。取り越し苦労だったのか?そんなことを考えていると後ろからガヤガヤと声が響く。とりあえずオレは隠れて様子を見ることにした。


「長老様、本当にこんなことで竜神様は復活するんだべか?」


 どうやらやってきたのは人間の一団のようだ。竜神の復活? 眉唾物ではあるが真実であれば好都合だな。しかし奴らが担いでいる巨大なハンマーは何だ?


「心配はいらん。昨今、再び魔族が暴れだしておる。研究家の言によれば百年前よりもさらに凶暴で凶悪な奴らとも聞く。これはきっと、とんでもないものが背後で糸を引いとるとワシは見ておる。・・・今こそ、竜神様のお力が必要なのじゃ!」


「ですが~、オラにはどうしてもそれは普通のハンマーにしか見えないだ。」


 見えないも何も普通(大きさはとてつもなく大きいが)のハンマーだな。何の魔力も感じん。


「何を言う! これは我が村に古くから伝わる石化封じのハンマーじゃ! これで思いっきり叩けばどんな石化の呪いもいっぱつじゃ!」


 ふむ、奴らはアレでリュウトを叩くつもりか。・・・ちょっとまて、いくらリュウトでも石化している今はただの石。つまり

 ハンマーで叩かれる→おそらく粉々に砕ける→元に戻す手段はない→死・・・非常にまずいな。仕方あるまい。しかし、こんな奴らの相手にオレはかりだされたのか?こういう人間の相手は悪魔のオレではなく天使のレミーの持分だろうに。


「おい! 貴様ら、ちょっと待て!」


「ひぇ~! 長老! 魔物だべさ!」


「う、うぬ~! さっそく竜神様の復活を邪魔しにきおったか!」


 なにやら面倒なことになったな。・・・いっそ殺してしまうか? むっ!


「ケケー、なんだなんだ? 俺たちが来る前から妙な奴らがいるぞ、相棒。」


「ケケケー、気にするこたぁねぇ。俺たちは竜神の石像とやらを壊せば任務完了だ。」


 ・・・どうやらレミーの言っていた危機はむしろこっちの方らしいな。2匹とはいえ、オレからみれば雑魚だが・・・。


「ひぇ~! ちょ、長老! 魔物が増えたべさ!」


「は、早く叩いて竜神様を復活させるのじゃ!」


 ええい、面倒を増やすな! とりあえず、あのハンマーを壊してしまうか。・・・むっ! リュウトが、いや・・・竜神剣が光っている? 石化が解けようとしているのか!?

え~、今回は前半はキャットバトルが展開されていますね。


アキ「全てアイシスが悪いのだ。私は悪くないぞ。」


まぁ、気持ちはわかりますが・・・でも前半と後半では百年たっていますからアイシスさん、きっと生きていないですね。


アキ「人間とは儚いものじゃな。私はまだ1500歳(人間なら15歳)まだまだ若いぞ。」


アシュラもレミーも百年ぐらいじゃなんともないですしね。で、さらっと言われている新たな戦乱とリュウト復活の兆し。


アキ「まさか本当にあのハンマーのおかげなのか? そうなら最大級のねぎらいを与えたいのじゃが。」


そんなわけないでしょう。あのハンマーはアシュラの見立てどうり何の能力もない普通のハンマーです。復活の鍵は例のアレです。


アキ「・・・やはりか。しかし謎だらけじゃな。アレは・・・。」

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