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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
1部10章『決戦! 邪竜神!!』
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1話 「突入!」

 俺たちの眼前数百m先にプカプカと浮かぶ城。邪竜神はあそこにいる。とうとう、ここにたどり着いた・・・そう思うと感慨深いものがある。


「リュウト・・・そなたまさか、ここに着いただけで感激しているのではあるまいな?」


 おっと、いけない。たしかにここに来るのが目的じゃない。熱くなってしまった目頭を拭いて・・・ってアキも似たり寄ったりの顔をしてるじゃないか!


「貴様らは二人して何をやっている・・・」


「もう! 早くいくよ!リューくん、あーちゃん!」


 感慨にふけるほどの時間を過ごしてない(過ごしていてもふけるかどうか不明だが)アシュラと感慨なんていうものは認識しないらしいレミーが勝手なことを言う。


「あーちゃん、ちゃんとわたしの手を握っていてね?」


 レミーの純白の羽は背中にある。ゆえに手は開いているので手をつないでぶら下げるような形でアキを運ぶようだ。とはいえ、うっかり手を離そうものなら下の地面まで一直線に落ちるのみ・・・アキの顔も不安そうだ。


「しっかり風を起さねば蹴り落とすからな。」


 対する俺はさらに深刻だったりする。アシュラの飛膜は腕にある。ゆえに手につかまるわけにはいかず、足につかまるのだがそれはまだいい。問題はアシュラ単独では俺と二人では飛べないために俺が風を起し続ける必要があるということだ。・・・落ちるようなことがあったらこいつは本気で蹴り落とすだろうな。


 俺とアキの緊迫の数分は・・・とりあえずは無事に空中城の入り口に着くことで終わる。


「貴様ら二人はさっきから何をやっているのだ!」


「ほら~、早く行くよ~。」


「そ、そなたたち・・・ちょっと待て。せめて息が落ち着くまで・・・。」


 またしても涼しい顔で勝手なことを言う二人と息を乱しているアキ。・・・無論、俺はと言うと・・・。


「ハァハァ・・・わかってはいたけど本当に他人の状態に配慮がいかない奴らだな・・・。」


 とアキの同類であるのは言うまでもない。






 どこまでも続く薄暗い廊下。アシュラがいうにはこの道がもっとも玉座の間に近いらしいが・・・。


「当然、敵がもっとも警戒する道でもあるんだよな。」


 ここに至るまでに出てきた敵の多いこと・・・もっとも、出て来たのは雑魚ばかり。皆、アシュラの顔を見て逃げていったから手間はないが。


「しかし意外だな。お前が出てきた敵を見逃すとは・・・」


 そう、アシュラは逃げ出した魔物の誰一人として追おうとさえしなかったのだ。


「貴様はオレを何だと思っている? オレが望むはただの戦いではない。心躍る強敵との戦いだ。逃げ出す臆病者に用はない。」


 なるほど、じゃああのとき戦わずに逃げればよかったのかもな。


「言っておくが、お前はオレのライバルだ。将来必ず訪れるオレとの戦いから逃げようものなら許さんぞ。」


 俺の場合は時すでに遅しってことか。・・・もっともアシュラから逃げる気はないけどな。


「フフフ、お喋りだなんて随分余裕じゃない? 坊やたち?」


 普通に聞けば甘く優しいと感じるだろう女の声。俺たちにとっては苦々しい声・・・ルーンの声だ。そして


「邪竜神を討とうと考えるだけのことはある・・・と評すればいいのかな?」


 こちらも忘れはしない。闇黒騎士ヘル・・・落ち着け、お前の倒す敵は奴じゃない。お前が果たすべきものは恨みじゃないだろ。


「そっちこそ、一人じゃ適わないってことかな?」


 こちらは四人なのだから挑発にもなりはしないのだが、一応煽っておく。そして、ヘルの言った言葉『邪竜神』やはり奴らは邪竜神に忠誠を誓っているわけじゃなさそうだ。


「ウフフ、まっさっか~。本当なら私の美しい顔に傷をつけた坊やは私の手で殺してあげたかったのよ? でもね、私たちの目的の為にはそうはいかなさそうなのよ。ここは黙って通してあげるわ。」


 考えられうることではある。だが、何の為にこいつらは姿を現した? 信用してもいいものだろうか・・・万が一にでも挟み撃ちにでもあったら俺たちはそうとう不利になる。


「リュウト・・・行こう。」


 そんな中、一歩前に踏み出したのは・・・アキだった。


「アキ?」


「私たちに余計な敵に関わる余裕はないはずだ。・・・いまさら、だまし討ちの挟み撃ちのために姿を現すような愚手を打つとは思えん。」


 確かにそうだが・・・


「覚悟を決めろ。・・・立ちはだかるならそのとき打ち倒せばいい。」


 にやりと笑うアシュラ・・・本当に頼もしいな。


「よし! わかった。・・・俺たちの狙いはあくまで一人! そうだったな。」


 うなずきあう俺たち3人。・・・置いてかれている一人は気にしないでやってくれ。


「この先が玉座の間だ。」


 アシュラの声が響く中、俺たちはついに旅の最終目的地に到着したのだった。


いよいよ、最終決戦です。もっとも、第一部の・・・にすぎませんが。


ルーン「クスクス、私が言ったように邪竜神なんて所詮は小物。」


あはは、決着が着く前にそれを言われちゃうと辛いんですが・・・。


ルーン「そんなこと知らないわぁ。だって、本命は私や例の謎の大物でしょ?」


まぁたしかにそうなんだが・・・一人意図的に忘れてないか?


ルーン「彼もある意味小物よねぇ~。」


ヘル「・・・言わせておけば、勝手なことを!」


・・・喧嘩はよそでやってくださいね?

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